#彼女の曖昧な考察　～接近遭遇～｜リアクション

#彼女の曖昧な考察　～接近遭遇～

　数日後。
　真は再び、寝子島総合病院を訪れました。いつもの通院のためで、あの夜に起きたことのその後を確かめようと思ったわけではありません。
　もちろん、気になるところではありました。なにしろあれほどの光や音があたりへ満ち満ちていたというのに、近所の人々や世間にはそれを話題にする者もなく、あたかもなにも起きなかったような空気なのです。
　もしかしたら本当になにも起こってはいなくて、みんなで夢を見ていたのだろうか。そんなふうに思ってしまうこともありました。
　昼間の病院は打って変わって、患者たちの姿であふれ返っています。医師として働く理紗子などは、今日も忙しくしていることでしょう。
「あら？　こんにちは、伏見さん」
「あ、胡乱路先輩、やったっけ」
　ナースステーションの一角に、いささかその場所には似つかわしくない秘子と、看護師の笹原さんの姿がありました。
　いつも表情の変わらない秘子はさておき、笹原さんの顔は、いつかの曇天のように曇っていました。
「笹原さん、どうかしたん？　なんやあったの？」
「それが……」
　彼女が控え目に真へ掲げて見せたのは、一枚の画用紙です。
「あれから、特になにも起きてはいないのだけど。今日、入院中の子どもがこんなものを描いていて……」
「いったいどういうことなのでしょうね？　んふふ、気になりますね♪」
　興味深く、真は画用紙に描かれたものを見つめます。

「……ホラゲみたいで、おもろいやん？」
　こちらへ今にも伸びてきそうな、細長く節くれだった、鈍色の手。子どもが見た夢を写したのだという、画用紙いっぱいに広がるその手に描かれていたのは……六本目の指でした。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。『#彼女の曖昧な考察』、第一回目のリアクションをお届けいたします～。

　タイトルにある『彼女』は秘子ちゃんのことなのですけれど、よくよく考えると彼女は考察なんてしなさそーですね。
　ともあれだからこそ結末などは曖昧になりがちなもので、真実は実に皆さま次第であります。
　このお話は、そんな感じのふらふらとしたスタンスでやっていきたいと思っております。

　これからも超常現象や怪奇現象を幅広く、あれこれと取り上げていきたいですね。ネタはいっぱいありますので！
　厳密なシリーズシナリオではなく、単発シナリオがメインのオムニバスのような形になりますので、いつでもお気軽にご参加くださいませ～。

　それでは、今回もご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
　次の機会にもまたお目にかかれますことを、心よりお待ちしております～。
　お疲れさまでした！

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