ザ・ポータル・ウォー｜リアクション

ザ・ポータル・ウォー

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鷹梅の居合刀の一閃が、ソプターを捉えた。
左の格闘アームが折れ飛び、鷹梅はすかさずソレを掴んでソプターに突き立てる。
油を飛び散らせ、屋上に墜落するソプター。そいつには目もくれず、今度は格闘アームを弓につがえ、放つ。
風を切って飛んだアームは、アイスソプターの真芯を貫いた。冷気弾の弾倉を直撃したのだろうか、貫いた箇所からアームは氷漬けになっていく。
「へえ、今時の弓道はこんな矢使ってんのかい！　随分いい趣味じゃあないか！」
ポイズンソプターの毒液弾をかいくぐりながら、秋が言う。
ふっ、と鷹梅は小さく笑った。
「いえ、これは道でなく術。斃せるならば何でも構わないのです」
道とは、礼儀作法をはじめとする精神性を含むもの。対して今ここで繰り広げられるのは、鉄火場において敵を屠り、生き延びるための術である。
故に、道ではなく術。
その言葉に、秋もまたまた笑う。こちらは、獰猛な獣のように。
背後へと回り込んだファイアソプターに、木刀を投げつける。
「そりゃそうさ！　喧嘩や殺し合いなんぞ、お行儀良く出来るかっての！」
木刀をかわすファイアソプターに、しかし二本目の格闘アームが矢となって食らいついた。
「お互い、気が合いそうですね？」
「その点は同意さね！」
秋の物干し竿が、ポイズンソプターのアームを絡め取る。
そのまま、ソプターを地面に叩きつける勢いで斬り潰した。

◆
「ふむ、こやつらの動きにもだいぶ慣れてきた」
ソプターに突き刺した格闘アームを引き抜いて、黄流がぽつりとつぶやいた。
「汝はまだ戦えるか？」
と黄流が声をかけた先は、なんだかんだで一緒になって戦っていた椎井。
「大丈夫よ」
ゴルフクラブの具合を確かめつつ返した椎井は、ちらっと黄流の様子を伺った。
ソプターの動きに慣れてきたのは、黄流だけではない。観察を続けてきたおかげで、椎井もだいぶ読めるようになってきた。
裏を返せば、それだけ戦っているということ。
しかし、黄流の呼吸はまるで乱れる様子がない。むしろ、次第に落ち着いてきている節すらある。
陸上部員の椎井から見ても、相当な体力の持ち主……いや、体力の問題だろうか？
（格好からして、武道家っぽいけど）
だから、というよりは。
もっと他に、彼をこの戦いに駆り立てるものが、力の源になるような何かあるように思えてならなかった。