＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編

●追い詰められた大黒猫対ウサギさん達

　大黒猫が辿り着いたのは、綾辻綾花と遠野まほろが待ち構えている網で作った罠の近くだった。
　網には、大きな紙に恵比寿猫の絵が描かれている。
「こんなこともあろうかと、急いで描いてよかったです。まほろさん、手伝ってくれてありがとうございます」
「私は……紙を貼り合わせたり、色塗りを手伝っただけ。あなたが頑張ったから……完成したんだよ」
　２人の合作恵比寿猫を見て、大黒猫の動きが少し遅くなったかと思うと急に止まった。

　――えびっつぁん、こないなとこにおったんか……会いたかったでー！！

　感動の再会……にしては猪突猛進すぎる大黒猫の喜びように、綾花とまほろは複雑な気分に。
「他の皆に……大黒猫がここに来たことを教えるね」
「お願いします。その間、私はピコピコハンマーで突っ込みます」
　大黒猫の前に立ちはだかった綾花は、痛くないとは思うが、神様なので手加減をして叩かないといけませんとピコピコハンマーを構える。
　体当たりされるのは怖いが、早く恵比寿猫に会わせてあげたい。優しさと強い決意が綾花を奮い立たせた。
　もう少しで突撃されそう、というところで、空中から声がした。
「見つけたぞ、大黒猫！」
「恵比寿様が心配しているわよ。怒りを鎮めてちょうだい」
　ろっこんで空中を探していた御剣刀と、刀に抱えられ、落ちないように周囲を探していた橘千歳だった。
　恵比寿猫が自分を心配している、と聞いた大黒猫は、それ、ほんまか？　と千歳に尋ねた。
「本当よ。あなたの怒りを鎮めてほしいとお願いされたわ」
　心の底から心配していないと、そのようなことは頼まないだろう。
　着地するなり、小山内海はスケッチブックに文字を描き始めた。
『えびすねこさん、だいこくねこさん、すきだから、しんぱい』
『だから、おちついて』

　――えびっつぁん、そこまで、わてのこと……。

　石像なので涙は出ないが、泣きそうな雰囲気は伝わってくる……と思いきや。

　――そこの娘、えびっつぁんの居場所、はよ教えんかい！

　先ほどまでのしんみりムードはどこへやら。態度がでかくなった大黒猫は海を問い詰めた。
「海！」
　咄嗟に庇おうとする刀より早く大黒猫に突撃したのは、懸命に探していた佐藤瀬莉だった。
「見つけたわよ！　この変態猫！　12歳小学生女子にバニースーツを着せるとはどんな神経してるんだ！」
　手にしたピコピコハンマーを、おもいっきり大黒猫の頭部に叩きつけ突っ込んだ。
「大黒猫、ごめんね」
　追いついたアリス・ミーティアは、ピコピコハンマーでホームラン狙いのフルスイング！
　カキーン！　と空の彼方へ吹っ飛ぶわけがなく、叩いた拍子にピコッ☆　と音が鳴っただけ。

　合流した刀達、瀬莉、アリスに続き、大黒猫を探していた他の皆もツッコミを入れるべくやってきた。
「他人様に迷惑かけるな！　恵比寿猫様代理、八神修、参上！」
　１００ｔ、撮影中の文字を黒テープを切り貼りしたピコピコハンマーを手に、大黒猫に突撃した修は遠慮なくツッコミを。
「併走ツッコミ！　奇襲ツッコミ！　多段ツッコミ！」
　怒涛の黒いピコハン三連撃が炸裂。
「恵比寿猫様代理の愛のツッコミ！」
　最後に、大黒猫の頭部におもいっきりツッコミを入れた。
「恵比寿様の居場所は判っているので、皆で遊びましょ。大黒様、漁港のお魚、美味しそうだよね」
　猫の石像だが、魚好きと思った椿美咲紀は、ウサ耳を揺らしながら楽しそうにツッコミを入れる。
「杵にしか見えないピコハンだが、餅はつかずに大黒猫をどつく！　悪く思うなよ！」
　刀は、臼の中の餅を杵でつくようにピコピコハンマーを勢いよく振り下ろす。

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