ギネスに挑戦！　ワンアワー・猫パンチ！｜リアクション

ギネスに挑戦！　ワンアワー・猫パンチ！

【イベント当日・開始前】

　寝子島アニメーション学院声優科１年生で、寝子高芸術科ＯＧの落合まゆらは数日前にののこに押し付けられた『ワンアワー・猫パンチ！』アクションのチラシを見遣る。
「まさか買い物にシーサイドタウンまで足を運んだら、ののこに会ってこうなるとは……」
　ちょうど今日は予定が空いていたのもあり、彼女はイベント会場を目指していた。
「もしかして、あれかな？」
　視線の先には、そこそこ集まっている町民たちとボランティアたち。
　幾つか設営されている簡易テントの中で涼を取る人々。
　出店やイートインスペースまで設営されている。
　いかにもローカルなイベントという雰囲気が漂う会場であった。
　受付を済ませた落合は、開会式までの間、猫缶を近くのディスカウントショップで安く購入することを検討する。
「傷物や凹みのある缶を大量購入してこっと。やっぱり猫には猫缶よね」
　彼女は『猫缶で餌付け』作戦に出るようだ。

「猫の肉球あつめ？　面白そう☆」
　響タルトは、ののこから貰ったチラシを鎌八まもると一緒に眺めていた。
「ギネス記録に挑戦、か。でも、記録の為ではなくて、猫の健康診断がメインなんだな。オレ達も手伝おう、にゃんこたん」
「えっ、予防接種？　僕、猫で参加するのやーめた！」
　響はろっこんで猫に変身が出来る。
　このイベントを聞いた時、『僕の肉球でギネス記録更新だ☆』とワクワクしていたのだが……。
「注射されるのは嫌だよ……」
　むぅ、とふくれっ面をする響のポニーテールを愛でる鎌八が言う。
「にゃんこたんは注射嫌い？　ははは、でも健康診断の方はぐにぐにされて気持ちいいんじゃない？」
「健康診断だって、マッサージじゃないんだから気持ちよくないよ！　冷たい聴診器をお腹に押し付けられたり、変なところ触られたり……」
「なんだか、経験があるような口ぶりだな？」
「そ、それはナイショ！　とにかく！　僕はアイスやスイカがもらえればいいや」
「ま、猫んとき注射打たれるのはいいが、人に戻った時に変な影響でてもなんだし、止めといた方がいいとオレも思うよ」
　一通り響のポニーテールを愛で終わった鎌八は、彼女の頭を慰めるように優しくポンポンと撫でた。