ドリーム・ゲーム｜リアクション

ドリーム・ゲーム

「仮想現実型のゲームか、面白そうじゃねーの！」

　水守流が如何にもワクワクしていますといった雰囲気で言う。
　そんな流が選択したゲームはザ・ブレイド。どうやらストレス発散に持って来いな無双ゲームと見て選択したようだ。

「まずは武器選択か……。ここはオーソドックスに剣タイプだな！」

　剣と一言で言ってもこのゲームではプレイに幅を持たせる為か武器の種類は多岐に渡る。そんな中、流は刀の形状をした武器を選んだようだ。

「ゲームスタートだぜ！」

「さーて、戦闘開始前に基本動作の確認っと」

　そう呟くと流はまずは手に持った刀を振り回す。刀はズッシリとした重量を伝えてくるというのにまるでそれがないように簡単に振り回せていた。
　更に軽くダッシュをしてみたり、その場でジャンプをしてみたりといった動作も行う流。

「うん、武器は重さは感じるのに簡単に振り回せるし、動作も普段の体力から考えられねぇくらいにスムーズだ、これならいけるぜ！」

　どうやら動作確認の結果は良好なようだ。

「あ、念のためにキャンセル行動とかもとれるか確認してみるか」

　キャンセル行動。つまりは動作の途中に別の動作を開始するというものの事だろう。
　例えば、ダッシュ中に急な横に跳んで見せたり、攻撃の際に上段からいきなり下段に変化させたりといったものになるだろうか。
　結論から言えばそれすら可能だったが、本人曰くキモイ動きになったようである。

「おっと、敵が出て来たみたいだな！」

　事前の動作確認が終わるまで待っていたと言わんばかりのタイミングで敵―黒いマネキン達が出て来て一直線に流の元を目指してくる。

「んじゃいっちょ暴れてきますかね！　ダッシュ横ナギキャンセルバックステップキャンセル回転切り！」

　マネキン達と合わせるかのように自らも駆け出す流。しかし、そのスピードはマネキン達とは比べて速い。
　そして、まるでどこぞのお店で注文する時のような呪文に似た言葉を言ったかと思えばダッシュ中に横に薙ぎ払いからのバックステップを行ったかと思えばその場で周囲全てを薙ぎ払うかのように刀を横にして一回転する。

「おぉお、何か若干視界が凄い事になったけど出来た！　これは気持ち良いー！」

　無双。その言葉を体現したかのように黒いマネキン達が何体も吹き飛ばされ砕け散る。
　手応えを確かに感じた流はこのゲームならばもっと色々な事が出来ると確信する。何せこのような動きをリアルですれば腕や足が大変な事になるし、酔ったりもするし無茶な事請け合いである。

「この調子で雑魚を蹴散らして…よーし、キャンセル技つなぐ限界に挑戦だ！」

　味方がやられてもマネキン達は気にもせずに変わらず向かって来る。
　そのマネキン達に向かって、流は今度は跳躍してからの空中でのダッシュを試してみればまるでそこに足場があるかのように身体が加速する。

「おりゃあぁあああ！」

　咆哮と共に身体を横に回転させてマネキン達に突っ込む。そして、それをキャンセルしたら再び地面をダッシュしながらの連続突きを行う。
　粉々に砕けていくマネキン達。流の無双はまだまだ始まったばかりだ。
　そこから限界に挑戦とばかりに流は様々なキャンセル技を繋いでいった。

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