ライブラリ・ラビリンス２｜リアクション

ライブラリ・ラビリンス２

■集合
　集合した一同は、今回もまた各々調査の結果を報告する。

右の部屋の探索に向かった天吏、綾花は
・右の部屋は外から見た限りでは変化はない。
・ただし、内部に入ることはできなかった。
・今後、こういった一種人知を越える障害があり得ないとは限らない。
　と、現状と推理を交えて報告した。

続いて、左の部屋に向かった陽太、樹、モニカは
・知育玩具の中から出てきた黒い木の鍵。
・鳥の図鑑が足りない本棚。
・絨毯の下の扉。
　について報告した。

赤い部屋を調査したのは、楓、美咲紀。
・床下収納を見つけたこと。
・テーブルと椅子に、デザインの違うものが混じっていること。
・隣の部屋との間の壁には通風孔や扉の痕はないこと。
・たくさんの人が集まる催しを開いていた可能性があること。
　について報告した。

最後に、青い部屋を調査した武道、紫、修は
・調律工具のセットを発見したこと。
・並べられていた楽譜や書籍は一般的なもの。
・音楽教室などが催されていた可能性があること。
・蓋のない木箱を発見したこと。
　を報告した。
報告が出揃ったところで、それぞれに意見を交換し合う。

「鳥の図鑑が、足りない……？」
　何か思い当たる節があるのか、天吏が小さく復唱した。
モニカがそれに応える。
「そうそう。確か以前の調査の時に、
大天使さんが右の部屋で鳥の図鑑を見たと言っていた気がして」
「ええ、私が見たのも、鳥の図鑑だったわ。
きっとなにか関連があるのね」
　しかし、今は右の部屋から図鑑を持ち出すことは不可能だ。
ますますもって、前回左の部屋に図鑑が足りないことを
確認しておけばと後悔してみても、解決策はない。
「次回、右の部屋に入れるチャンスがあれば、
私が調べてみるわ」
　そう呟いた天吏に、陽太も笑いかけた。
「なにがあるのか、楽しみだねぃ」
「で、絨毯の下の扉っていうのは」
　修が言及し、樹が応える。
「ああうん、絨毯の下に扉があるのはわかったんだけど、
絨毯が邪魔でうまく調査できなくて……」
「絨毯が邪魔なのに扉があるのは間違いないの？」
「それは間違いないよ。オレの相棒たちが調べてくれたからねぃ」
　紫の疑問に、陽太がポケットから粘土の動物たちを取り出してみせる。
「絨毯、ぺろっと捲ってみるわけにはいかなかったですか」
「この図書館の絨毯、全体的に床を覆うようになってるし
もしかして、一部だけはめくれなかったのかしら」
　美咲紀と綾花の疑問に、そうなんだよーと樹がお手上げのポーズをとる。
モニカも困ったように溜息をついた。
「せめてこう、ハサミとかナイフとかあればよかったんだけどね
今回はほら、装備がないから……」
「次回に持ち越しかあ……」
　武道が残念そうに溜息を吐いた。
「あとはアイテム諸々と、図書館内部の使われ方の情報が多いですかね？」
「そうだな。特に子供と、
人が集まるようなイベントについてわかったことが多いようだ」
　修がわかったことを頭の中で整理しながら意見を述べた。
「そうだ、あと、誰か時間を調べてた人いるかな？」
　武道が思い出したように全員に声をかける。
「俺、調べてた。なんだ、志波も時間気になってたクチか？」
　楓の言葉に、武道は頷いた。
「やっぱりさ、どうにも不自然っていうか……」
「わかるわかる。気になるよな。ちなみに俺の時計では
探索を始めてから二時間くらいだ。三時間は行かねえな」
　楓が時計を示すと、武道も自分の時計を差し出す。
「……時間、全然違うな」
「昨日まではちゃんと動いてたんだけど……」
　首を傾げる二人に、綾花が声をかける。
「たぶん、時計もあてにならないってことかもしれませんよ。
信じられるのは、窓の外の景色だけ」
　つられて全員が窓の外に視線を移せば、
窓の外は眩しいほどの午後の光が輝いている。
「まずいな、次に行こう」
　修の言葉で、全員が次の探索場所に散っていった。