緑の戦場、バードロイヤル！｜リアクション

緑の戦場、バードロイヤル！

「あら、ここはどこかしら？」
　尾鎌蛇那伊は歪な形の路地にいた。白い半袖シャツの上部のボタンを外す。不敵な笑みで周囲に目を走らせた。
「ここは緑の戦場である。最後の一人になるまで戦うがよい」
「バトルロイヤルね」
　蛇那伊は右手を挙げた。頭の上の物体を優しく手の中に収める。
「嘴があるわ。ヒヨコにしては大きいわね」
「我に構わず、戦いに身を投じるがよい。人語を理解する類人猿よ」
「可愛くない発言ね」
　蛇那伊は口角を上げた。右腕の筋肉が急激に盛り上がる。
「握り潰せないわ」
「無駄な抵抗はやめて戦いに集中するのだ」
「その方が良さそうね」
　複数の足音が近づいてくる。
　蛇那伊は半眼となった。独特な呼吸法で丹田に気を溜める。速やかに全身に巡らせて臨戦態勢に入った。
　正面から走ってきた男性が跳んだ。振り上げたバットで蛇那伊の頭部を狙う。
「あたしの頭はボールじゃないわよ」
　垂直に挙げた足でバットを受け止める。即座に攻撃へと転じて踵を相手の鼻筋にめり込ませた。悲鳴を上げる間もなく、直撃を受けた者は白目を剥いて頽れた。
「団体さんのお出ましね」
　にやりと笑う。蛇那伊は踵を返して走り出す。
　頭上から声が降ってきた。
「戦うのだ。目の前の敵を殲滅せよ」
「ここは狭いわ。それに見通しも悪いわね」
　横手から飛び掛かる相手を蹴散らし、蛇那伊は広々とした戦場を求めた。

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