ダーク・ネコジマシティ・ウォーズ｜リアクション

ダーク・ネコジマシティ・ウォーズ

【朽ちてゆく人形達】

　ＢＤとイビルの機械人形（ロボット）達は、ダークシーサイドタウンのみならず、イーストエンドやヒルズにも押し寄せていた。
　だが、シーサイドタウンだけでなく、イーストエンドにも、ヒルズにも、ヒーローが、そしてヴィラン達がいる。

「……三つ数える時間をあげるわ。その間に、どうするべきか考えなさい」

　ミスター菩薩は、そう菩薩の心をヒルズを襲う人形達にも向ける。
　イーストエンドをまわった彼は、いやな予感がしてヒルズに戻ったところで、人形達の襲撃に出くわしていた。
　三つ、慈悲のカウントダウンがなされる。
「……そう。残念ね」
　だが、哀れな機械人形達には、己を省みる機能は備えていない。

　ふぅと息を吐いた瞬間には、ミスター菩薩の拳が機械人形達を粉砕する。
　そんな彼の向こうで、引退したヴィラン達が自らの平穏を守るために、機械人形達と戦っている。
　程なく、彼らの手で、このエリアの機械人形達は容易く殲滅させられるであろう。

　　　＊　＊　＊

　ティミッド・バニティは怯えていた。
　イーストエンドで、無慈悲な略奪を続けていた彼女は機械人形の姿を見ると、やはり脱兎のごとく逃げ出していた。
（……ロボットに命乞いって利くのかしら？）
　真剣にそんなことを考えながら、バニティが物陰で怯えていたときだった。
「……クク。今日はこのさびれたエリアも千客万来といったところですね」
　ざっと靴音を鳴らして、パール・ザ・ナイトメアがギターを手に機械人形達の前に躍り出た。
（……あ、あの人もヴィラン！？　でも、ギターでどうやって……）
　と、思った瞬間に、
「今日は宴です。思う存分、爆ぜてください。哀れな機械の人形ども！」
　パールは激しいシャウトとともにギターをかきならしていた。
（……！）
　バニティは息を呑んで、その演奏が終わるのを待っていた。
　何分程の演奏だったのか、わからない。
　一瞬で終わってしまったような気もするし、永遠と思われるほど長い間続いていたような気もする。
　ただ、一つだけ明らかだったのは――。

「……万雷の拍手を送ってください、ポンコツの人形ども」

　パールがその演奏を終えたときには、悪夢のような機械人形達の襲撃は、一瞬にして終焉を迎えていたということだった。