＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞大黒猫を探せ編

●ウサギさん達、ツッコミまくれ！

「私達もいきましょう」
『だいこくねこさん、ごめん』
　橘千歳と小山内海もピコピコハンマーで大黒猫を叩く。
「ごめんなさい。本当はこういうことはしたくないんだけど……」
　バチが当たりませんように、と祈りつつ、謝りながらツッコミを入れる千歳。
　お姉さん達、どいてぇと曖浜瑠樹が更にツッコミを入れに。
「もう、漁港をべっこべこにしちゃだめだよぉはんまぁー！！」
「12歳小学生女子の怒り、思い知れ変態！！」
　瑠樹と偶然タイミングが合った佐藤瀬莉の怒りのツッコミは、見事なまでに大黒猫の腹部にヒット。

　――ええ加減にせえ！　何で、おまえらにどつかれなあかんねん！！

「恵比寿猫にどつかれたいの？　そういう趣味なの？」
　ボケ属性なアリス・ミーティアは、そう言いながら突っ込む。話がズレているような気がするが……。
　再度ホームラン狙いのフルスイング、とピコピコハンマーを叩きつける。
「またホームラン失敗……恵比寿猫に突っ込まれないと駄目なのかな？」
　そういう問題ではないかと……。

「大黒猫さんにツッコミ……なんでやねん……ごめん、それしか思いつかなかった」
　恵比寿猫さんも心配しているから早く落ち着いて、と説得しながら、遠野まほろはピコピコハンマーで大黒猫を叩く。
「突っ込むのは、恵比寿様に頼まれたからなんです」
　小さい子供を叩くように、優しく突っ込む綾辻綾花は、お怒り状態で黒かった大黒猫の色が、徐々に薄くなってきているのに気づいた。
「皆さん、大黒様は落ち着いてきたようです」
　もう少しツッコミを入れれば元の色に戻るはず、と、皆にツッコミを入れるよう促す。

　大黒猫にツッコミを入れている最中、騒ぎに興味を示した人達が集まって来た。
　こうなることを予測していた修は、ツッコミを中断して集まって来た人達に、この状況を説明し始めた。
「映画の撮影中なんです。この人達は、出演中のリアクション芸人さんなんです」
　見たこともない芸人だ、カメラはどこだと問い詰める人も。
　芸人は売れていない人を起用。カメラマンは、良い映像を撮るため、あえて隠れていると誤魔化した。
　撮影の邪魔なので、すみませんが、この場を離れてくださいと八神修と椿美咲紀は見物人を立ち去らせた。

　大黒猫を突っ込むウサギと化した面々しかいないので、心おきなく大黒猫ツッコミが続けられる。
　修はツッコミを入れつつ、大黒猫に言葉が届くまで説得する。
「何故、それほど荒ぶるのですか。どうか、お怒りをお鎮めください」
　他の皆も、各々の方法で大黒猫を説得したり、ツッコミを入れたりと動き回った。
　説得したり、宥めたり、突っ込んだりと、大黒猫を落ち着かせようとする皆は、必死になって動き回っているうちに次第に疲れてきた。
　まだ落ち着かないのかと諦めかけたその時、皆の頭の中に恵比寿猫の声が。
　　
　――大黒、いつまで暴れとるんじゃ！　いい加減にせんと絶交じゃ！

　恵比寿猫の言葉にショックを受けた大黒猫は、急に動かなくなった。

　――そんなん嫌や！　許してぇな！

　――ならば、そこにおる者達に詫び、壊した漁港を元に戻すんじゃ。そうしたら、許してやるぞい。

　それで許してくれるならと、大黒猫は皆に詫び、七福猫の力で壊した壁と小槌で開けた穴を塞いだ。
　猫の形のへこみ、『うみねこ』店前の穴は、いつの間にか無くなっていた。
　騒動が収まったので、真っ黒だった大黒猫の色は、他の七福猫と同じような色に。
「大黒猫さん……元に戻れて良かったね」
　泣いているように見えたまほろは、ハンカチを取り出すと大黒猫の目元を拭いた。

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