灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！｜リアクション

灼熱！　激辛！　真夏の我慢大会！

　御剣刀は賞品の内容を聞き付けて最速で自宅からカッ飛んできて参加申し込みを済ませた。
「大食い大会で優勝したら現金と海の幸が貰えると聞いた！　やってやるさ！！」
「では、激辛カレー鍋焼きうどん大食い大会、頑張ってくださいね！」
　スタッフのお姉さんの一言で、御剣の表情は見る見るうちに一変する。
「大食いって聞いてたんだけど勘違いみたいですね、俺は辞退します」
　Ｕターンした御剣をスタッフのお姉さんがベアハグ！
　御剣、がっちりホールドされて動けない！　あと暑い！
「駄目です。あと逃げられると思わないでね？　こう見えて柔道二段なの」
「アッハイ。参加します」
　逃げられないと悟った御剣は激辛が苦手であった。あと、ベアハグしてきたお姉さんのおっぱいの感触に負けたわけではないと自分に言い聞かせていた。
（あーっ、現金と海の幸とおっぱいに釣られた己が憎い！　刀くん、お前何やっちゃってんの！！　仕方ない、とりあえず参加して、早々にリタイアすればいいか……）
　だが、この判断が御剣を廃人へ追い込むことになろうとは……。

　八神修が爽やかに参加受付を済ませる。
「さすが寝子島。珍しい体験だし、楽しそうなイベントだな」
　彼だけ立っている場所が地中海のような爽やかな空間を纏っている気がした。それくらいめっちゃ絵になっていた。
　というか、八神のようなリアルガチのお金持ちが何故、このイベントに参加したのか？
「激辛カレー鍋焼きうどん、どんな味なんだろう？　とても興味深いな」
　知識欲だった。その純粋なる知識欲は、八神を平然と死地へと送り込む。それを八神自身も楽しんでいた。
　賞金と鮮魚盛り合わせは二の次だった。彼は、まさかの純粋に食事に来た参加者であった！

　体育会系であり日々の食欲を満たすためにも部活の合間に引越し屋のアルバイトをして食費を稼いでいる半苦学生の優木遥斗にとって、これは千載一遇の好機だった。
「ただ、辛さにもよるな。あまりにも辛いと体を壊しそうだ」
　そこだけ心配しつつも、やはり賞金５万円は学生にとって非常に高額な賞金。もちろん魚介類詰め合わせセットも魅力的で体が飛びつく。優木に食べ物の好き嫌いは全くない。とにかく食えるものはなんでも「美味しい」の一言のみで黙々と食せる舌の持ち主だ。
　更に、暑さ寒さも剣道部という部活である以上、普段から酷暑や極寒に耐えて鍛錬を積んでいる。
「これは……、神が俺のために用意してくれたステージだ。つまりここで参加しないでいつ参加する？」
　優木は威風堂々と受付を済ませ、ゼッケンを受け取る。

　これで参加者全員のエントリーが完了した。
　挑戦者16名は、長椅子・パイプ椅子しかない簡素な戦場に腰を掛けると、運ばれてくるのは煮えたぎる灼熱のマグマの如き激辛カレー鍋焼きうどん！
　制限時間は60分！　今、決戦が始まる！！