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木陰から一歩、踏み出す。ひんやりとした空気の残る影から朝の光の外に出た途端、眩しい熱に瞳を射られた。
近付く夏を確かに感じさせる太陽の色に思わず瞳を細め、掌を額にかざす。掌の影が瞼に落ちて、気づいた。
「……僕は……」
見下ろした自分の身体の心許ないほどの華奢さに困惑する。自分の身体であるはずなのに、自分の身体ではないような、そんな気がした。
「僕は、誰だ?」
溜息じみて吐き出して、その瞬間木陰よりも昏い不安に圧し掛かられる。
何も思い出せない恐怖に胸を掴まれる。
眩暈にも似て暗くなりかける視界をどうにかしたくて、頭を激しく横に振る。揺れる視界に、ちりん、と軽い音を立てて揺れるナニカが目に入る。胸元に揺れるそれを咄嗟に掴んで、
「……鍵?」
瞳をしかめる。首飾りにして肌身離さず身に着けているらしいそれは、金色の太陽と銀色の三日月がデザインされた小さな鍵。
いかにも自分の記憶に近しいもののように思えるのに、それが何の鍵なのか、全く思い出せない。
歯痒さに唇を噛んでから、手にしていた鞄が目に入った。
(通学鞄……?)
臙脂色のバッグには校章が刻印されている。
(……寝高?)
女子高生であるのならば、ここは朝の通学路なのだろうか。首を傾げる。視界の端に映るこげ茶色して緩く波打つ髪を指先にちょっと引っ張り、視線を先へと伸ばす。
雨上がりの朝らしい水たまりの残る路の先、似たような制服を纏った誰かが足早に歩いている。
ついて行くべきか否か僅かに迷うも、
(もし僕を知る誰かに会ったら)
その誰かに、余計な心配をかけるのは嫌だった。
そう感じる自分が誰であるのかを知るためにも、まずは手持ちの物を先に調べることにする。
学校への近道なのか、左右を住宅に挟まれた狭い路地の端に寄る。電柱と花の終わったツツジの生垣の傍に立ち、人通りの少なさにほんの少し安堵する。
鞄を開く。自分の持ち物のはずなのに、別の誰かの鞄を覗き見ているような罪悪感があるのはどうしてだろう。
中には教科書や筆記用具やいくつかの鍵が束ねられたキーホルダー。スマートフォンを見つけて取り出すも、起動に必要なパスコードが分からなかった。下手に触らず、制服のスカートのポケットに押し込む。
次に見つけたのは、鞄と同じ校章が刻まれた学生証。
(寝子島高校、『
恵御納 夏朝
』……)
学生証にある写真の中の女の子は、焦げ茶色した天然パーマの髪に同じ色した優しそうなたれ目をしていた。伏し目がちでどこかぼんやりした顔に、表情は薄い。
電柱につけられたカーブミラーを見上げる。鏡に映る顔と、学生証の顔写真はほぼ一致しているように思える。
(間違いない)
そう思う。思うけれど、
「僕は、恵御納夏朝……」
言い聞かせるように呟いても実感が湧かなかった。
記憶がない、ということだけが原因ではないように感じる。
「夏朝……?」
外側からの情報を信じるのなら、自分は『恵御納夏朝』で間違いないはずなのに、心の奥にどうしても違和感がある。
自分は夏朝ではない。
記憶がないはずなのに、『夏朝ではない』根拠も持っていないはずなのに、『夏朝である』はずの自分は間違いなくそう感じている。
頭を抱え込みかけて、
「……って、学校!」
学生であるならば、ともかくも学校に向かわなくては。無断で休んでしまえば、もしかすると両親に連絡が行くかもしれない。
(心配かけたくない)
親の顔も思い出せないのに、それだけは強く思った。
とはいえ、学校の場所が思い出せない。先ほど見かけた同じ高校に通う誰かの姿も、今はもう見つけられない。
(寝子島高校は何処だ!?)
