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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ダーク・ネコジマシティ・ウォーズ
【epilogue(2)】
美術館の館長は隠し部屋で、斉田 珠喪（リサ）と通話していた。
「無事に保険は下りることになったよ。もちろん本物は、今、私の目の前にある」
『そう。それはよかった。それで、報酬は振り込んで貰えたのかしら？』
「ああ、もう振り込んだよ。それにしても、まだ若いのに、こんなことをして心が痛まないのか？」
自分の事を棚に上げて、館長は笑う。そういう人間でなければ、贋作を掴ませ、保険金を騙し取ろうなどとは考えない。
『私はいけ好かないやつには容赦しないだけよ。じゃあ、お礼にもう一つ教えていいことをあげるわ。あなたの目の前にある本物、それって、はたして本当に本物なのかしら？』
「え……？」
そのときには、もう通話は切れている。
館長は慌てて、美術品を確かめる。そこには、一枚の月のタロットカードが貼られていた。それは、リサという女が、贋物の種明かしをするときに仕込む、サインのようなもの。
と、そのとき、ドタバタと足音が聞こえる。
「動くな、警察だ！」
「おのれ、はかったなぁぁぁあああ！」
そのとき、ようやく館長は自分も騙されていたこと、リサの言ういけ好かないやつであったのだと気づいたのだった。
＊ ＊ ＊
クロセル・ラインツァート（エンジェル）は、リッカルドのもとを訪れ、事後報告をしていた。
「というわけで、ザ・ストレイトの登場は想定外でしたが、仲介者の活躍もあり、計画は滞りなく終了しました。おかげさまで、双方の被害を最小限にしつつ、私は名声を上げることができました」
「くくく。ご苦労様。上手くいいところを持っていきましたね。まったくどいつもこいつもゴミばかりですねぇ」
どこか嬉しそうに言うリッカルドに、エンジェルは心の中で（お前が言うな）と呟く。
（それにしても、でしゃばりのヒーローさんには困ったものですよ。全てのヴィランを駆逐する？ そんなことしたら、私達の仕事がなくなるじゃないですか）
心の中で、憤慨しつつ、あくまでもリッカルドへの服従をこの場では誓っておく。
何故なら、下手な動きを見せれば殺すぞ、とリッカルドのそばの秘書が目で訴えてきているからだった。
＊ ＊ ＊
三折部 朝衣（ディメンションサーファー）は、今もあくまで秘書を装ってリッカルドのそばにいる。
「では、今後もよろしくお願いしますよ、エンジェルさん」
「ええ。できれば、今後も敵にまわしたくないものです。先生と、先生の秘書の方にはね」
チラリとこちらを見るエンジェルに、ディメンションサーファーはあくまで笑顔を崩さない。
あくまで笑顔は崩さずに、（先生を裏切ったらどうなるか――）という無言のメッセージをこめる。
「さて、三折部さんも、お疲れでした。また次もお願いします」
「はい。全てはリッカルド様の御心のままに」
彼女はあくまで笑顔のままで、対応している。
彼女がいる限り、この汚職政治家が政治の表舞台から消えることはなく、同時にシティから悪が消えることもないのだろう。
＊ ＊ ＊
ペルラ・サナーレ（パール・ザ・ナイトメア）は再び山に戻って、ギターを弾いている。
今回の事件で、音楽はヒーローとヴィランの壁のみならず、人間と機械の壁を越えることもわかった。
だから、パールはギターを弾き続ける。
「……万雷の拍手を送ってください。世界の愚民ども」
いつか世界のありとあらゆるものに響く、そんなメロディを奏でられることを目指して。
＊ ＊ ＊
風雲児 轟（ザ・ストレイト／ダークナイト）は、銭平警部から、話を聞いていた。
「……くそ、結局、ルンバも『Ｊ』の居場所は知らなかったか」
おまけに美術館を襲撃したいくつかのヴィランは匿名の保釈金により、今すぐに解放されそうなのだという。
もっとも保険金を騙し取ろうとした館長は神妙に縛についたということらしかったが。
ともかく、やはりこの街の悪の根は深い。
だが、ザ・ストレイトはあきらめない。
街の匿名の支援者達のためにも、ザ・ストレイトは戦いをやめるわけにはいかないのだ。
「……おっと、いけねぇ。明日は小テストだった。ヒーローが学校で赤点じゃ、カッコつかねぇからな！」
かくして、今夜もストレイトの戦いは続いていく。
＊ ＊ ＊
今日もダークネコジマシティは眠らない。
そして、シティに明かりがともされ続ける限り、このシティからヴィランが消える日はいまだ遠い未来のことでありそうだ。
〔了〕
美術館の館長は隠し部屋で、斉田 珠喪（リサ）と通話していた。
「無事に保険は下りることになったよ。もちろん本物は、今、私の目の前にある」
『そう。それはよかった。それで、報酬は振り込んで貰えたのかしら？』
「ああ、もう振り込んだよ。それにしても、まだ若いのに、こんなことをして心が痛まないのか？」
自分の事を棚に上げて、館長は笑う。そういう人間でなければ、贋作を掴ませ、保険金を騙し取ろうなどとは考えない。
『私はいけ好かないやつには容赦しないだけよ。じゃあ、お礼にもう一つ教えていいことをあげるわ。あなたの目の前にある本物、それって、はたして本当に本物なのかしら？』
「え……？」
