ギネスに挑戦！　ワンアワー・猫パンチ！｜リアクション

ギネスに挑戦！　ワンアワー・猫パンチ！

＞＞＞＞＞＞話は聞かせてもらったッ！！＜＜＜＜＜＜

　夏らしい涼しげな水色のゴスロリ服を着た桜庭円が、ノートパソコンを片手に会議室へ乱入！
「失礼します！　皆さん、ボクにいい考えがあるんだけども、協力してください！」
『円ちゃん、いきなりどうしたの！？』
　思わず筆談でツッコミを入れる小山内！
　友人に気付いた桜庭、やっほーっと手を振った後、ノートパソコンを起動。
　ＰＤＦを使って有無を言わさずプレゼンテーションを開始した。
「ボクは！　このイベントを成功させたい！　日頃、お世話になってた猫さん達に健康診断、予防接種をさせてあげれる！　素晴らしい！　だからまず、ボクはリアカーを３台購入しました！」
　彼女はプロジェクターに画像を写しながらテキパキと解説を始める。
「お値段以上の品質を誇る冷却パッドを、ダンボールに切り貼りして詰めておいてリアカーにセット！　猫のたまり場付近に当日まで置かせてもらいます！　もちろん、雨風しのげるようにね！」
「なるほど、話が見えてきましたよ！」
　町長はうんうんと頷いてみせた。
　更に桜庭の雄弁は続く。
「すると、猫の溜まり場に配置したリアカーは、雨風と暑さを凌げる快適なにゃんこホイホイなアジトと化す！　あとは当日、ボクがリアカーごとにゃんこホイホイを回収するだけ！　こうすることで一度にたくさんの猫を会場へ運べます！」
「ほう！　考えたのぉ～！」
　猫屋敷は思わず唸った。
「で、何処にリアカーを置くのじゃ？」
「良い質問だね、おじいさん！　配置箇所はキャットロード、旧市街、寝子島漁港！　あらかじめボクがリサーチした寝子島３大猫集会スポットに、特製にゃんこホイホイを設置します！」
『円ちゃん、すごい』
　小山内も桜庭の発想に思わず脱帽。
　だが、桜庭の表情は硬い。
「とはいうものの、これには問題があるんだよ。そこにいる商工会関連のおじさんたち！　通りで探してもいないはずだ！　おじさんたちの許可がないと、この作戦は成立しない……っ！」
　桜庭が会議室へ乱入したのは、商工会役員のおじさんたちを探し求めた結果であった。
「お願いします！　ボクの作戦に協力してほしい！　猫さん達も観光の資源ではあるし、皆の家族みたいなもんだし、損ではないでしょ？　あと商店関連の人たちもギネス取れた時にアピールできるかもだし、記念撮影の時に乗ればほら、ある程度美味しいかもじゃない！！」
　桜庭の熱意に押された商工会役員の面々は、首を縦に振るほかなかった。
　何より三折部とリッカルド町長が賛同の拍手を送っている。
　ＮＯと言えない日本人である役員たちは、そのまま桜庭の提案に対して折れた。
「よかった、根回しは大事なのだ」
　うんうん、と納得する桜庭。
　応援しよう、と声援を送る猫屋敷。
　そして、友人の破天荒さに思わず、

『カオス』

　と筆談用スケッチブックに書いてしまう小山内であった。

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