ザ・ポータル・ウォー｜リアクション

ザ・ポータル・ウォー

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墨汁を払い落としたかと思うと、コロッサスは道路を思い切り殴りつけた。
それはまるで、怒りをぶつけるかのように、二度、三度と繰り返し。
立っているのもやっとな振動に襲われ、蛇那伊は倒したばかりのコロッサスから飛び降りる。
当然、降りた瞬間は隙だらけ。
そこにねじ込まれる一撃を妨げようと、美緒が二度目の墨汁投下を試みる。
瞬間、コロッサスが電撃的な機動を見せた。
飛び散ったアスファルトの塊を蹴り上げ、さらに斧の柄を使って器用にも弾いてみせた。
その狙いは、美緒。
（やっば！）
直撃すればただではすまないのは、火を見るより明らか。
美緒は空中で旋転するが、しかしアスファルト塊は右の翼の端に命中した。
端がかすめた程度だが。血と羽が飛び散り、さらに衝撃でバランスを崩した美緒の身体がくるくると宙を舞う。
コロッサスが、その巨大な手を美緒に向かって伸ばした。
とっさに美緒はろっこんを解除。落下速度を早めて逃れると同時に、受け身を取ろうとする。

そこへ、亮が駆けつけた。
背後に迫る、自身が挑発したコロッサスには目もくれず。亮はろっこんを発動し、砲丸を投げた。
砲丸はコロッサスの膝裏を直撃し、鈍い金属音とともに体勢が揺らぐ。
しかし、それでも巨大ゆえにリーチに優れるその腕は、美緒を逃さない。
はずだった。
「コロッサスが膝をつく」メモを破り捨て、緑がろっこんを発動。
本来ならば体勢をほんの少し崩すだけだった一撃で、コロッサスは膝をつく。
すかさず、亮がさらに砲丸を投げつける。
狙いを膝から上半身、まずは肘への関節部へと叩き込む。
さらに、飛び乗った蛇那伊が真白のリボンを肘へ突とき立てた。砲丸でもろくなっていた関節部が、火花を散らして動かなくなる。
しかしそこで、亮が誘導してきた3体目のコロッサスが追いついてきたからだ。
もちろん、大人しく合流させるわけにはない。
緑が「後ろ蹴り」のメモを破り捨てれば、肘の壊れた2体目のコロッサスが、3体目に対して後ろ蹴りをお見舞いする。歩み出そうと振り上げた足が、まるで勢いあまって蹴りになってしまったような。そんな後ろ蹴りだ。
ちょうどその瞬間、まさにそれに合わせるようにして。
3体目のコロッサスの後頭部に、砲丸が投げつけられた。
亮ではない。亮の砲丸を拾っていたさゆるが、追いついてソレを投げていた。
「ほら、こっちよデカブツ」
旋転した3体目は、さゆるに向かって斧を振り下ろす。
飛び散ったアスファルト片を回避しきれずに、さゆるの細い身体が巻き込まれて吹き飛ばされる。
だがそのせいで、3体目は2体目の蹴りをガードできなくなった。
直撃を受けて体勢を大きく崩し、2体目が何が起きたかわからないといった様子で、3体目を振り返ろうとする。
そこで、「振り返って斧を振り下ろす」――たった今書いたばかりのメモを、緑が破る。
2体目は、「斧を持っている腕の方」から振り向いた。
図らずも、斧を斜めに振り抜くような動きで。
斧が、3体目の身体に深々と突き立つ。
それで、充分だった。
火花を噴き上げながら、3体目が崩れ落ちる。突き刺さった斧に引きずられ、無防備な背中を晒す2体目。
すかさず、亮がろっこんの進化能力を発動。
6倍に高まった筋力で、首の関節へと砲丸を叩き込んだ。

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