ドリーム・ゲーム｜リアクション

ドリーム・ゲーム

「おー。こんな風になるんだ」

　白真白は自らの現在の格好を面白そうに眺めていた。今の彼女はファンタジーの魔女が来てそうな黒いゴシックドレスを身に纏っていた。
　神の使いとやらにいきなりゲームをプレイして欲しいと言われ、幾つかあるゲームの中から真白は無双系のゲームであるザ・ブレイドを選択。
　武器は短めの片手で扱えるバトルアックスだ。こういった渋めの武器もたまには使ってみたかったようである。

「お。あのマネキンが倒す敵だね」

　真白の前に次から次へと現れる黒いマネキン達。
　真っすぐに走って真白に向かって来たかと思えば、鋭い指の先を彼女へと向けて振りかぶる。

　それを見た真白は姿勢を低くし斧で足を叩き切る。
　俊敏な動きでマネキン達の攻撃を避け、その勢いのままにバトルアックスをすれ違いざまに斬りつけていく。

　だが、真白の避け方は隙を晒さない為かかなりギリギリまで引き付けての回避だ。
　それ故に時に本当にギリギリになる事もある。

「おっと！」

　今の攻撃は危なかったねと心の中で呟く真白。間一髪、ダメージこそ負わなかったが身に纏っている黒いドレスは無事ではない。
　多少破れても問題ないと思っているのか、その後も同じ回避を続けていった結果、ドレスは幾つもの裂け目が出来ていた。
　お腹が見えていたり、胸の部分で下着が見え隠れしていたり。更にはスカートは何故か縦の裂け目によってスリットのようにさえなっている。だが、真白は惜しみなく自らの太ももを曝け出している。
　正確に言えば、集中している為に気にしていないというだけだったりするのだが。

「冷たっ！？」

　突如真白から上がる叫び。どうやら彼女に対して水が浴びせられたようだ。
　そんな事をするのは勿論、現在も真白を包囲し続けるマネキン達だ。彼等には冷水を放出する機能も付いているのだ。

「え、今度は水？　でも、これ何の意味が……これ服が透けて……って今はそんなこと気にしてる場合じゃないかな」

　浴びせられた水によって黒いドレスが真白の肌に貼り付き、そして、段々と透けてくる。
　真白は身長は女子の中でも低い方だが、スタイル自体はかなり良く特にその胸は爆乳とさえ言える程だ。所謂ドランジスターグラマーになるだろう。

　そんな真白が切り裂かれたゴシックドレスを着た状態で水をかけられればどうなるか？
　答えは扇情的というシンプルにして絶対的なものになる。いや、扇情的と言う言葉さえ生温いかもしれない程だ。

　そんな状態になりつつも真白は変わらずマネキン達を薙ぎ払って行く。
　すると、マネキン達の増援がいなくなったタイミングでボスであるゴーレムが登場する。

「何かデカいの来た！？　ゴーレム？」

　真白の言葉に対して正解だと言わんばかりにパンチを繰り出してくるゴーレム。
　それを飛んで避けた真白はお返しとばかりにバトルアックスを振り抜く。しかし、先程のマネキン達とは一味違い腕に当たった一撃は弾き返される。

「硬い！　けど、やれない相手じゃない！」

　勝算はある。先程までのマネキンには使用する必要もなかったが真白には対象物を硬化するというろっこんがあるのだ。
　ゴーレムが放って来た岩を紙一重で避けた真白はそのままゴーレムの頭部へと飛びかかり、その勢いのまま振りかぶったバトルアックスを叩きつける。
　硬い物と硬い物がぶつかり合う音。しかし、それも刹那の瞬間でありゴーレムの頭部が砕け散る。

　ヒラリとスリットの入ったスカートを翻し着地する真白。
　まるでその様は本当の姫騎士の様でさえあった。