猫もいいけど、ペンギンもね？｜リアクション

猫もいいけど、ペンギンもね？

　一方、真境名はお店（水着ガールズバー）での仕事着の中から、ライムグリーンのビキニを着用。
　透明なビーチバッグにタオルと着替えを入れてサンダル履いてそのまま海岸へとんぼ返りしてきた。
「あれ？　人が増えている？　寝子島はまだ海開き前だけど、沖縄は３月から海開きなんだよね？」
　でも何故か海の家まで営業しているし、細かいことは気にしない方向で！
「なんだ、律義に待っててくれたのね？」
　先程、真境名へ擦り寄ってきたペンギンたちが『一緒に遊ぼうよ！』とうずうずしながらその場で待っていたのだ。
「今行くよ、一緒に遊ぼう！」
　真境名は波打ち際まで走ると、ペンギンたちが鳴き声を上げながら彼女の足元に身体を擦り付ける。
「やだー、くすぐったい！！」
　クチバシが触れるたびに真境名は子供のようにはしゃいで回る。
　そのまま海の中へ入るとペンギンを追い掛けたり、逆にペンギンに追い掛け回されたりと思う存分泳ぎまくる。

　それを見ていた八神も、ペンギンたちと泳ぎたくなってきた。
「よし、水着に着替えよう」
　その場で服を脱いで水着姿になる八神。
　何やら、周囲のペンギンたちが唖然としている様子だ。
「ああ、そうか。自分の羽毛や皮を剥いだように思われたのか。大丈夫だ、俺はなんともない。驚かしてすまない」
　言葉が通じているのか分からないが、八神の説明でペンギンたちは安心したように再び賑やかに八神の周りを動き回り出す。
「みんな、海へ行くぞ！」
　八神が走ればペンギンたちも猛ダッシュ！
　こてん、と転んでも海に入ればスイスイと飛ぶように泳ぎ出す。
　これには八神、大感動。
「流線型の体、弾丸のように水に舞う統率された群れの動き……！　水中での彼等は陸とは別の素早さだ！」
　すると、一匹のペンギンが八神のお尻の上にぶつかってきた。
「なにっ！？」
　八神は思わずぶつかったペンギンを跨ぐように乗っかってしまう。
　するとどうだろう、八神・ライド・ペンギン状態！
「すごいぞ！　俺は今、ペンギンに乗って泳いでいる！」
「あたしもだよ！　すごいよね！」
　真境名もペンギンに乗ってジェットスキーの如く海面を滑っていた。
　だが真境名の様子がおかしい。
「待って！　あーもう、だめだってばー！！」
　どうやら他のペンギンが彼女の身体に擦り寄るのでくすぐったいようだ。
「人懐っこいいですよね、このペンギンたち。どっちが早いか競争しませんか？」
　八神の申し出に真境名は受けて立つ。
「あたしのペンギンたちの方が速いよ！　みんな、お願い！　って、そこは本当にだめーっ！！」
「俺達も負けてられないな！」
　八神と真境名が速度を上げていると、遠方から悲鳴が！
「きゃああああっ！　速い速い～♪」
　暴走状態で泳ぎまくっているのは野々ののこ！
　正確に言えば、ペンギンにしがみついて泳ぎを教えてもらっていたはずが、ペンギンたちが頑張り過ぎて本人が掴まっているだけの状態だ！
　突如始まった３人とペンギンたちのデッドヒートは、勝者を決めるまで暫く続いたのであった。

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