そのときには、もう通話は切れている。
館長は慌てて、美術品を確かめる。そこには、一枚の月のタロットカードが貼られていた。それは、リサという女が、贋物の種明かしをするときに仕込む、サインのようなもの。
と、そのとき、ドタバタと足音が聞こえる。
「動くな、警察だ！」
「おのれ、はかったなぁぁぁあああ！」
そのとき、ようやく館長は自分も騙されていたこと、リサの言ういけ好かないやつであったのだと気づいたのだった。
＊ ＊ ＊
クロセル・ラインツァート（エンジェル）は、リッカルドのもとを訪れ、事後報告をしていた。
「というわけで、ザ・ストレイトの登場は想定外でしたが、仲介者の活躍もあり、計画は滞りなく終了しました。おかげさまで、双方の被害を最小限にしつつ、私は名声を上げることができました」
「くくく。ご苦労様。上手くいいところを持っていきましたね。まったくどいつもこいつもゴミばかりですねぇ」
どこか嬉しそうに言うリッカルドに、エンジェルは心の中で（お前が言うな）と呟く。
（それにしても、でしゃばりのヒーローさんには困ったものですよ。全てのヴィランを駆逐する？ そんなことしたら、私達の仕事がなくなるじゃないですか）
心の中で、憤慨しつつ、あくまでもリッカルドへの服従をこの場では誓っておく。
何故なら、下手な動きを見せれば殺すぞ、とリッカルドのそばの秘書が目で訴えてきているからだった。
＊ ＊ ＊
三折部 朝衣（ディメンションサーファー）は、今もあくまで秘書を装ってリッカルドのそばにいる。
「では、今後もよろしくお願いしますよ、エンジェルさん」
「ええ。できれば、今後も敵にまわしたくないものです。先生と、先生の秘書の方にはね」
チラリとこちらを見るエンジェルに、ディメンションサーファーはあくまで笑顔を崩さない。
あくまで笑顔は崩さずに、（先生を裏切ったらどうなるか――）という無言のメッセージをこめる。
「さて、三折部さんも、お疲れでした。また次もお願いします」
「はい。全てはリッカルド様の御心のままに」
彼女はあくまで笑顔のままで、対応している。
彼女がいる限り、この汚職政治家が政治の表舞台から消えることはなく、同時にシティから悪が消えることもないのだろう。
＊ ＊ ＊
ペルラ・サナーレ（パール・ザ・ナイトメア）は再び山に戻って、ギターを弾いている。
今回の事件で、音楽はヒーローとヴィランの壁のみならず、人間と機械の壁を越えることもわかった。
だから、パールはギターを弾き続ける。
「……万雷の拍手を送ってください。世界の愚民ども」
いつか世界のありとあらゆるものに響く、そんなメロディを奏でられることを目指して。
＊ ＊ ＊
風雲児 轟（ザ・ストレイト／ダークナイト）は、銭平警部から、話を聞いていた。
「……くそ、結局、ルンバも『Ｊ』の居場所は知らなかったか」
おまけに美術館を襲撃したいくつかのヴィランは匿名の保釈金により、今すぐに解放されそうなのだという。
もっとも保険金を騙し取ろうとした館長は神妙に縛についたということらしかったが。
ともかく、やはりこの街の悪の根は深い。
だが、ザ・ストレイトはあきらめない。
街の匿名の支援者達のためにも、ザ・ストレイトは戦いをやめるわけにはいかないのだ。
「……おっと、いけねぇ。明日は小テストだった。ヒーローが学校で赤点じゃ、カッコつかねぇからな！」
かくして、今夜もストレイトの戦いは続いていく。
＊ ＊ ＊
今日もダークネコジマシティは眠らない。
そして、シティに明かりがともされ続ける限り、このシティからヴィランが消える日はいまだ遠い未来のことでありそうだ。
〔了〕
あとがき
担当マスター：
水月 鏡花
ファンレターはマスターページから！
というわけで、ご参加頂いた皆様お疲れ様でした。ＭＳの水月です。
そんな感じで、今回は異世界ダークネコジマシティを舞台としたスピンオフを執筆させていただきました。
ベースはいつものＰＣさんでありながら、いつもとは違う一面を見せる彼らを描くのは、大変ではありましたが、面白くもある作業でした。
少しでも、ヴィランやヒーローな感じのＰＣさんの活躍を楽しんで頂けたなら幸いです。
それでは最後になりましたが、ご参加頂いた方、ここまでお読み頂いた方、そして「らっかみ！」に関わる全ての方々に感謝を。
ではでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。
そんな感じで、今回は異世界ダークネコジマシティを舞台としたスピンオフを執筆させていただきました。
ベースはいつものＰＣさんでありながら、いつもとは違う一面を見せる彼らを描くのは、大変ではありましたが、面白くもある作業でした。
少しでも、ヴィランやヒーローな感じのＰＣさんの活躍を楽しんで頂けたなら幸いです。
それでは最後になりましたが、ご参加頂いた方、ここまでお読み頂いた方、そして「らっかみ！」に関わる全ての方々に感謝を。
ではでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2018年05月19日
- 参加申し込みの期限
-
- 2018年05月26日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2018年05月26日 11時00分