焦って路地を駆け抜ける。角を曲がって見つけたコンビニに飛び込み、島内の地図を購入する。観光地図らしくはあるものの、詳細に道が記された地図を頼りに寝子島高校への道を辿るその半ば、雨上がりの青空に無情に響く始業チャイムを聞いた。
(遅刻……)
肩と背中を丸め、それでもなんとか登校は果たすも、すれ違った教師に早く教室に入れと叱られた。更に肩を落とす。大体、今の自分が何年何組なのかも分からない。
授業が始まって静まり返る廊下をおろおろと歩いた挙句、
「夏朝ちゃん、夏朝ちゃん……!」
こっちこっち、と廊下側の席からこっそりと声を掛けてくれた友人らしい誰かの声に救われた。どうしたの、と首を傾げる同じ制服を着た女子に曖昧に笑い、珍しいなと苦笑いする教師に頭を下げ、自分の席らしい空いた椅子に掛ける。生ぬるい風ばかりが入ってくる教室で、ノートを広げる。
(普通科、二年二組、恵御納夏朝)
得た情報を頭の中で整理しつつ黒板の文字を書き写し始めたところで、小さく息を呑んだ。紙に押し付けたシャープペンシルの芯がぱき、と小さな音立てて折れる。
(この、文字……)
以前の自分が書いた文字と、今の自分が書いている文字が、明らかに違う。
少し丸くて愛らしい安心できる文字と、文字の角々がきちんとして並び良い文字。別人と言っていいほどに、筆跡が明確に違う。
震えそうになる息をそっと整える。指先に力をこめ、不安を押し殺す。
授業時間はノートの文字の違いに戸惑いつつも真面目に過ごしていれば問題はなかった。
休憩時間も鞄にあった本を読み耽っていればそうそう誰にも話しかけられずに済んだ。
お昼ご飯は鞄の中に見つけた手作りらしいお弁当。几帳面に隙間を埋める作り方は、これは多分、『自分』のもの。
どうにかこうにか迎えた放課後に安堵の溜息を零し帰路につこうとしたのも束の間、
「恵御納先輩、図書委員会のお迎えにあがりましたよー」
後輩らしい少女に声を掛けられた。
「……え?」
「やだなあ、シッカリしてくださいよ委員長ー」
(委員長!?)
朗らかに笑う後輩の隣、思わず頭を抱えたくなる。
見知らぬ学校での覚えのない女子高生生活は、もう少しだけ続くらしい。
(つ)
黄昏の空を仰ぐ。
(疲れた……)
今度こそ帰路に着くも、帰るべき場所も今は分からない。
それに、どうしてだか確信があった。両親はこの島にはいない。寝子島ではない、本土のどこかで離れて暮らしている。
何気ない風を装い、目についた公園に入る。ブランコに腰掛け、朝方買った地図を広げる。自宅がこの島にないのであれば、
(それらしい所は……)
最初に目についたのは、学校から比較的近い『桜花寮』。まずはここから探してみよう。
地図に従い到着した『桜花寮』に入る。食堂からの夕飯の匂い、寮に暮らす学生の気配、大浴場のボイラーの匂い。大勢の人間が生活を共にしている寮独特な気配に知らず懐かしさを覚えて、だから確信する。自分は間違いなくここで生活をしている。
(『恵御納夏朝』は二年)
二年生以上の女子が入寮しているのは、女子寮のC棟。
生徒手帳や学校で得た情報を手掛かりに寮内を歩く。『恵御納夏朝』の友達かもしれない誰かとすれ違う度、声を掛けられる度、曖昧に微笑んだり黙って会釈をしたり、どうにか誤魔化す。元より、『夏朝』はどこかぼんやりとした雰囲気の少女らしかった。『夏朝』がそれをどう思っていたのか知る由もないが、今ばかりはありがたい。ほとんど無表情にぼんやりと返事をしても怪しまれずに済む。記憶喪失であることを悟られずに済む。
端の方の部屋に『恵御納夏朝』の名を見つけたときは、心底ホッとした。
ひとり部屋であることを『夏朝』がどう思っていたのか、今はそれも想像がつかなかったけれど、それでも今は、息が零れるほどに安心した。
記憶がいつ戻るのかは分からない。でも、とにかく今日は凌げる。
鞄の中から鍵束を引っ張り出す。それらしい鍵を差し込めば、部屋のドアは開いた。自室に入り、座り込みそうになりながら鍵を閉める。
窓の外の街灯の光を頼りに部屋を見回そうとしたとき、
「……ん」
足元にふんわりした感覚が触れた。柔らかくてふわふわでしなやかな、それは夜に溶け込みそうな黒い毛皮と蒼いレンズの瞳の猫。
(猫?)
