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- 00月00日生 00歳
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【七夕】ミルキーウェイに愛を叫べ 屋台も楽し～い♪
短冊を書くテーブルの人だかりに、五十嵐 尚輝と御巫 時子の姿があった。
「本当に大丈夫ですか、御巫さん」
「はい、大丈夫です。これを書いたらまたどこかで休みますから……」
時子はそっと尚輝に寄り添うように立っている。紫の金平糖の効果がまだ抜けきれず、少しでも尚輝の近くにいたいのだ。尚輝は時子が具合が悪いと勘違いしてしきりに帰るように勧めたが、時子は大丈夫だからと何度も言った。結局折衷案として短冊を書いたらまた休む事となったのだ。
（見回りを邪魔してはいけないから、ここで一旦お別れですね……）
名残惜しく時子はそっと尚輝の浴衣の袖を掴む。心配そうに見返してきた尚輝に小さく微笑んだ。
『来年の七夕も晴れますように』
こう書いた短冊を、時子は尚輝の短冊と一緒に飾った。尚輝の短冊は『研究が思い切りできるように』。ぶれない人だ。
ひらひらと揺れる２人の短冊。
「素敵な七夕祭りですね」
時子の言葉に尚輝が微笑む。
（その笑顔を来年も傍で見られますように）
そっと、時子が願った。
＊
リンゴ飴をはじめ、色々な屋台を楽しみながら歩いていたシーナ・キュクノスとベルラ・ガーネブラッディ。鳥居の前に来ると、巫女さんに短冊と金平糖を渡された。
「この紙にお願い事を書くんですって。ベルラは……」
短冊を書くテーブルに立ち、シーナが笑顔で隣のベルラに声をかけたが、その言葉は最後まで続かなかった。ベルラが随分と真剣な顔をしていたからだ。
『シーナがずっと傍にいてくれますように』
己の心を短冊に映すように、ベルラはそう書いた。願い事なんて、それしか思いつかなかったのだ。
分かっている。おこがましい事だと。こんな俺が望んでいい事ではない。
それでも、どうしても願わずにはいられないんだ。……願う事すら、俺には赦されないのだろうか。
「……ルラ、ベルラ？」
シーナの声にベルラはハッと短冊を握り潰し、ポケットに入れた。
「……どうしたシー君？」
「いえ、ベルラは何を書いたのかなと思ったんですけど……それ、短冊ですよね？」
手の中の物を指摘され、ベルラは慌ててそれを握り潰した。
「いや、失敗しちまってな……まあ俺はいいさ。シー君は何て書いたんだい？」
「え、僕は……その……」
頬を赤らめごにょごにょと口ごもっていたシーナが恥ずかしそうに短冊を見せた。そこには。
『ベルラが長生きしますように』
「長生きか……見た目通りもうおっさんだぞー」
シーナの短冊にベルラが困ったように笑う。ううんとシーナがムキになって首を振った。
「ベルラは長生きするんです！ だって、だって……渡り鳥も帰る場所がなくなったら困るんですよ……」
胸が詰まった。思い起こされるのは夏至のお祭り。帰る場所を失ったくせに、憎しみだけはこの胸に溢れんばかりに残されていた事を知った。あの時、気が狂いそうになった時、貴方の名が僕を繋ぎ止めてくれた。ベルラ、ベルラ。教えて。僕はずっと貴方の傍に居ても―――。
溢れ出る感情に呑み込まれそうになる。その時、ぽんと頭に優しい感触がした。
「そうだな……おちびが願うなら」
シーナが顔を上げると、ベルラが深い瞳で見つめていた。
「せめてシー君が一人前の剣士になるまでは倒れてられんし……だから、そんな顔するな」
「そ、そんな顔って……別にどうもしてませんよ」
シーナは慌てて、少し潤んでいた瞳をぱちぱちと瞬きする。そして誤魔化すように「そういえば金平糖貰ったんだった」と小さな口に紫色の金平糖を放り込むと、ちょっと下を向きモゴモゴと呟いた。
「……一人前の剣士になっても、ですよ。……約束してくださいね」
「……ああ、わかった」
小さな子をあやすようにベルラはまたぽんぽんとシーナの頭を叩く。彼の掌の下で真っ赤になっていたシーナだったが、ふと気付いて顔を上げた。
「そう言うベルラは？ 『失敗した』って言ってたけど、何か書いたんでしょ？」
「ん、俺か？」
ベルラは少し間を置くと言った。
「俺の願い事は『世の中が笑顔で溢れますように』だな。……願うだけじゃあなく実現させたいがね」
「師匠ならきっとできますよ！」
シーナのまっすぐな瞳にベルラは眩しそうに目を細めると、またぽんとシーナの頭を叩いて言った。
「じゃあ短冊を吊しに行こうかね。……あの大きな笹に吊すらしい」
「はい！」
元気よく返事をして、シーナは笹に向かって小走りに駆け出す。カタカタとその危なっかしい姿にベルラはくすりと笑うと、ポケットに入れていた赤い金平糖を口に放り込んで歩き出した。
―――彼の切ない願いは、ポケットの中。
