【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド

「ありがとうなの～！　ぐびっぐびっ♪　ぷはぁ～！　生き返ったの～！！」
　赤ら顔で上機嫌のステラ。
　しかし、何故、城の一室に？　しかも手足を縛られて？
「えっとね？　ここのお城の大臣って人が私を捕まえたの……。怖かったの～！」
「それはつまり、本来なら懸賞金を出しても捕まえられるはずがないのでは……！」
　ステラの言葉にクリメントは不満を露にする。
　完全に掌で踊らされていたのだ。
　急進派の大臣の仕業ならば、恐らく、これはフランチェスカも把握していないはずである。
「大臣さん、何が目的なんだろう？　でも、こうしてステラちゃんを保護したんだから、報酬は僕がきっちりもらうよ！」
　響の目が金貨のように輝いていた。
「う～んとね、大臣さんはね、『お前に苦しんでもらわないと、双子塔が復活しない』って言ってたの……」
　双子塔という単語に、２人の表情が険しくなる。
　もしも、大臣が双子塔の復活を臨むことが目的で、その復活の条件のひとつがステラへの苦痛ならば？
　偽ステラ（ステラオルタ）出現も、ステラの苦痛やストレスが原因なのでは？
　そして今まで偽ステラ（ステラオルタ）が出てこなかったのは、ステラが飲んだくれて楽しい日々を送っていたからなのでは？

【結論：ビールは世界を救う】

　何という事だろう。
　ステラが今まで飲んだくれていた行為に、ちゃんと意味があったとは。
　この情報に２人は当然困惑しきっていた。
「えっと、この情報、どうしよ？　ブドー先輩に伝えておく？」
「……ああ、そうですね。ステラも連れていってください。市民の皆さんの誤解を解いてあげないと」
「そうだよね♪　って、キミは何処行くの？」
　響の問いに、クリメントは愛用の魔銃を取り出す。
「会う約束をしている方がこの城にいるのを思い出しました。ちょっと探してきます」
「わかった！　気を付けてね？」
　クリメントは再び上空に舞い上がると、地上を俯瞰して考えをまとめていた。
「今回の騒動、もしかしたら長期化するかもしれませんね……」
　溜息ひとつ吐いたのち、ふと視線を地上におろせば、星辰の櫓付近にフランチェスカらしき人物がいるではないか。
　更には、彼の待ち人もそこにいた。
　迷うことはなかった。
　今の仮説を、フランチェスカに話さねばなるまい。
　クリメントは急降下して星辰の櫓に向かった。