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【七夕】ミルキーウェイに愛を叫べ 屋台も楽し～い♪
「おぉ……七夕ゆかた祭り……これは圧巻ですね」
道行く人々の楽しそうな顔を眺めて、志波 甲斐斗は細い目を更に眩しそうに細めた。
お祭り。老若男女が笑顔になってしまう、素敵な行事。ゆかた祭りと聞いて甲斐斗も藤色のすっきりした浴衣を着てみたのだが、お祭りを楽しんでいる人々の浴衣も様々な柄や色合わせで、見ているだけで楽しい。やっぱりお祭りに浴衣はいいものですね……としみじみしていると、その鼻がひくりと動いた。
「う～ん、これもお祭りならではですね」
ソースの強烈な匂いや、香ばしい匂い、甘い匂い。見事にブレンドされながら人々の食欲をガンガンに刺激してくるのだ。甲斐斗はそっと己の財布を取り出し、軍資金を確認した。
（屋台で売られている食べ物というのは、なぜこうも心惹かれるのでしょうか）
それはきっと幼少の頃の楽しい記憶が、味と一緒に刷り込まれているのかもしれない。
「それにしても……こうも屋台がありますと、悩みますね」
そう口にしながらも、甲斐斗の口の端は楽しそうに綻んでいる。うん、まずは飲み物でも買って、奥に進みながらどんな屋台があるかを確認していきましょう。
まず甲斐斗が目を留めたのははしまきの屋台だ。
（おや……久しぶりに見る気がします）
元々ローカルな食べ物なのかもしれないが、お好み焼きに場を奪われがちだ。片手で食べられる非常にお祭り向きな食べ物なのに。
（小さい頃、お祭りでは必ずと言っていいほど食べていましたね）
その屋台の前に立つだけで、当時の美味しさや嬉しさが蘇ってくる。
「すみません、１本お願いします」
甲斐斗は店主に頼んだ。もう当時とは違って、自分で稼いだお金を自由に使える。限られた金額からどれをチョイスするか悩むのも楽しかったが……やはり、好きな物を心ゆくまで楽しめるのはいいものだ。
甲斐斗ははしまきを買うと、少し人混みから離れて道の脇に移動した。確かに食べ歩きに適している食べ物なのだが、さすがにこの人混みだと躊躇したのだ。自分の浴衣ならまだしも、人の浴衣を汚してしまったら申し訳ない。
道の端で足を止めた甲斐斗は、ゆっくりとはしまきを食べ始めた。ソースとマヨネーズのはっきりした味が口の中に広がる。
（うん、小さい頃と同じように美味しいですね）
この紅ショウガがまた……と味わいながら、甲斐斗は行き交う人々に目を向けた。
（あの浴衣の柄、素敵ですね。なるほど、ああいう模様のつけ方もアリ、でしょうか……）
もぐもぐと食べながらも甲斐斗の目が真剣な物になる。それは、陶芸家の目。お祭りならではの色彩とデザインの氾濫は、甲斐斗の創造力を大いに刺激する。甲斐斗ははしまきを食べ終わるまで、たくさんのアイデアを膨らますのだった。
＊
松葉色の浴衣をさらりと着こなし、ぶらりぶらりと歩きながらお祭りの雰囲気を楽しんでいた八神 修は、ハッと足を止めた。
こんな人混みの中からでも俺はすぐ君を見つけられる。だって、そこだけ大輪の花が咲いたようだから。
修は近くまで行くと、ぽんとその肩を叩いた。
「あおい。君も七夕祭りに来たんだね」
七夜 あおいが振り返り、にっこりと笑った。
「あ、八神君！」
髪に花飾りをつけ、薄い桃色地の浴衣を纏うあおいは本当に可愛らしくて。美しい花の香りに酔ってしまったかのように、修の頬が少しだけ赤くなった。
特に予定もなくぶらぶらするつもりだったと言うあおい。それならと２人は少し一緒に見て回ることにした。
「屋台を見ているだけでお腹空いちゃうよね」
てへっと舌を出しながらあおいが笑う。修も同感だった。さっきから小腹が空いてる感じがしていたのだ。
「何かちょっと食べながら歩こうか」
「賛成ー！」
あおいが元気に手を挙げた。
「うんうん、リンゴ飴美味しいよね」
「そうだな。お祭りでしかなかなか見ないし」
仲良くリンゴ飴を買った２人は、ゆっくりと歩きながら甘さと酸味のハーモニーを堪能していた。
それにしてもたくさんの屋台だ。あおいも修もついつい目がいってしまう。
「たこ焼きもあるねー」
「綿菓子……人形焼き……あ、クレープも良いね」
「おっ、なかなか甘党ですな、修君？」
あおいが茶目っ気たっぷりに覗き込む。う、と修は目線を外して頬を染めた。
「もうそれは知ってるだろう、あおい」
「うんうん♪ だからお菓子作りも協力してくれるんだよね」
ありがたい話です、とあおいが笑う。
（それも、そうなんだけど）
本当は、傍で君の笑顔が見られるから。そんな想いをひっくるめて、修は笑った。
「うん、甘い物は幸せだよね」
本当に甘いのは、君の笑顔。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年09月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年09月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年09月22日 11時00分
