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海の家『みなとねこ』の一日 《夏の準備編》
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厨房の作業台には包丁にまな板、様々の形した型抜きに、食器棚の奥から発掘された手動かき氷機に硝子の器、ホームセンターで揃えて来た使い捨ての器やカトラリー、ザルには宮祀青果店直送のとげ付き胡瓜やぴかぴかの茄子に真っ赤なトマトに朝採りトウモロコシなどの野菜に、甘い香りのバナナやパイナップルなどの果物。
「氷入れたし、食材入れたし、……」
そう広くはない厨房を巡って揃えたものを確認し、日暮は方々に呼びかける。
「色々片付いたらな、海の家っぽい食べ物や飲み物作ってみてくれへんか。作ったもん試食してな、良さげなやつ品書きにするよって、頼みます」
「試食会するのかしら?」
土間と厨房の間に設けられたカウンターに両手をつき、買い出しから帰った珊瑚がわくわくと目を輝かせる。
「それなら綺麗にしたばかりのお座席に座ってどうぞ、なのだわ!」
白い掌を翻し、ゴザを敷き長机を並べた小上がりを示してみせる。そうしてから、くすくすと悪戯っぽく笑う。
「私も少しいただいて良いかしら?」
「私も、……いい?」
長机を布巾で拭いて回っていた絢が黒い瞳を遠慮がちに瞬かせる。
「私も試食出来るかしら」
「……料理のメニューも、確かに欲しいよね」
手にはゴミ袋と軍手、首にはタオルを装備した紫と夏朝が通りがかりに声を掛けて行く。
「うん、たのみます」
「日暮さん」
個人的には、とちょっと考えてから夏朝は提案する。
「かき氷やたこ焼き等の軽食系は欠かせないかな」
「海の家の食事といえば屋台モノだよね」
良太と一緒に看板を描き上げ、次は何をしようかと通りがかった月詠が大きく頷いた。
「かき氷、焼きそば、ラーメン、玉蜀黍……焼きそばは定番」
作業台の野菜に紅い瞳を投げ、楽し気に微笑む。
「いい玉蜀黍がありますよ、焼き玉蜀黍にしましょう!」
野菜の仕入れ先である宮祀青果店の看板娘、智瑜が朗らかに笑う。
「そろそろ飯時か。任せろ、料理も芸術だよ」
大工仕事の次に調理仕事にターゲットを絞る芸術家の少女をいそいそと厨房に招き入れ、日暮は夏朝に手を振った。
「出来上がったら呼ぶさけ、楽しみにしとり」
「うん、ありがとう」
紫と一緒に外回りの掃除に出ようとして、夏朝はふと思い出したようにぱたぱたと駆け戻る。カウンターから身を乗り出し、日暮にそっと話しかける。
「……猫さん用の食事も置いときたいな」
「夏朝は猫好きなんやねえ。かつぶしとかの小袋も用意としこな」
夏朝の栗色の瞳が仔猫じみて細くなる。つられて笑んで、日暮は軒下に佇み海を眺めて一休みしている赤銅の髪の少年に気づいた。ひらひらと手招きする。
「なあ、なんか飯なと作ってみぃひん?」
「……食べ物か」
白いペンキのついた手を眺め、幽の方が手早く塗り上げた外壁を眺め、悠月は小さな息を吐く。慣れない作業ばかりとは言え、
(まだ食べ物の方が貢献できる気がする……)
いつかのテレビで見た記憶を探ってみる。白い壁の海の家と共に印象に残っているのは、ふわふわの氷に色鮮やかな蜜と練乳がたっぷりかかったかき氷に、
「……ロコモコ丼はどうだ」
「ろこもこどん? 食べ物なん?」
怪訝そうに首を捻る日暮に、悠月は顎を引く。テレビ画面に見たロコモコ丼はご飯の上にレタス、グレービーソースのかかったハンバーグに目玉焼きが乗っていた。見た目を可愛らしくすれば女性受けするだろうし、とアイドルデュオ【Re】として女性ファンも多く獲得している少年は真面目に思案する。
(肉が入ってるからガッツリ食べたい男でも満足できそうだ)
