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Rain Dance
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霧生 深雪
はいくらか苛立っていました。
凜然と厳しげな視線が、現在は一段と厳しげになっております。
「……皆考えることは同じらしい」
呟いて、電話をポケットに戻します。
今日、雨が降るなんてやはり深雪も聞いていませんでした。考えて出した結論が、星ヶ丘寮に電話して迎えの車を頼むというもの。けれど残念、この状況ですから道は大渋滞とのことで、すぐには帰宅できそうもないとのことです。
仕方がない、と嘆息して、深雪は音楽室へ向かいました。
詩情、なんていうロマンティックなモードではありません。どちらかというと単なる暇つぶし、そんな気持ちでグランドピアノに触れたくなったのです。
音楽室に入っても生徒はいませんでした。
お出迎えしてくれるのはせいぜい、偉大なる音楽家たちの肖像画くらいです。バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーベン……ぐるりと見渡してみました。
「バッハが二枚……? ああ、息子のバッハな。こんな肖像画飾ってるなんて珍しいな」
独言して彼は鍵盤に触れます。しばらく簡単に鳴らしてみました。
調律はできているようです。
深雪はピアノの前に腰を下ろし、静かに弾き始めました。
ゆったりと、ゆりかごが揺れるようなテンポで。
虚飾を排したさらりとした曲調ながら、深く胸にしみる哀愁を秘めた旋律を。
エリック・サティ1888年の楽曲、『ジムノペディ』。
――昔から音が好きだった。
深雪の胸を記憶が去来します。語りかけるような言葉とともに。
――日常の何気ない音、そこに音色を見つけるのが好きだった。音に色が付いた瞬間それは旋律になる、その瞬間が心地よかった。
モノクロームの記憶のはずなのに、ぱっ、と赤いものが飛び散りました。指が鍵盤を、一度だけ強く叩くのがわかりました。
中学生のとき、深雪は初めて人を殴りました。
殴る、というのは婉曲的な表現で、ほとんど殺しそうなくらい痛めつけたというのが正しい。半殺しなんて可愛いものではありません。下手をすれば相手に、障害が残りかねないほど激しく徹底的に行いました。
その相手は、深雪の弟を誘拐し、いたずらしようとした変質者です。
殴られて当然の奴だったと、今でも彼は思っています。
けれど犯人を叩きのめし、お縄にして弟も無事でそれで解決……というわけにはいきませんでした。
深雪が拳を全力でふるって、それが相手の腹に、あるいは顔面にめり込んだとき聴こえたのは骨が折れる音でした。
それに砕ける音。
潰れる音も。
――俺はそれ以来、物が壊れる音にたまらなく心地よさを感じるようになった。
それが異常だということは、もちろんわかっています。でも、求めずにはいられないのです。この日、深雪の中でなにかが変わりました。
幸せな家族との団欒があっても、そこにはいびつなものが混在しています。
――俺だ。俺だけが異物だった。
もう戻れないところに自分はいる――その意識は深雪を責めさいなむものでした。
やがて耐え切れなくなった彼は、家族から離れるため一人で寝子島の地を踏んだのです。
曲が終わったとき、拍手が聞こえました。
「名演ですね。お世辞じゃなくて、弾き手の魂が感じられました」
「……誰だ?」
「失礼しました。一年生、芸術科6組の市橋誉と言います」
「ああ、新歓祭のときの……俺は二年、芸術科8組の霧生だ」
前ページを読み返してみてください。たしか誉は、「もう一本傘がある」と言って、天馬ひびきに自分の傘を渡したはずではありませんか。
傘を取りに教室に戻ったのかと思いきや、誉がここにいるのはなぜでしょう。
それは、もう一つ傘があるという話が嘘だったからです。
小さい折りたたみだったし、相合い傘を申し出るのは照れくさいし、彼女に悪いきもするし――という事情で、ひとつきりの傘を貸して、自分は雨が小降りになるまで時間をつぶすことにしたのです。
「この雨で立ち往生している身です。よければ一曲、弾かせてもらおうかと思いまして」
深雪は黙って席を明け渡しました。
「ありがとうございます」
「曲は? オリジナルか? それともあのときのようにジャズか?」
「いいえ。俺もクラシックにしようと思います。霧生先輩の演奏に触発されまして」
それでは、と一言告げて、誉が奏でた調べは、穏やかな、とても穏やかな楽曲でした。
コラール(賛美歌)としても知られていますが、楽器だけで演奏されることもあります。もちろん、ピアノだけでも。
『主よ、人の望みの喜びよ』の名で親しまれるその曲は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1723年に作曲したとされています。
楽曲が終わると、深雪は静かに、けれど心から拍手を送りました。
沈んでいた気持ちが少し、楽になったような気がします。
「そろそろ車が来るころだ。お前さえよければ、星ヶ丘寮まで連れていってやる」
礼を述べようとする誉に、深雪は手を振ったのでした。
「ただのついでだからな、勘違いすんなよ」
暗い思考のまま独りでいるのが嫌だから――などとは決して言いません。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年07月01日
参加申し込みの期限
2013年07月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年07月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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