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【夏至まつり】キャンドルナイトに星も燈りて
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●夜の海に燈す願いは(3)
「先生、こちらの蝋燭をどうぞ」
メーベル・コルテージュ
が差し出した紫色のキャンドルをまじまじと見るや、
「うん? 蝋燭?」
と、エクレアを食べ終えた
ヴェルト・レトランジェ
は怪訝な顔になって、首を傾けた。
「願いを込めて海に流すと良いそうですよ」
「ふーん、成る程……なら、僕としてはその、緑色のものの方がいいのだけれど」
「……こちらの方がよろしいのですか?」
メーベルの声に、僅かに驚きが滲む。
互いの瞳の色をイメージして選んできたキャンドルだ。
(まさか、こちらを所望されるとは思いませんでした)
メーベルが考える横、ヴェルトは執事の瞳のエメラルドグリーンを見て、問う。
「何か問題でもあったかね?」
「いえ、俺はそれでも構いませんが……」
「なら、早く寄越し給え。願いを込めて流すんだろう?」
しかし、海のある場所ならではの発想だね、と呟くヴェルトの手に、緑色のキャンドルが渡った。
手渡したメーベルへと、ヴェルトは尋ねる。
「それにしても、願い……願いか。君、何か願いはあるかな? 聞かせておくれよ」
問いを受け取って――メーベルは、微かに眉を下げた。
「俺の願い、ですか。少々、困ってしまいますね」
「……君は、いつもそうだな。前も……何を聞いてもそうだ」
「……そんな顔をなさらないでください、先生」
海に、ぽつ、ぽつ、とキャンドルの灯りが流れ始めている。
沈黙を波音が埋める中、ヴェルトはメーベルの顔を、真正面からじぃと見つめた。
「……生まれついての無欲なのかね、君のそれは」
「無欲なつもりは無いのですが……あまり、野心家ではないのかも知れませんね」
「拾った時は、そうじゃなかったとも思うのだけれど」
「ふふ、面白みのない人間になってしまって申し訳ありません」
メーベルが、くすりとする。
やれやれ、と、ヴェルトは大袈裟なため息を吐いてみせた。
「相変わらず、つまらない男だね」
「そういう先生は、何を願うんです?」
「……僕?」
同じ問いを手渡されて、ヴェルトは、きょとりと瞳を瞬かせる。
顎に手を宛がって、暫しの思案。そして。
「僕は……退屈しない生活、といったところかな」
「先生らしいですね」
「いつも面白いことが起こってほしいんだよ、僕は」
言って、ヴェルトは、色とりどりの星を放ったような海に、自身のキャンドルを流した。
メーベルも、それに倣う。
2つのキャンドルが、柔らかな波に誘われるように、どこまでも遠ざかっていく――。
メーベルは、それらを見守るように海を見つめたままで、ぽつりと零した。
「……しかし、先生。人の願い事を聞くなんて、少々無粋ではありませんか?」
「よく言うね。君だって同じことを尋ねたじゃないか」
「ああ、そうでしたね。まあ、元より冗談です。お気になさらないでください」
「全く……。……それに僕はね、君だから聞くんだよ」
キャンドルはもう、星の海に紛れてしまった。
波の音に紛れそうな囁きにはっとして、ヴェルトの方へと、眼差しを戻すメーベル。
ヴェルトは、そのアメジストの双眸で、メーベルをしかと捉えていた。
視線と視線が、絡み合う。
知らず詰めていた息を深く漏らして、メーベルはまた口を開いた。
「……聞いても、面白いものではありませんよ」
「前置きはいいよ。面白いか面白くないかは、僕が判断する」
ヴェルトは、眼差しをメーベルの顔から逸らさない。
降参です、と言葉にする代わりに、メーベルは自分の方から、遥か海へと視線を逃がした。
そうして、ことりと語る。
「俺の願い事は、現状維持です……つまらないでしょう?」
「……現状維持、ね」
呆れ返っているのを隠そうともしない声音で言って、ヴェルトも、海を見遣った。
「ああ、つまらないね、本当に……」
語り口に似合わない、退屈した子供が漏らす不満のような少し拗ねた響き。
ヴェルトが心底から「つまらない」と感じているのがわかって、メーベルは小さく苦笑した。
「けれど平穏な日常というのは、つまらないようでいて大きな価値のあるものですよ」
先生には解らないかもしれませんが、と、付け足す。
少し考え込むような間があって、ヴェルトが問いを零した。
「しかし本当に、現状維持でいいのかい?」
「そんなに納得がいきませんか」
「だってそれは、今まで通り、僕にこき使われてもいいってことにもなるだろう?」
理解できないね、と一旦話を閉じた、その最後のところは独り言のような調子だった。
そんなヴェルトの様子を目に、メーベルは、
(そんなの……いいに、決まっている)
と、胸の内だけに応じる。
――先生が、俺が傍にいることを許してくれる、俺を必要としてくれる。
――そんな奇跡の上で、この生活は成り立っている。
その『奇跡』は、酷く曖昧で、不確実なものだ。
少なくとも、メーベルはそう感じていた。
(いつ先生が気まぐれを起こすか、俺には解らない。俺は、先生と共に生きることは出来ない)
手を携え合って歩むには、互いの歩幅が、あまりにも違いすぎている。
それは、紛れもない事実だった。
(ならばせめて、この命果てるまでは……と。そう思ってしまうのは、きっと俺の我儘なのでしょうね)
このかけがえのない日常が、長く長く続いてほしい。
メーベルが胸に抱く願いは、どこまでも真摯なものだった。
海に、キャンドルの炎が、数限りなくさざめいている。
闇に沈む海は、果てない夜空。キャンドルの灯りは、星の瞬きだ。
「……星が綺麗ですね、先生」
相手の顔は見ずに、そう伝える。
言葉通りの受け取り方以外にも、幾つかの意味があるフレーズだ。メーベルはその台詞に、
――あなたはこの想いを知らないでしょうね。
という意味を込めた。
ヴェルトが、どこか可笑しげに笑う。
「君にしては、面白い事を言うじゃないか。でもまあ……」
「そういった言葉は、女の前で言い給え」
はぐらかしたのか、メーベルの意図に気付かなかったのか。
真実は、ヴェルトの心の裡にしかない。だからメーベルは、
「……冗談ですよ」
なんて、仄かに微笑して、全部、『なかったこと』にするのだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
巴めろ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年08月06日
参加申し込みの期限
2018年08月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年08月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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