＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編

●小さなウサギさん達

「気持ちいいなー」
　休日の早朝。
　漁港近くをのんびり散歩していた佐藤瀬莉は、頭とお尻に違和感を感じた。
　頭部に手を当て「何かな？」と触ってみると、ピョコピョコ動く長い動物の耳が。
　お尻に触れると、そこには丸い尻尾のようなものがついていた。
　それだけでなく、肩と胸元がスースーするので服装にも異変が？　と思い、おそるおそる胸元を見る。
　いつの間にか、普段から着慣れているフリルやレースがついている服が変わっていた。
「な、何これ！？」
　児童書に登場する白ウサギをモチーフにしたらしい肩は剥き出し、フリルやレースが付いた白のレオタード。
　レオタードはハイレグで、足元を覆っているのは白のストッキング。
　腰回りに付いている大きめのフリルとレースでＶラインは隠そうと思えば隠せそうだが、跳んだり、走ったりすると見えそうで怖い。
　それだけでなく、手にはピコピコハンマーが。
「これって、明らかにへんｔ（略）……。あ、あそこにもバニーの子が」
　バニーガール姿にされたのが自分だけではないことがわかると、少し安心した。

　大きなピコピコハンマーを担いだ星幽塔民のアリス・ミーティアは、大きな胸が目立つバニーガール姿だ。
「バニーガールになってるのは大黒猫の趣味？　まあ、動きやすいし、いいか」
　と、気にしていない様子。
　寝子島漁港は観光で来たことがある、宝探しは慣れているアリスは、楽しみながら探している。
　その一言が気になった瀬莉は、こんな格好になったのと大黒猫の関係を知っているのかアリスに聞く。
「今、バニーガールは大黒猫の趣味って言わなかった？」
「言ったよ。何でそうなったかは、わからないけど」
　大黒猫を探す理由を尋ねると、駅前にある恵比寿猫から、漁港周辺のどこかにある大黒猫を見つけ、ピコピコハンマーで突っ込んでほしいと頼まれたとか。
「大黒猫を見つけて、怒っているのを止めれば元の姿に戻れるの？」
「……だと思う。早く大黒猫を見つけよう」
　弁天猫、布袋猫を探した時は、こんなことなかったのに……と思うと瀬莉は腹が立ってきた。
（12歳小学生女子にバニースーツを着せるとは、どんな神経してるんだ、変態猫！）
　お仕置き！　とピコピコハンマーを握りしめ、アリスと一緒に大黒猫を探すことにしたのだった。

（あれぇ……お店の前がべっこべこだねぇ？）
　大衆食堂『うみねこ』の前に差し掛かった時、道に開いている穴に足を突っ込んでしまった曖浜瑠樹。
　それと同時に、頭に恵比寿猫の声が響き、大黒猫を探してほしいとお願いを。
「大黒猫さんを探せばいいのかねぇ？　わかったよぉ！」
　恵比寿猫をお助けすべく大黒猫を探そうとした瑠樹だったが、服装の異変に気づき、歩みを止める。
　ふわふわもこもこな白ウサギの顔出し着ぐるみパジャマ姿に変わり、手にはＲＰＧの武器のように大きなピコピコハンマーが握られていた。
「ラピちゃんとお揃いの着ぐるみだねぇ」
　持ち歩いている黒くて丸い目、ふわふわな白うさぎの縫いぐるみを抱きしめて喜ぶ。

　大黒猫を探そうと『うみねこ』前を後にしてすぐ、バニーガール姿の瀬莉とアリスに会った。
「バニーガールのお姉さん達も、大黒猫を探しているのかねぇ」
「恵比寿猫にお願いされたからね。皆で手分けして探せば早いと思うよ。一緒に探さない？」
　アリスの誘いに「いいよぉ」と合流する瑠樹。
（あたしも可愛い着ぐるみが良かった……）
　瀬莉はジト目で瑠樹を見ていたが、気を取り直し、一緒に大黒猫探しをすることに。

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