そう考えた途端、ちらり、海の色が視界を過った。海の底の色にも似た瞳をした同い年の少年の悪戯な笑顔が脳裏を過った。
「試作でつくってみるか」
甘い毒に侵されてしまいそうになる頭を、目の前の作業へと無理やりに切り替える。まずは、と携帯電話でロコモコ丼のレシピを検索し、厨房に入る。
(市販のソースを使えば簡単にできるのか)
手についたペンキを丁寧に洗い流すうちに、頭の中で何度かレシピをなぞる。
冷蔵庫を探してみれば、適当に揃えたらしい食材の中にレトルトのハンバーグまであった。簡易で時間が掛からない方がいいだろうと見当をつけ、今回の試作にはそれを使うことにする。
空っぽの炊飯器を覗き込み、まずは米を研ぐところから始める悠月の隣、腕まくりした月詠が厨房に元から備え付けられていたガス式の鉄板に火を入れる。分厚い鉄板が熱せられるまでの間、手早く野菜と豚肉を刻む。
熱した鉄板にラードをジュッと広げ、袋入りの蒸し麺を手でほぐして入れる。広い鉄板の片方で麺を焼き上げる間に、片方で豚肉と刻み大蒜に火を通す。肉の色が変わったところで刻みキャベツを投入、サッと炒めて具材を全てかき集め、その上に麺を乗せる。
「……手際ええなあ」
感心した日暮の眼差しに得意げな笑みを一瞬浮かべ、月詠は完成間際の焼きそばに塩とウスターソースを掛ける。鉄ヘラをカカッと鳴らして混ぜ合わせ、広げて熱したところに天かすと青葱に紅生姜、とどめはお好み焼きソースを鉄板にかけて香りを立たせる。
「やっぱ焼きそばだよな!」
ソースが焦げる香ばしい匂いを嗅ぎつけ、刀がカウンターを飛び越えかねない勢いで厨房に侵入してきた。焼きそばを食らい尽しそうな食いしん坊に、月詠は目もくれず鉄ヘラの先を向ける。
「待て」
鋭く命じられ、刀はその場でピシリと気を付けの姿勢をした。
刀が言うことを聞いている間に、月詠はテイクアウトを想定したプラスチック容器に焼きそばを盛り付ける。青海苔と鰹節をさっと振れば、月詠特製焼きそばのできあがり。
「さあどうぞ」
「いただきます」
真っ先に受け取る刀を厨房から追い出すついで、月詠は作った分の焼きそばを容器に入れ、割りばしと共にカウンターに並べる。
「海の家には焼きそばが必要なのです?」
どこからか現れたエロが焼きそば入りのパックを覗き込み小首を傾げた。
「焼きそばパンも出すといいのです」
寝子高の名物なのですー、と微笑むエロに、月詠はそれもいいねと頷き返す。
「何より海辺で食べ易そうだ」
「作ってみるのですー」
エロはふらりと厨房に入る。手慣れた仕草で野菜を刻み、月詠と同じように焼きそばを作ろうとして、――できあがったのは、何故かナポリタンスパゲティと冷や麦。
「エロは、……」
一皿分のスパゲティと一椀分の冷や麦を片手ずつに捧げ持ち、エロは小上がりの長机の前に座り込む。
「エロは焼きそばが作れなかったのですー」
つくねんと座りスパゲティをつつき冷や麦をすするエロの背を、見かねた日暮が慰めるようにぽんぽんと叩いた。
「えっとね、麺類には違いないのできっと大丈夫なのですー」
「せやなあ、麺類やなあ」
「海の家で冷や麦も風流なのですー。たぶん」
「せやなあ、冷とうて旨そうや」
エロに頷きつつ、日暮はなんだか不安げに厨房を見遣る。カウンターの上に堂々と並ぶ焼きそばを見つめる。
「わし、月詠みたく上手に作れるやろか」
「器用だから大丈夫!」
呟く日暮に、智瑜が力強く請け負った。
「何なら教えますし、……そうです!」
ふと思い立って、智瑜は日暮を伴い鉄板の前に立つ。空いた鉄板の汚れをペーパーで手早く拭い、厨房の戸棚に見つけた猫のかたちした抜き型を幾つも並べる。
型が温かくなったところを見計らい、中に卵を落として焼けば、猫のかたちの目玉焼きのできあがり。
