ダーク・ネコジマシティ・ウォーズ｜リアクション

ダーク・ネコジマシティ・ウォーズ

【動乱の決着】

　シティはもう大概なことになっていた。
「いやー、色々とひどいことになってるネー。これに比べたら私の悪いことなんて些事に過ぎないよネー」
　ジャックはかぼちゃ頭を傾げながら、宿敵（？）のクソマーズ・ゴ・ハンに目を向ける。
　彼女を味方と思う筋合いもないが、さりとて敵でもない。
　だが、このままあの天然アホヒーローと戦えば、敗北は必至だろう。
　と、そのとき、クソマーズをかばうように、一人のディランが現れる。
「悪いが、こんな無益な戦いはこれ以上続けさせるわけにはいかん」
「……！？」
　彼の名は、nein。精神支配能力を持つ、ヴィランである。
（ヒーローと名乗りつつ、ロボットごっこで街を破壊するなんて、これじゃあどっちが悪かわからないな）
　苦笑しつつ、neinがその特殊能力をラッカミガールに放つ。
　彼の能力は、相手を意のままに操るほかに、幻覚を見せたりもできる。
「……！？　あそこに空飛ぶおっきな焼きそばパンがあるよ！　ばっびゅーん！！！」
　はたして、neinの能力の効果は抜群であった。
　一瞬で消えたラッカミガールを見送ると、neinは息を吐いて、クソマーズの方を見やる。
「……なぜ、私を助けた？」
　怪訝そうな顔で、クソマーズがneinに問う。
（さて、どう返すのが、正解なのかな？）
　neinは、胸中で一つ息を吐いて、次の返答を考える。
　ビジネスでは千里先を見通す彼も、女心というやつだけは、容易く見通せない――。

　ザ・ストレイトは、機械人形の残党に対し、獅子奮迅の戦いを見せていた。
「うおおおおおおおお！　ストレイト！　クラッシュ！！」
　ストレイトは、本来、探偵の真似事よりも、戦い向きの能力を持っている。
　だからこそ、美術館で発揮できなかった力をここで解放するように、一騎当千、万夫不当の活躍で、機械人形の数を見る見るうちに減らしていた。

　誰の目にも、機械人形達の勝ちの目はなくなったように思われ始めていた。

　そんな街の様子を、ビルの屋上から見下ろす男がいる。
「茶番だな。こんな茶番を演じている連中は生きている価値もない」
「そうね。まったく同感だわ。でも、それはあなたも同じじゃないかしら？」
「……なに！？」
　男が振り返ったときには、ディメンションサーファーの必殺技、ディメンションキックが炸裂、男は爆発した。
「……はい。標的は爆発しました。はい。そうです。全てはリッカルド様の御心のままに」
　携帯に、冷たい声を吹きかけると、ディメンションサーファーはまた、何事もなかったかのように、次元の向こうへ姿を消した。

　ビルの下に広がる町並みでは、ようやく混乱が収まり始めようとしていた。

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