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<花浴衣>花衣まとう君へ
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通路だけが唯一の道標のような、先が見えない植物に囲まれて、
早坂 恩
はふと立ち止まった。
「あら……」
頬を撫でた、春を錯覚する空気をはらんだ風が、恩の三つ編みを微かに揺らしていく。
その風に呼ばれたような気がして。恩が目を向ければ、そちらには、夜空の雪と錯覚しそうなほどの花を付けた桜の樹が、そっと静かに佇んでいた。
「こんな近くにあったのに、気付かなかったなんて」
祭りへ向かう途中。うっかり通り過ぎてしまうところだった。
恩は花びらの舞い散る繊細な華やかさに思わず微笑み、しばしその桜を堪能することにした。
「……?」
その中で──恩はあることに気が付いた。
今、上から降って来る花びらに比べて、下の地面に散る花びらの枚数は明らかに少なくなっている。
「これは──」
驚きに目を向けると、今まさに、中空を舞い踊っていた花びらの一枚が、恩が着ている浴衣の袂にぶつかって、そのまま吸い込まれるように姿を消した瞬間だった。
恩が慌ててその行方を追って浴衣をたぐるようにして確認すれば、今まで墨黒地に白の格子模様しかなかった浴衣の中には、既に何枚もの花びらが、その格子の隙間を舞う模様として存在していた。
「あら、嬉しいわね、桜……ふふ♪」
恩にとって、桜は特別に思い出のある花。それが摂理こそ分からないが、こうして自分の浴衣を雅に着飾ってくれるだなんて、何と素敵なことだろう。
恩はその思いに心を躍らせて。立ち止まっていた足を踏み出し、ゆっくり先へと向かうことにした。
「おい、ここは植物園じゃねぇのか」
「あれ? おかしいなー」
神嶋 征一郎
と
御庭 凪糸
が外に出て歩いた先には、緑あふれる植物園としか思えない光景が広がっていた。
道の左右には、広々とした空間に草花に木が、いきいきとその存在を主張している。
「まあ、表の看板にも納涼祭やってるって書いてあったし、間違ってはいないかなと」
「……まともな祭りなんだろうな?」
「まあ、こうなったら行ってみれば分かるかなーって」
「てめぇ、それで片付けられると思──ん?」
無理やり付き合わせられた上に迷子とは、苛立ちを交えて口を開いた征一郎に、僅かに不思議な物が目に入った。
風もないのにずっと左右に揺れている。それは、一輪の菊の花だった。
「……?」
不思議に思い、征一郎が手を伸ばす。すると、菊の花は深紅の浴衣の袂に触れ──次の瞬間には、前の絵柄を追い出して、浴衣の中で鮮やかかつ存在感あふれる新たに咲いた模様となった。
「おーっ、すごいねこれ」
「……また神魂か」
もう慣れてきた事柄ではある。だが、予想外の出来事の重なりは、とても好ましいとは思えず、征一郎は本日何度目か数えるのをやめた深いため息をついた。
「わぁ……っ」
同じ頃。
結城 日和
は、植物にあふれて迷い込んだ通路を一人歩いていた。
見渡す限り、あるのは様々な木色花色草の色。
「すごいねぇ、どれだけの種類があるんだろう」
歩きながら観察するように小首を傾げていた日和は、その中から一種、気になる花をその目に留めた。
「あ、これノウゼンカズラかな?
うん、やっぱり可愛いよね」
日和は、かつて薔薇に話し掛けたのと同じように、優しくその蜂蜜色の瞳を細めて、目の前のノウゼンカズラにそっと指を触れさせた。
その瞬間、蔦花の先が木から離れて、こくんとお辞儀するように日和の浴衣にぶつかって、
「あ、花が──」
花が日和の浴衣に触れた先から、すうっと消えて浴衣の中に飲み込まれて消えていく。
気が付けば、ノウゼンカズラの花々は無地の浴衣を移動先へと定めたかのように、溶け込んだ先の日和の姿を、可愛らしくも華やかにコーディネートしていた。
「ゆ、浴衣の模様になっちゃった……」
日和はしばらく驚きを交えて自分の浴衣のあちこちを見ていたが、それが一瞬のまやかしの類ではないと分かると、段々とその心は嬉しさに温かくなり始めた。
「ノウゼンカズラって夏のお花なんだけど、その浴衣ってあんまりないから嬉しいなぁ。
──向こうではお祭りがおこなわれてるみたいだね」
先を見通せば、あと少し進めば広いところに出られそうな雰囲気が伝わってくる。
「……行ってみようかな……」
気が付けば、ほんのりと心が浮き立つ自分に気付いて。日和は温かな胸の高揚を伴って、出口へ向かって歩き始めた。
「──」
「あら? 今の声は聞き覚えがあるような……」
恩が歩いた道の先、植物園らしき場所を潜れば、そこは開けた広場のようになっていた。
そこで、脳裏に聞き覚えのある声を耳にして恩が立ち止まる。
見回せば、そう遠くないところに、やはり見覚えのある姿が視界に触れた。知り合って間もないが、彼の雰囲気はとても印象深く残っている。
──ちらりと、彼の横顔が見えた。これは間違いない。
「あ、やっぱり征いち……神嶋ちゃんよね!