「焼きそばに乗せてみませんか」
「こんが喜びそうや」
「分けて貰えるか」
厨房の端で黙々と作業をこなしていた悠月が猫型の目玉焼きに目をつけた。焼き上がった半分は焼きそばの上に、もう半分は、炊き立てご飯とシャキシャキレタスとレトルトのデミグラスソースハンバーグを重ねたロコモコ丼の上に。
「彩的にはミニトマトも乗せたいところだが……」
旬とは言え、ミニトマトは単価が高い。
「その辺は予算と相談でいいだろう」
「おおきに。せやなあ、やっぱり安価な方がええよなあ」
けど、と日暮は作業台の上の野菜籠を漁った。ミニトマトのパックを取り出し、短く笑う。
「今日は折角仕入れたさけ、入れといたろ。特別や」
「特別か。……そうだな、特別だ」
二品がカウンターの上に並んだところで、店の掃除に回っていた面々が試食会へ呼び戻された。
「うまい!」
小上がりの縁に腰掛け、待ちかねたように焼きそばを口にした刀が屈託のない声をあげる。
「猫さんだね」
ロコモコ丼や焼きそばに可愛らしく鎮座した猫型目玉焼きに夏朝がふわりと表情を緩める。長机の前に座した女性陣も笑顔で頷く。
ソース焼きそばとロコモコ丼のメニュー入りが決定した。
うまいうまいと焼きそばをがっついていて、
「違う」
はたと刀は気づいた。もちろん試食しようとは思っていたが、まずはメニュー考案が先だった。慌てて挙手する。
「ん、御剣」
「塩焼きそばも作れるか?」
応じた月詠に言えば、芸術家の少女は事もなげに応じた。
「冷凍の魚介があったな。造作もない」
早速試作しようと冷蔵庫を開く月詠の小柄な背を見、刀は厨房へ立ち戻る。月詠と肩を並べて冷蔵庫を覗き込む。
「塩焼きそばの他に何か案はあるかね?」
「冷やし中華とお好み焼き」
「ふむ」
「お好み焼きは麺でボリュームアップできるし、冷やし麺用のハムとか卵とか共用すれば材料の種類を減らせるはずだ」
一度に保存できる材料の量も限界あるだろうし、と刀は業務用冷蔵庫の大きさを確かめる。節電のためにも冷蔵庫の詰め込みすぎはよろしくない。
「材料の種類は出来るだけ抑えたいよな」
後は、と冷蔵庫の扉ポケットに立てられていた炭酸水を取り出す。熱中症対策にスポーツドリンクの用意は必須として、もうひとつ別に、『みなとねこ』特製のものがあってもいい。
「塩レモンスカッシュとか? 試作するから飲みたい奴は集まれー」
「あっ、はーい! はーいっ!」
店の外から幽が元気よく片手を上げた。タオルで顔中の汗を拭いながらカウンターの前に立ち、月詠から君もどうぞと焼きそばを貰う。
「あざっす、いただきます!」
刀から試作の塩レモンスカッシュももらい、幽はゴザの上に上がり込んで昼食も兼ねた試食会に参加の構え。
「そういえば食べ物とかも考えなきゃっすよね。あ、焼きそば美味いっす、海の家って言えば焼きそばっすよねー」
あとは何だろう、と塩レモンスカッシュの爽やかさに思わず唸ってから、ぽんと胡坐の膝を叩く。
「やっぱかき氷?」
「夏にはかき氷が美味しいそうなのですー」
冷や麦をもぐもぐしていたエロが同意する。
「水とシロップだから原価も安いのですー。かき氷の氷にこだわるといいそうなのですー。ねこ温泉郷の湯冷ましから氷を作るのですー」
「シロップの種類をドーンと十種類くらいにしたら人気出そうじゃないっすか?」
SNS映えもするし! と幽は拳を固める。定番の苺にレモン、メロンにブルーハワイにみぞれに抹茶に桃、
「コーラとかパイナップルとか、ブドウとかも夏っぽいと思うんすよー」
「今あるんは苺とレモンだけやなあ」
「これ食べたら、俺買い出し行きますよー!」
それならこれも食べて行け、と月詠と刀からできたての海鮮塩焼きそばとお好み焼きもお代わりにもらい、幽は頬を緩めた。
「あざっす!」
