灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！｜リアクション

灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！

　スタートの合図であるベルが鳴り響くと、16名は一斉に激辛カレー鍋焼きうどんに箸を付け始めた！
「アツゥイ！？」
「かっらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ！？」
「げほげほげほっ！？」
　一口目から阿鼻叫喚の挑戦者たち。
　特に鴻上は舌を出してヒーヒー言っていた。
「水！　水！　水！！　水、水！！！　ちょっと啜っただけでむせるなんて、こんなの食べ物じゃないわよ！」
　さっきまで煮えたぎる土鍋の湯気を眺めながら無我の境地に達していた鴻上。
（暑い……！　ひと口で既に汗が……！　視界が揺れて見える……。もう帰りたい………。でも、たったひと口でリタイアなんて流石にダメよね……？？）
　恐る恐る、もうひと口だけ食べてみた。
「ぶふぉぉぉぉぉおっ！？」
　そして噴き出した。盛大に噴き出したよ、この子！
「ゴホッゴホッ！　辛～～～～～～～～～～～～～～い！！！」
　既に涙目、喉と舌はマヒしている。でも、真っ先に脱落なんてかっこ悪すぎる！
「私……っ、こんなうどんに……っ、負けたく、ない……っ！」
　鴻上の箸を持つ手に力が漲る！
「女は度胸？　いいえ、女は根性よ！！！　バニラちゃん（愛猫）！　お願い、見守ってて！　優梨乃、いきますっ！」
　うどんを一気に掴むと、じゅるるるるんっと盛大に汁ごとすすっていったぁぁぁ～っ！！
「ブゥヴぉぇあッ！？」
　そしてリバース！　前方に赤く染まったうどんの放物線が、夏の寝子島の空へ跳んでゆくぅぅぅぅ！！
　鴻上は椅子から転げ落ちると、意識朦朧となって医療班に担がれていった。
「敗者だなんて屈辱的だわ……。殺しなさい、さぁ、殺せぇぇぇ！？」
　錯乱する彼女が担がれていった先は、謎の鏡張りの小屋だ。
「言い忘れておりました！　今回、敗者には特別ルームへ収容していただきます！」
　リッカルド町長のアナウンスに、挑戦者たちは戦慄する！
「おい、敗者に罰ゲームとか聞いてないぞ！？」
　御剣の抗議の声に、リッカルド町長は邪悪な笑みを浮かべて反論！
「罰ゲーム？　そんなこと、一言も言っていませんけどもね？　まぁ、ある意味、ひとを駄目にする部屋なので罰ゲームかもしれませんが……。さて、ご覧入れましょう。これが敗者専用ルームです！！」
　鏡張りの部屋が、一気に中身が見えるようになったのだ。あれはマジックミラーだった！
　気になる部屋の中は、プール完備、冷房完備、綺麗なメイドさんからの冷たいドリンクと冷たいスイーツの提供など、まさに天国！
　その中に鴻上は押し込まれると、彼女の態度は一変する！
「何よこの砂漠の中のオアシスみたいな部屋は！？　これじゃ勝ち残った方が地獄じゃない！」
　早速メイドさんからアイスを受け取り、その味を満喫する鴻上である。
「え、更衣室で水着の貸し出ししてくれるの！？　アイス食べたら着替えるわ！！」
　ちなみにこの会話は、全て炎天下の外に放り出されてクソ暑くて辛い食べ物に挑んでいる挑戦者たちにスピーカーで筒抜けである。
　リッカルド町長はニタリと微笑んだ。
「どうですか？　この『オアシスすぎてひとを駄目にする敗者部屋』の破壊力は！？」
　挑戦者はどよめいた。
「なんだよ！　リッカルド町長、最高じゃないか！」
　御剣のように既に心が折れ掛かっている者が出てきているくらいだ。
「この精神的な揺さぶりは、脱落者が増えれば増えるほど、その破壊力が増してゆきますよ！　さぁ、最後まで耐えられますか！？」
　この極悪（？）な我慢レースに、残った挑戦者は挑んでゆく！