緑の戦場、バードロイヤル！｜リアクション

緑の戦場、バードロイヤル！

　新田樹は見つけた銃器に目を輝かせる。
「これ、アサルトライフルよね」
「その通りである。地の利を活かし、散在する銃火器を用いて敵を屠るがよい」
　頭の上の声に樹は諸手を挙げて喜んだ。
「戦争だ！　このゲームに勝ち抜いて私が一番になるよ！」
「その意気である」
「そんなわけで突撃！」
　水色のセーラー服姿で草原を走る。いつでも撃てるようにアサルトライフルを胸元に構えた。
　足元に近いところの草が爆ぜた。樹は素早く草原に伏せる。
　左前方の岩陰に光る物を認めた。
「七十メートルくらいだね」
　草原には遮蔽物となる物が散らばっていた。鉄線が飛び出た残骸に注目する。
「決まりだね」
　樹は身を低くして走り出す。同時にろっこんを発動させた。『箱庭』の力で瞬間的に物質は移動して主を守るかのように前方に現れた。
「ナイスコントロール」
　樹は笑って残骸に滑り込む。脆そうな作りは意外と強固で敵の銃弾を何発も弾いた。
「見た目とは違って頑丈だね」
「我が強化を施した。先程の力で移動させた物は強固な盾となる。爆弾等は威力が増す。どれも時間は短いが、そなたの強力な力となるであろう」
「面白くなりそうだね！」
　陽気な声で返した。その間、諦めの悪い銃弾の音が鳴り響く。
　不自然な間が空いた。
「弾切れだね！」
　樹は大胆に飛び出した。敵の潜む岩の背後に回り込み、間髪入れずに銃弾を撃ち放つ。腕と脹脛に命中。苦しげな声を上げて相手は突っ伏した。
「不用意に近づかないよ」
　ろっこんの『箱庭』で敵のアサルトライフルを手に入れた。替えのマガジンには十分な弾が装填されていた。更に二個の手榴弾を新たに加える。
　樹は手にした物を見てほくそ笑む。
「この銃は同じ物だから……トラップにしよう！」
　二個の手榴弾をスカートのポケットに収めた。両手にアサルトライフルを持ち、草原を駆ける。
　樹は迎撃と補充を繰り返し、薄っすらと見える建物群に向かっていった。