男子高校生らしい旺盛な食欲でエネルギー補給に取り掛かる幽の傍、縁側から上がり込んでころころとゴザの上を転がってきたこんを智瑜が捕まえる。
「こんちゃん、かき氷の盛り付けを一緒に考えてくれませんか?」
縁側で円とおしゃべりに興じる夕に声を掛けるのは遠慮して、智瑜はこんと一緒に厨房に戻る。
「かき氷の氷は少し溶けたぐらいで削るとふわふわになるみたいです」
ねこったーで得た情報を話しつつ、智瑜は作業台の上に置かれたかき氷機を引き寄せる。専用の氷を用意してもいいけれど、今日のところは製氷皿で作った氷や買い出し班が買って来てくれたブロック氷を使おう。
「フルーツジュースを凍らせて削ってもいいですね」
「じゅーす!」
うわあ、と幼子の姿したこんが顔を輝かせる。
こんのおかっぱ頭を一撫でして、智瑜はあらかじめ冷凍庫に入れて凍らせておいた色んな果物と小さめの抜き型を取り出した。こんと一緒に、凍らせたパイナップルやバナナの輪切りをペンギンや猫のかたちに可愛く抜き出す。
「かき氷にフルーツを乗せるのはいいアイデアだな」
食器や調理器具を片付けていた悠月に声を掛けられ、智瑜とこんはくすぐったそうに笑い合った。褒めてくれた悠月にはこんが型抜きしたパイナップルのペンギンをご進呈。
「レモンにはパイナップルのペンギン、苺にはバナナの猫、……ちいさな子供さん用に動物シリーズとか作ってもいいかもしれませんね」
「こん、ねこ! ねこがいい!」
そうするうちに程よく溶けだしてきた氷をかき氷機にセットする。
「見た目と味が大事です」
智瑜が手動のハンドルを回せば回すほど、硝子の器にさらさらと積もって行く薄い氷の欠片に、こんはきゃあと歓声をあげた。
「かき氷の機械は一台で足りるか?」
「客入りがなあ、まだ読めへんさかいなあ……」
和気藹々な試食会の片隅、月詠と雇われ店長は設備投資会議に入る。
「来るだろう」
「来るやろか」
真剣な顔でほとんど睨みあう。先に目を逸らしたのは日暮だった。
「まあ、ようがんばってもろとるもんなあ、来てもらわな困るなあ」
「かき氷機を増やすとなると氷の注文と保存設備を……エロが言っていたように温泉郷の湯を使うにしても設備が必要だ」
「外置きの冷凍庫用意せなあかんか」
「鉄板は洗うけど、あれ一枚だと不安だし替えを発注……考えるほどやることも費用も増えていくな」
そこでもう一度、月詠は雇われ店長にひたと目を据える。
「予算は?」
う、と日暮は言葉に詰まった。じりじりと目を逸らす。
「もう一度問おう。予算は?」
畳みかけられ、海の家経営に詳しくもない雇われ店長は折れた。オーナーであるねこ温泉郷の番頭から与えられた予算を素直に吐く。
「……ふむ」
月詠の白い眉が楽し気に跳ね上がった。
雇われ店長の青年が小柄な少女にやりこめられる様を横目に見つつ、試作品の試食を終えた絢は筆ペン片手に画用紙や短冊にお品書きを書き出して行く。それを珊瑚や絢や夏朝、紫の試食女性陣が壁のあちこちに貼りだして飾れば、店の中はますます海の家めいてきた。
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日常
定員
15人
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15人
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シナリオガイド公開日
2018年07月29日
参加申し込みの期限
2018年08月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年08月05日 11時00分
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