ギネスに挑戦！　ワンアワー・猫パンチ！｜リアクション

ギネスに挑戦！　ワンアワー・猫パンチ！

　こちらは鎌八と響の通称かまタルコンビ。
「じゃ、猫ちゃんらの健康の為に捕まえに行くとするか。猫わんさかポイントはにゃんこたん知ってるよね？」
「猫が行きそうなところなら任せてよ。付いてきて！」
　響は旧市街の裏路地へ鎌八を案内する。
「へーこんなとこに猫がいるんだ？」
「ここは穴場スポットだよ、ムッシュくん！　特にあそこの茂みは涼しいから、よく猫が集まってるんだよ」
　得意げに笑顔を振りまく響（の揺れるポニーテール）に鎌八もつられて微笑む。
「さすがにゃんこたん。餅は餅屋だな、こんなとこに猫がいるとは思いつきもしなか……」
「しっ！　誰かいるよ！！」
　響に口を押えられ、身を潜めるように強要する響。
　その目線の先は茂みの中。
　何やらごそごそと動いているではないか。
　その中から声が聞こえる。
「おい、誰か来たぞ？　ここはやっぱりマズイって……」
「んだよ、良いところだったのに……」
　茂みからスポーツマン系イケメン２人がノソノソと這い出してきたではないか。
　彼らはしきりに周囲を警戒しながら、互いの両手を絡ませ、一目を避けてどこかへ消えていった。
「すごい！　リアルＢＬカップルみっけ☆　見た！？　恋人繋ぎしてた！！　というか茂みの中で何をしてたのか妄想が捗るね、ムッシュくん！」
「あー、そうだねにゃんこたん。オーマイガー」
　鎌八はＢＬに無関心なので、目の前の光景にショックを受けていた。
　つまらないものを見てしまったでござる、と受け流すにも受け流せなかった。
　そんな鎌八に響がキメ顔で言い放つ。
「ようこそ、男（ＢＬ）の世界へ……！」
「ああ、きっかり６秒前に今すぐ戻りたい……」
　鎌八は両手で顔を覆って絶望してしまった。
　閑話休題。
　２人は本来の目的に取り掛かる事にした。
「おっと猫ちゃん発見。スパイダースバイダー！」
　手のひらからろっこん『クモ男』の粘着糸を発射！
　猫の背中にくっ付いてそのままフィッシング！
「よし、１頭捕獲だ」
「なるほどー、蜘蛛糸でつかまえるのか。あっ、あっちにいっぱいいるよ！」
「はいよ、団体さんウェルカム！　スパイダースバイダー！」
　しゅぱぱぱぱっと粘着糸で猫たちを釣り上げてゆく鎌八。
　その後も響が猫を見付けては鎌八がフィッシングする作業が続く。
　いつの間にか、にゃーにゃーと賑やかな猫の集団散歩状態に。
　たくさんの猫が自由に動き回ったり座り込んだりするので、糸で繋がっている鎌八は振り回されていた。
「15頭か。そろそろ持ちきれなくなってきた。このコら一旦会場に連れて行こう」
「うん、わかった！　ところでムッシュくん、これって１匹から４つ肉球を押せるのかな？」
「１頭から４コ？　いやそれは意味ない。今回はスタンプより彼らの健康が主目的だから、ズルしても仕方ないよ？」
「えー、ズル？　肉球スタンプの数が稼げるよ？」
「そういう事じゃないんだって、にゃんこたん……」
　苦笑いする鎌八をよそに、響はぼんやりと考え事。
（周りの猫が健康なら、僕が猫になる云々のリスクも下がるわけだし、ムッシュくんにはたくさん捕まえてもらって、猫たちにはどんどん健康になってもらおう）
「おーい、にゃんこたん、聞いてる？」
「あ、ごめんごめん。考え事してた。ところで、ムッシュくんは馬の足型とか集めないの～？」
　響の質問に、鎌八は「愚問だ」と言わんばかりにニヒルに微笑む。
「オレなら馬の足形より、ポニテを止めてたゴムを収集したいところだな」
「どんだけポニテに話を持っていきたいのムッシュくん……。てゆうか、すでに違う話になってるよね？」
　こうして２人は仲良く猫たちを会場へ連れて行ってあげた。