【七夕】ミルキーウェイに愛を叫べ　屋台も楽し～い♪｜リアクション

【七夕】ミルキーウェイに愛を叫べ　屋台も楽し～い♪

【お祭りへGO！】

　仲良し姉妹の仙藤紫と仙藤蒼は今、浴衣の着付けの真っ最中だった。

「ほら……動かないで、もうちょっとだから」
「う……でもこんなに帯きつく締めるの？　お姉ちゃ～ん」
「終わって力を抜けば、そうでもないから。……はい、できた」
　ぽんと姉から肩を叩かれ、ふうと息をついた蒼。目の前の鏡を見ると、その瞳が大きくなった。
「うわあ……」
　自分の事なのに、危うく「可愛い」と言いそうになった。それくらい我ながら似合っていたのだ。
　水色地に朝顔と金魚柄の浴衣。とっても夏らしくて涼やかだ。そしてそんな浴衣を纏った自分は。
（いつもより２割……いや３割増しに見える……）
　恐るべし浴衣マジック。蒼がしげしげと鏡を見つめていると背後からからかうような声がした。
「あら、自分に惚れたのかしら？」
「！」
　後ろを振り返ると、紫がくすくすと蒼を見ている。蒼が真っ赤になりながらぶんぶんと両腕を振った。
「ち、違うよお姉ちゃん！」
「そんな恥ずかしがらなくてもいいんだけど……あんまり浴衣で大きく動かないでね。着崩れちゃうから」
　姉の最後の一言に、蒼がしゅーんと小さくなった。

　蒼の浴衣の着付けはこうして一騒動だったが、紫は浴衣を手早く自分で着付けてしまい、あっという間に終わってしまった。
「お姉ちゃん、綺麗……」
　後れ毛を丁寧に直している紫に、蒼が呟いた。紫の浴衣は白地に紫色の紫陽花の柄。清楚でとても美しい。
「ふふ……ありがと」
　色っぽく微笑む紫に、蒼はぽーっと赤くなった。ああやっぱりあたしのお姉ちゃんはとっても素敵！
「ね、ね、早く行こう！　お姉ちゃん！」
　蒼は自慢の姉の腕を取った。
　―――こんな素敵なお姉ちゃんと浴衣でお祭りに行けるなんて、最高！

＊

　月見草の浴衣で鏡に向かい、月守輝夜はえへへと可愛く微笑んだ。

（浴衣を着るのってお祭りぐらいだから嬉しいな）
　鏡の中の自分は、少しだけ大人びていて、上品で。何だか自分ではないお嬢様がいるみたいだ。
（……会えたら、いいな）
　輝夜の心に浮かんだのは、ご近所の想い人青木慎之介の顔。慎之介君は浴衣の自分を見たら、何と言ってくれるだろうか。

「行ってきまーす！」
　輝夜は元気に家を出た。
　今日は七夕。……織姫と彦星が会える日だから、きっと会えるよね？

＊

「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん行ってくるね」
　弾む声で宮祀青果店から出てきたのは、祖父母孝行娘宮祀智瑜だ。

　赤地に薄いピンクの上品な花柄をあしらったお気に入りの浴衣。黄色の帯がアクセントになって、智瑜にとてもよく似合う。
　お揃いの巾着を持ち、下駄をカラコロ鳴らしながら歩く智瑜の大きな胸は、大好きな桐島義弘の姿と、乙女の期待に膨らんでいた。
（何だかきっと会える予感がする……乙女の勘です！）

　気合い充分。ドキドキワクワクと智瑜は寝子島神社に向かう。―――さあ、どうなる乙女の勘！

＊

（七夕まつりか……夏が来たなって感じね）
　羽生碧南は姿見に自分の艶やかな浴衣姿を映しながら思っていた。

　新調した今年の浴衣。鮮やかな椿を纏う碧南は、鏡に向かって可憐に微笑む。……うん、可愛いかも。
（そういえば、ゲームで浴衣のお祭りイベントあったなー……）
　碧南はほやほやと脳内に美麗スチルを思い浮かべた。そう、碧南がゲームと言ったら乙女ゲーム。あのキャラのちょっと襟元をはだけさせた淫らな浴衣姿、堪らなかったな……。
　もう碧南は自分の姿なんかそっちのけで攻略キャラのあーんな姿やこーんな姿を思い出し、にやにやうふふと微笑んでいる。……折角の可愛い浴衣姿なのに、残念極まりない。

＊

　人混みに流されるように歩きながら、何だか落ち着きがないのは滝原レオンだ。

（暇だったからなんとなく祭りに来てみたけど……）
　レオンは浴衣から出る己の首筋を所在なさげにさすった。これまたなんとなく浴衣を着てきたけど……落ち着かない。
　縦縞に裾に控えめに花模様が染め抜かれている男物の浴衣。なかなか彼に似合っているのだが。
（くそぅ……男物を着てる自分に違和感を感じるなんて）
　多分ここのところ頻繁に女装をしてきたせいだ。レオンは気恥ずかしさに火照りそうになる頬をぱたぱたと団扇で扇いだ。
　―――いかんいかん！　本来の性別を思い出せ。

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