猫もいいけど、ペンギンもね？｜リアクション

猫もいいけど、ペンギンもね？

　入れ替わりでやってきたのは夢宮瑠奈。
　喜びの笑顔が弾けんばかりに砂浜に降り立つ。
「ペンギンさんは好きだし、こんなにいっぱいいるなら一緒に楽しまない手はないものね！」
　海の家で水着に着替え、そのままペンギンたちの群がるビーチへダイブ！
　ちなみに海開きはまだなのだが、夢宮には関係ない。
「冷たい水は気持ちいいでしょ？　あたしはいまとってもあついから！」
　そのまま海へ入ると、ペンギンたちも一緒に海へ飛び込んでゆく。
　十数羽のペンギンに囲まれて海に浮かぶ夢宮はとっても幸せそうだ。
「競争しましょう、ペンギンさん！」
　夢宮の合図を皮切りに、ひとりの少女とペンギンの群れは一足早い海水浴を楽しんでいた。

「ん？　あそこにいるのは夢宮じゃないか」
　カメラのファインダー越しに夢宮を眺めるのは八神修。
「それにしても、まるでペンギン海岸だな。凄い。壮観だ」
　どの種類のペンギンがいるのか、写真に納めながら調べてゆく八神。
「コウテイペンギンにキングペンギン、アデリーペンギンか。南極からやってきているのかもしれないな」
　八神はスマホで種類を調べつつ、彼らがどこから来たのか思いを馳せていた。
　それにしても、チェアーで寝そべっているペンギンたちはなんてほっこりするのだろうか。
「癒されるなぁ……」
　八神のシャッターチャンスはそこら中に転がっていた。
「よし、今度は波打ち際に……、なにっ！？」
　そこで八神が目にしたのは、グレーのモフモフに包まれたペンギンの雛であった。
　あまりのモフみと愛らしさに、シャッターを切る八神の指が止まらない。
「殺人的可愛さだな……！　鳴き声がまたなんとも言えない」
　きゅいきゅいきゅいきゅい♪
　甘えるように甲高い声で雛が鳴くと、親ペンギンがすかさずよちよち駆け寄ってくる。
　その光景に八神はいたく感心していた。
「人間からしたらどれも同じように見えるけど、君たちは声できちんと自分の子を判別できるんだものな、すごいぞ」
　ベストショットを狙うために、ペンギンと同じ視線になるべく八神は砂浜で屈んだ。
　すると不思議と八神の周りにペンギンたちが大集合！
　あっという間にペンギンたちがおしくらまんじゅう状態で詰め寄ってきたのだ！
「またか！　俺っていつも動物にまみれるよな。いや、これは埋もれるというべきか？　でも幸せだ……」
　ちょっと苦笑いの八神だが、ほっこりとしているのは確かなようだ。
「ちょっと待ってろ。これを、こうして、こうだ！」
　ペンギンたちに遊具を、と思い立った八神は、砂で作った滑り台を完成させる。
　すると行儀良く整列して、順番通りに滑ってゆくペンギンたち。
「すごい、君たちはかしこいな」
　八神はペンギンたちが登ったり滑ったりする姿を一心不乱にカメラに収め続けるのであった。

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