「本当に大丈夫ですか、御巫さん」
「はい、大丈夫です。これを書いたらまたどこかで休みますから……」
時子はそっと尚輝に寄り添うように立っている。紫の金平糖の効果がまだ抜けきれず、少しでも尚輝の近くにいたいのだ。尚輝は時子が具合が悪いと勘違いしてしきりに帰るように勧めたが、時子は大丈夫だからと何度も言った。結局折衷案として短冊を書いたらまた休む事となったのだ。
（見回りを邪魔してはいけないから、ここで一旦お別れですね……）
名残惜しく時子はそっと尚輝の浴衣の袖を掴む。心配そうに見返してきた尚輝に小さく微笑んだ。
『来年の七夕も晴れますように』
こう書いた短冊を、時子は尚輝の短冊と一緒に飾った。尚輝の短冊は『研究が思い切りできるように』。ぶれない人だ。
ひらひらと揺れる２人の短冊。
「素敵な七夕祭りですね」
時子の言葉に尚輝が微笑む。
（その笑顔を来年も傍で見られますように）
そっと、時子が願った。
＊
リンゴ飴をはじめ、色々な屋台を楽しみながら歩いていたシーナ・キュクノスとベルラ・ガーネブラッディ。鳥居の前に来ると、巫女さんに短冊と金平糖を渡された。
「この紙にお願い事を書くんですって。ベルラは……」
短冊を書くテーブルに立ち、シーナが笑顔で隣のベルラに声をかけたが、その言葉は最後まで続かなかった。ベルラが随分と真剣な顔をしていたからだ。
『シーナがずっと傍にいてくれますように』
己の心を短冊に映すように、ベルラはそう書いた。願い事なんて、それしか思いつかなかったのだ。
分かっている。おこがましい事だと。こんな俺が望んでいい事ではない。
それでも、どうしても願わずにはいられないんだ。……願う事すら、俺には赦されないのだろうか。
「……ルラ、ベルラ？」
シーナの声にベルラはハッと短冊を握り潰し、ポケットに入れた。
「……どうしたシー君？」
「いえ、ベルラは何を書いたのかなと思ったんですけど……それ、短冊ですよね？」
手の中の物を指摘され、ベルラは慌ててそれを握り潰した。
「いや、失敗しちまってな……まあ俺はいいさ。シー君は何て書いたんだい？」
「え、僕は……その……」
頬を赤らめごにょごにょと口ごもっていたシーナが恥ずかしそうに短冊を見せた。そこには。
『ベルラが長生きしますように』
「長生きか……見た目通りもうおっさんだぞー」
シーナの短冊にベルラが困ったように笑う。ううんとシーナがムキになって首を振った。
「ベルラは長生きするんです！ だって、だって……渡り鳥も帰る場所がなくなったら困るんですよ……」
胸が詰まった。思い起こされるのは夏至のお祭り。帰る場所を失ったくせに、憎しみだけはこの胸に溢れんばかりに残されていた事を知った。あの時、気が狂いそうになった時、貴方の名が僕を繋ぎ止めてくれた。ベルラ、ベルラ。教えて。僕はずっと貴方の傍に居ても―――。
溢れ出る感情に呑み込まれそうになる。その時、ぽんと頭に優しい感触がした。
「そうだな……おちびが願うなら」
シーナが顔を上げると、ベルラが深い瞳で見つめていた。
「せめてシー君が一人前の剣士になるまでは倒れてられんし……だから、そんな顔するな」
「そ、そんな顔って……別にどうもしてませんよ」
シーナは慌てて、少し潤んでいた瞳をぱちぱちと瞬きする。そして誤魔化すように「そういえば金平糖貰ったんだった」と小さな口に紫色の金平糖を放り込むと、ちょっと下を向きモゴモゴと呟いた。
「……一人前の剣士になっても、ですよ。……約束してくださいね」
「……ああ、わかった」
小さな子をあやすようにベルラはまたぽんぽんとシーナの頭を叩く。彼の掌の下で真っ赤になっていたシーナだったが、ふと気付いて顔を上げた。
「そう言うベルラは？ 『失敗した』って言ってたけど、何か書いたんでしょ？」
「ん、俺か？」
ベルラは少し間を置くと言った。
「俺の願い事は『世の中が笑顔で溢れますように』だな。……願うだけじゃあなく実現させたいがね」
「師匠ならきっとできますよ！」
シーナのまっすぐな瞳にベルラは眩しそうに目を細めると、またぽんとシーナの頭を叩いて言った。
「じゃあ短冊を吊しに行こうかね。……あの大きな笹に吊すらしい」
「はい！」
元気よく返事をして、シーナは笹に向かって小走りに駆け出す。カタカタとその危なっかしい姿にベルラはくすりと笑うと、ポケットに入れていた赤い金平糖を口に放り込んで歩き出した。
―――彼の切ない願いは、ポケットの中。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年09月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年09月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年09月22日 11時00分
