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夕暮れの町を疲れ果ててとぼとぼと歩く。
埋蔵金の洞窟の後、いつも行く小さな公園に行った。シーサイドタウンにある家庭料理屋『与一』にも行った。
母が切り盛りする店の扉からふわりと零れるあたたかな灯を前に、竜世は足を止める。中から聞こえる客の声をしばらく聞いていたかと思うと、
「……だめだ」
身体の脇にだらりと垂らした掌をぎゅっと拳にした。傍らのタイラが止める間もなく踵を返す。足早にその場から去る竜世の背中がまるで泣いているように見えて、タイラは無言で後を追った。
影を長く伸ばして歩いて行く竜世の背を見ていられなくなった。
(くそッ!)
俯く。掌に爪が食い込むほどに握りしめる。
(何でこんな事に……)
記憶を失くした竜世を元に戻してやるべく、ふたりで色んな場所を歩き回った。覚えている限りのことを話して聞かせた。それなのに、
(ボクは!)
唇を噛む。瞳を顰める。
(ボクは……何も……)
茜の色に染まる道を、竜世の力ない足音を耳にしながら歩く。
(何も、出来ないのかっ!?)
自分に、こんなにも力がないのだとは思ってもいなかった。竜世のために何かしら出来るはずだと、どこかで信じていた。少なくとも、竜世にとって自分は何かしらの意味を持つ存在なのだと思い込んでいた。
だってたくさん一緒に遊んだ。たくさん話をした。たくさん、バトルした。
先をとぼとぼと歩いていた竜世の足音が止まる。俯いた視界に、振り返った竜世の影が入って来る。
寝子島小学校にほど近い、何でもないような道の端っこ、竜世は夕焼け空を背に小さく笑った。
「やっぱ……何も思い出せねーや」
眉を下げて笑う竜世に、タイラは言葉を失くす。そんな悲しい笑顔が見たいわけではなかった。そんな笑顔を見るために一日歩き詰めたわけではなかった。
「いっぱい手伝ってくれたのにごめんな」
小さく詫びて踵を返そうとする竜世の腕を掴もうとして、やめる。萎えて座り込みたくなる膝に満身の力を込めて地面を蹴る。竜世の前に回り込み、その勢いのまま、力いっぱい全身で竜世にぶつかる。
「……うわっ!?」
初めてここで出合頭にぶつかりそうになったときは、タイラが飛び退いて避けた。けれど今度はタイラの方からぶつかって、竜世が尻餅をつく。
「なッ、え、……え?」
もつれこむように一緒に倒れる格好になって、怒るよりも仰天してきょとんと見上げて来る竜世の胸倉を掴み、額に額を打ち付ける近い距離で怒鳴る。
「ここでバトルだ!」
「お前と、バトル……?」
ぺたりと座り込んだまま呟いて、竜世は思わずギュッと眉を寄せる。
タイラの言葉の意味が分からなかった。だって何も覚えていない。バトルが何なのかも、どうすればいいのかも。
「いいから言うとおりにしろ、竜世」
叱りつけるように言うタイラの顔が、怒るのも泣くのも堪えているように見えた。露草の色した瞳に強い光を見て、竜世はこくりと頷き返す。
「……わかった」
先に立ち上がって伸ばしてくるタイラの手を掴み、立ち上がる。
黄昏の路地で、少年たちは対峙する。
ポケットからスマホ取り出す。倣うようにポケットを探る竜世を視界の端に捉えつつ、タイラは同じくポケットから取り出した白虎型のカプセルギアを地面に置いた。
「バルティーグル!」
愛用のカプセルギアの名を呼び、スマホの専用アブリを起動させる。
「ギア、スタンバイ」
初めてバトルをしたときは、竜世を初心者だと侮って痛い目を見た。
(今回は油断しない)
あの時と同じようにどこかぎこちなくポケットに見つけ出したフレイムドラゴン型のカプセルギアをセットする竜世の横顔を見つめる。
初戦は竜世を侮り、バルティーグルが本来得意とするステルス機能『潜伏』を使った攪乱戦闘は行わなかった。
(だが)
今回も、『潜伏』は使わない。それは記憶のない竜世を気遣うわけでも軽視するわけでもない。むしろその逆。
竜世は、強い。記憶を失っていてさえ、きっと強い。
そう信じるがために、その竜世と真っ向から戦いたかった。
「ギア、スタンバイ」
タイラに口調を倣い、竜世はスマホの『A.I.C.O.』表示に指を這わせる。ついっ、とスワイプすれば、相棒であるカプセルギアの名が示された。
「いくぜ、スターライトナイト」
その名を当たり前のように読み上げてから、思わず瞬く。スターライトナイトを操作した記憶なんてないはずなのに、口から勝手にそんな力強い言葉が出て来た。画面に表示されるバーチャルパッドの操作方法も、指先が覚えている。つ、と指を動かせば、スターライトナイトは力強く真紅の翼を羽ばたかせ宙に舞った。
竜世のアンバーの瞳が夕陽の光に輝く。
「いくぜ、『plat』!」
「来い、『リュウセー』!」
紅い竜が吼える。白い虎が牙を剥く。
先に仕掛けたのは、スターライトナイト。竜世の操作に従い、紅い翼に風を巻き付かせバルティーグルに挨拶代わりとばかり突進する。
「甘い」
鋭く、けれどどこか楽し気にタイラが叱責じみた声を放つ。タイラの声に反応するかのように素早く、バルティーグルが宙を踏む。スターライトナイトの風を奪ったかの如く、空中に見えない足場があるが如く、空中に跳ね上がる。
「っ……スターライトナイト!」
攻撃が来ると読み、竜世は慌ててバーチャルパッドを操作する。強靭な尻尾を舵代わりに回避行動を取らせた、次の瞬間。
「今だ、バルティーグル」
回避した先にバルティーグルが跳んだ。刃じみた鋭い爪が閃く。スターライトナイトの横っ面、爆ぜる炎と共に傷が走る。
衝撃に吹き飛ばされるスターライトナイトの体勢を立て直そうとするも、追撃がかかる。恐ろしいほどの身体のバネを見せ、バルティーグルが跳躍する。紅い鱗に覆われた逞しい腿に虎の牙が食い込む。
「そうではないはずだ」
地に落ちる紅い竜を、歯を食いしばる竜世を見下ろし、タイラは静かに吠えた。
「お前は、……お前が、そんなに弱いはずがない」
ここで負けたら、終わる。竜世はそう直感する。
タイラの寄せてくれた信頼に応じなくては。まっすぐに向かい合ってくれたこの青く碧い瞳に答えなくては。
(イヤだ……)
ここで負けてしまえば、この瞳はきっとそっぽを向く。失望した背中を見せて立ち去ってしまう。並び立つ資格を失ってしまう。それは絶対に、嫌だった。
(もっと、もっとコイツと戦いたい!)
