「……!? ここは?」
七峯 鷹梅がひとつ瞬きをする間に、周囲の光景は一変していた。
弓術の稽古に打ち込んでいたはずだ。しかし見据えた先に三重の円を描く白黒の霞的は見えず、そこには淀んだ空気が渦を巻いている。
「ボク、寝子島きた?」
聞こえた声に隣を見やれば、ほしびとの
アスワド・クロノワールが佇んでいる。
それに辺りには、彼女らと同様に状況も分からず目を白黒とさせる、ひとやもれいび、ほしびとたちの戸惑う顔が見てとれた。
「どうやら、尋常でない事態に巻き込まれたようですね」
「ん。なんか、ピリピリする……ヤなかんじ」
鷹梅が弓と矢筒を身に帯びたままであったこと。アスワドが星幽塔での姿のまま武装していることが幸いであるのは、すぐに感じ取ることができた。
よくよく見れば、ここはシーサイドタウンを貫く寝子島街道のど真ん中であったが、周囲に彼女らを除く人の気配はない。
あるのは眼前に渦巻く、瘴気とでも呼ぶべき異様な威圧感を放つ、この巨大な……『
穴』だ。
「……ちっ。くそ、やっぱりだぜ。厄介なことになっちまった」
「テオ?」
彼によって集められたらしい人々の頭へ、
テオドロス・バルツァの声が響く。
「どうもこのところ、イヤな気配がしてたんだ。ちょっと気を付けてりゃこれだ。
おい、お前ら気を付けろ。その『
ポータル』から出てくるのは、ヤバイ奴らだぜ」
「やばいやつら? 敵か?」
アスワドのシンプルな問いに応えたのはテオではなく、彼が『ポータル』と呼んだそれだ。
地へ垂直に開いたそれは光り輝く『穴』であり、遥か頭上へそびえる『門<ゲート>』だった。
「俺は世界を切り分けるのと、あのポータルをこれ以上広げないよう押さえ込むので手一杯だ。
お客の相手は、お前らでやってくれ……さもないと、寝子島が……世界が」
頼んだぜ、というかすれた声の直後に、ポータルの境界面、こちらと向こうの狭間が揺らめき始める。
何者かが、こちらへ姿を現そうとしている。
「……どうやら、やるしかないようですね。
いいでしょう。日頃嗜む、武道の成果をお見せしましょう」
「ヴォーパルバニー族、戦うのとくい。
まかせろ。切り刻んでやる」
鷹梅は眼光鋭く弓に矢を番え、アスワドは飄々としながらも部族に伝わる短刀を抜き放つ。
やがて現れるのは、異界からの来訪者たち。端的に、侵略者と表現するのが手っ取り早いかもしれない。
命を賭した戦いが今、幕を開けるのだ。
こんにちは。風雅宿です。
七峯 鷹梅さま、アスワド・クロノワールさま、ご登場ありがとうございます。
ガイドの内容はイメージとして、なかったことにしても大丈夫です。
概要
今回は、シンプルなバトルシナリオとなります。
やることは簡単。
寝子島へ開いた異次元へ繋がるゲート、『ポータル』から現れる敵を、全て撃破してください!
ただし、異界からの来訪者はとても強く、もし皆さんが敗北してしまえば、
寝子島や星幽塔はおろか、世界中が彼らによって壊滅させられてしまうでしょう。
出現する敵を全て倒せば、その隙にテオがポータルを閉じることができます。
皆さんの健闘を祈ります!
ポータルから現れる者たち
敵は皆さんを見つけ次第、問答無用で襲いかかってきます。
以下のA~Cの敵のうち、どれに対処するか、一つを選んでアクションに書いてください。
○A:ソプター ×50(推定)
小型の飛行機械。全長1~2メートル程度。
一体一体はさほど強くないが、群れで攻撃を行う。
以下の三種が確認でき、それぞれ異なる性質の銃を搭載しているようだ。
・ファイアソプター
・アイスソプター
・ポイズンソプター
近接戦闘用の格闘アームも備えているため、懐に潜り込んでも油断はできない。
○B:コロッサス ×4
大型の機械の巨人。全高7~8メートル。
極めて強固な装甲と驚異的な膂力を持ち、携えた両手斧で獲物を両断する。
若干ながら知性を持ち、コロッサス同士で仲間意識のようなものがあるようだ。
○C:ドレッドノート ×1
龍のような姿をした巨大機械生物。
身体の大部分がポータルの向こうに隠れていており、全長は計り知れない。
ビルをも引き裂く鋭い爪と牙を持ち、口から地獄のような炎を吐く。
巨体の到るところに、卵や格納庫のように見えるパーツがついている。
備考
・ひと、もれいびは武器などを持ち込むこともできますが、普段から持ち歩いているようなもの、
シーサイドタウンの街中で見つかる程度のものに限ります。
・ほしびとのPCは、星幽塔と同じ姿や装備で登場できます。
星の力は、『星の力(虹)』のみ使うことができます。
・舞台は、テオが世界を切り分けた後の、無人のシーサイドタウンです。
周囲の被害などは、もし勝利することができれば、シナリオ終了時にもとに戻ります。