猫もいいけど、ペンギンもね？｜リアクション

猫もいいけど、ペンギンもね？

【寝子ヶ浜海岸】

　真境名アリサは本日、仕事が休みだ。
「こういう時は、ゆっくり散歩っ！」
　旧市街のアパートを出て、寝子ヶ浜海岸へ散歩へ向かう真境名。
　そこへ、浜マンボウ（寝子島の観光大使、通称マンボウくん）の町内放送が寝子島に響く。
　
『ぴんぽんぱんぽ～ん！　寝子島町役場から、緊急のお知らせだよぉ～』
『あんまりにも暑くって、寝子島マリンパラダイスから、ペンギンさんたちが逃げ出しちゃったよぉ～！』
『ペンギンさんは島のあちこちで遊んでるから、みんなもいっしょに遊んであげてねぇ～』

「どういうことだろう、って、えっ？」
　真境名は目を疑った。
　海岸中がペンギンで溢れかえっている。
　しかも何かよく判らないが、ペンギンたちはとても楽しそう。
「また不思議な事が起きたのかな……？」
　真境名は『ひと』であるが、なんとなく寝子島の神魂現象を理解している。
　とにかく、この島は摩訶不思議なことが日常茶飯事に起こる。
　今回もその類かと考えていると、よちよちとペンギンたちが真境名に歩み寄ってきた。
　彼女はペンギンたちをつぶさに観察。
「ペンギンが人間に危害を加える様子はなさそう。それどころか、むしろ人懐っこい……」
　よちよちわっせわっせとペンギンが擦り寄ってくる。
　その姿は「おねーちゃん、一緒に遊ぼうよ☆」とせがむかのよう。
「そういう事なら……！　ちょっと待ってて！」
　真境名は急いでアパートの自室へダッシュで戻っていった。

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