だって、
(ワクワクするんだ)
手を引かれて色んなところに行くのも楽しかったけれど、こうして向き合って、自分の全てで以てぶつかり合うのは、これは、
(もっとずっと上のドキドキだ)
痛いほどに脈打つ心臓を片手で抑える。
「スターライトナイト……」
倒れて動かぬ紅いドラゴンに強く呼びかける。
「もう一度だ!」
マスターである竜世の必死の声に、スターライトナイトの目に再起動の光が夕陽よりも赤く紅く、煌いて燃え上がった。
「――ッ!」
瞬間、空っぽだった胸の奥、紅い焔が燃え広がる。紅い翼のかたちして、忘れていた大事なもの何もかもが、身体を満たした。
紅いドラゴンがその身に炎を巻くが如く立ち上がる。
「いっけー!」
白い虎が宙を駆けるよりも速く空へと舞い上がり、
「メテオキャノン!」
マスターの命令とほぼ同時、紅い焔の弾をその顎から放つ。
風より速い焔の砲弾がバルティーグルに襲い掛かる。回避する隙さえ与えず撃ち、白熱する光を撒き散らす。
「ああ、……くそッ」
夕陽よりもきらきらと輝いて散って行く光を挟み、タイラは敗北の悔しさを小さな溜息に代えた。
消えて行く炎の向こう、竜世が笑っている。
「タイラ」
教えていなかった名を竜世の口からはっきりと聞いた。
「……ありがとな」
激戦の名残に肩で息をする竜世に向け、タイラも笑う。
(ようやく思い出したか)
まっすぐに向けて来る竜世のまなざしが、腹の内にあったもやもやとした悲しい色の感情を消して行く。
湧き上がる喜びは、けれど素知らぬ顔で抑え込む。
「だからお前はトリ頭だというんだ」
素っ気なく言い放ってみせれば、竜世はいつも通りにムッとむくれた。
(トリ頭トリ頭って)
記憶をなくした原因も理由もよくわからないけれど、
「今回のは……事故みたいなもんだろ、いつもここまでじゃねーよ!」
言い返して来るだろうと身構え待ち構えるも、けれどタイラは気難し気な顔をふっと笑み崩した。抱え込んだしがらみのすべてを蹴倒したような吹っ切れた笑顔で、開いた掌を差し出して来る。
初めてバトルしたあの時は、竜世が手を差し出し、タイラが振り払った。
けれど、今度は。タイラが竜世に掌を差し出す。鮮やかに笑う。
「お前がボクのライバルだ、竜世!」
友達よりも何よりも。その関係が自分たちには一番ぴったり当てはまる。
「だからもう二度とボクを忘れるなど許さないぞ」
「おう」
以前自分の手を振り払ったタイラの手を、今度はタイラから差し出して来た手を、竜世は強く握り返す。
「もうぜってー忘れねえ」
ぎゅっと握り合い、ぱちんと打ち合って離そうとして、
「……けれど今日の事だけはさっさと忘れろ」
タイラが掴んで離さなかった。ぐいと引き寄せられ、声を潜めて囁きかけられ、竜世はきょとんと眼を丸くする。
「なんで」
「今日のはイレギュラーだ」
「えー」
「ボクもお前の情けない姿を忘れてやる」
だから、とタイラは不機嫌な顔で続ける。
(ボクが付きあってやった事も不安に思っていた事も)
「全て忘れてしまえばいい」
真剣に覗き込んでくる露草の瞳に、竜世は勝気な笑みを映しこむ。ぎゅーっと掴んでくる手をいいことにそのまま引っ張り、家に足を向ける。
「ちょーどいーや、タイラ、うちでご飯食べてけ」
「聞いているのか、竜世!」
わあわあと喚くタイラの声を背中に聞きつつ、竜世はくすくすと笑う。
今日までのタイラも、今日のタイラも。タイラのことさえ忘れてしまった自分を助けてくれたことも、記憶が戻らない自分をすごく心配してくれたことも、
(全部、忘れてやんねえ)
大事なライバルのことを、二度と忘れたりするものか。
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年08月21日
参加申し込みの期限
2018年08月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年08月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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