寮でペットを飼うのは禁止されているはず。それでも、黒猫の首に結わえた橙色のリボン付きの首輪には不思議と見覚えがあった。自分の手とは思えない自分の手が猫の首につけたような気が、確かにした。
猫の名を覚えていないことがとてももどかしい。
「ごめんね、僕は、……」
言葉に詰まる。猫は蒼い瞳をもたげ、つと脛に頭をこすりつけてきた。尻尾をしゃなりと振り、数歩離れる。振り返り、また澄んだ瞳を向けてくる。
こっち、と呼ばれるまま、猫のあとを追う。猫はふわふわの毛に包まれた前肢を伸ばし、机の一番上の鍵付き引出しをたしたしと叩いた。
「どうしたの?」
餌でも入っているのかと一瞬思ったけれど、そうではなさそうだ。
部屋の端には隠すようにして自動給餌の機械が置かれている。それに、どこか不思議な雰囲気の猫の蒼い瞳は、こちらの事情など何もかも見通しているようにも思える。
(確か)
キーホルダーには部屋の鍵以外の小さな鍵もついていた。
鍵束を取り出し、鍵穴にそっと滑り込ませる。
(開いた!)
かち、という軽い音をたてて鍵が開く。引出しの中には、革張に金縁の枠装飾が施された分厚い本が二冊。一冊には太陽のような金色の宝石を抱いて眠る黒猫、もう一冊には月のような青色の宝石を抱いて眠る白猫が、それぞれ描かれている。
「……魔導書?」
うっかりと呟いてしまうほど、二冊の本には凝った意匠が施されていた。それに、秘密の魔導書じみて小さな錠もつけられている。
本の意匠に、見覚えがあった。
胸元を見下ろす。ゆらり、微笑むように小さな鍵が揺れていた。
「これは……」
指先に小さな鍵を握りしめて、思い出す。この身体の主である『夏朝』のこと、夏朝の身に宿った別人格である『夏夜』のこと。
「大切な交換日記だ」
自分は、『夏夜』だ。
「ありがとう、おはぎ」
知らぬ間に頬を伝っていた涙を拭い、レンズ猫のおはぎの顎をそっと撫でる。おかげで全てを思い出せた。
「……さて」
すべてを思い出して思案するのは、記憶を失わせた存在について。その存在を仲間に伝えるか否か。
神魂の影響であればまだいい。問題なのは、フツウを壊しかねない存在が関与していた場合について。けれどそれを自分が言葉にしてしまえば、それこそフツウを壊してしまう可能性もある。
制服のポケットからスマホを取り出す。思い出したばかりのパスコードを打ち込んで起動させ、夏朝が愛用しているねこったーアプリを起ち上げる。
もしかしたら次の瞬間に記憶を失うかもしれない誰かに向けて、せめて何かしらのヒントを残しておこう。
『記憶喪失になったら、まずは手持ちの物を確認!』
ひとこと呟いてから、頬を引っ掻く。
『……する為にも、自分を示す物はポケット等に持っておこう!』
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阿瀬春
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年04月26日
参加申し込みの期限
2018年05月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年05月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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