お友達と一緒みたい、声かけちゃ──♪」
「あ、早坂くんっ」
「あら……? 日和ちゃんじゃない!」
征一郎に声を掛ける直前、
自分に掛かった声の方へと目を向ければ、そこにはあまり話をする機会こそないが、同学年で顔を知る日和の姿があった。
「日和ちゃんも来ていたのね。浴衣すごく似合ってるじゃない♪」
「これね、不思議な現象でお花が浴衣になっちゃって……
早坂くんも、桜柄の浴衣とっても似合ってるよー。それもやっぱりお花が浴衣になっちゃたのかな?」
「そうっ、そうなの♪ 満開の花びらがとても綺麗で……
そうだわっ、向こうに私の知ってる子がいたの。皆の都合が良ければ一緒に回りましょう? 皆一緒の方がきっと楽しいと思うから」
そうして、その提案に日和の同意と歓迎を得ることのできた恩は、こっそりと征一郎と凪糸の後ろに回り込んで、二人の背中を軽く『つんっ』とつついた。
「──!?」
「うおっ? わっ、美人さん発見!」
凪糸と征一郎の二人が同時に、恩と日和の方へ振り返る。
凪糸は恩に良いリアクションで返したが、その側らでは偶然の出会いに驚く征一郎と日和の姿があった。
「結城……!」
「神嶋くん……! 来てたんだ……!」
驚きに揺れた、互いの瞳が大きく見開かれる。
「え? 神嶋ちゃん、こんな別嬪さん知ってるの!?」
「……」
凪糸の言葉を気に留められずに聞き流し、征一郎は日和の姿を改めて目に映す。
薄水色の色目が差し色に入る布地に、柔らかな橙色の帯、浴衣全体に花咲く優しくも鮮やかな朱紅色の花の数々。
征一郎が日和の浴衣姿を見るのは二度目だが、前回とは全く違うものを感じて、
「似合っているな」
半分は冷静を表に。半分は動揺を裏側に隠して想いを零した。
「え……?」
──七夕の時には、特に何も言われることはなかった。
日和の方も征一郎の言葉に、思わず自分の浴衣をきょろきょろ見渡して確認してしまう。
「え……っと。
皆、神嶋ちゃんのお友だちみたいだし、自己紹介っ。ね?」
とても露わに初々しい反応を取った二人に、恩は何となく二人の関係を察しつつ、征一郎へ全体への自己紹介を促した。
「……同じクラスの結城だ。
こっちは魔界のすごろくを成り行きでした時に偶然出会った早坂恩。
この馬鹿は御庭凪糸、勝手に宜しくやってくれ」
「ひどい! 馬鹿って!?」
「うるせぇな。訂正は受け付けねぇ」
凪糸の発言を蹴り飛ばしながら、征一郎がそれぞれの自己紹介を行う。
「凪糸ちゃんは初めてねっ。早坂恩よ。
同学年なのね、宜しく♪」
「早坂ちゃんだねー。オレは御庭凪糸、よろしくー♪」
奇しくも二人とも同学年でも一つ年上なことについては、この場では静かに伏せて置かれた。
「もう両手どころか、周りに花で眼福だよねー?
んー、幸せ」
「それは、まさか自分も含まれているんじゃねぇだろうな?」
凪糸の視線の先にいた征一郎が思わず問い掛ける。
「もちろん!
結城ちゃんに早坂ちゃんも。二人とも浴衣もよく似合ってて素敵だね」
「わ、ありがとう。嬉しいかも」
その瞬間、凪糸は征一郎の方から僅かにチリとした気配を感じた気がしたが、それを気のせいかとあっさり流す。
「ありがとう♪
凪糸ちゃんの浴衣模様になっている杜若も凄くお似合いよ?」
微笑む恩の言葉に、凪糸は覚えのない模様を確認するように自分の浴衣を確認する。すると──
「杜若……? 本当、いつのまに!?
ふは、綺麗だからこのまま残ると嬉しいなー!」
「ねえ。丁度さっき、日和ちゃんと皆で一緒に回れたら素敵よねってお話していたところだったの。
どうかしら、皆一緒に」
「賛成ー! こんな美人さんに別嬪さんと一緒に歩けるだなんて、オレ幸せじゃない?」
「……しょうがねぇな」
凪糸と征一郎の同意を元に、合流した一同はさっそく皆でこれからどこへ向かうかを相談し合う。
それを聞きながら、日和は横目で征一郎の様子を見ながら考えていた。
「(神嶋くんとお出かけするのは七夕以来だけど……なんだかあの時とは違う感じがする……。
悪い意味じゃなくていい意味でだけど)」
日和の感覚は具体的こそなかったが。歩くつど時間を過ごすほど。
それは確信へと変わっていくことになる──
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年10月14日
参加申し込みの期限
2018年10月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年10月21日 11時00分
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