九夜山の奥深く。
どことも知れないけもの道の先に、
年代、詳細、所有者までも一切不明の
不思議な図書館の廃墟があるのだとか。
島民の中には行ったことがあるという者も、
いやいやそんな建物存在しないという者もいた。
噂は噂を呼び、憶測は尾ひれを付けて飛び回り、
真実を知るものは誰もいない。
……先日図書館に侵入できた数名を除いては。
ふと気づくと、あなたは件の図書館の前にいた。
図書館が語り掛ける、というのもおかしな話だが、
何故だか目の前の西洋風の廃墟が、
噂の廃図書館であると、あなたは瞬時に確信したのだ。
同じように、辺りを見回している仲間も数人いる。
重厚な両開きの玄関扉、石壁にはツタが這いまわり、
ところどころ窓は割れ、朽ちた木枠は触れれば崩れそうなほどだ。
一見危険そうな図書館だが、中にはつい最近、
誰かが足を踏み入れた跡がある。
その証拠に、図書館の前の地面には複数人の足跡があり
西館への扉は解放されていた。
しかしながら、まだまだ手付かずの場所も多いようだ。
突然連れてこられたため、廃墟探索用の装備は何もないが、
夢を渡るかのように今ここに連れてこられたことには
きっと何か意味があるのだろう。
そう考えたあなたたちは、図書館の中でもまだ手付かずの場所を探索し、
かつ、新たなエリアを解放することに決め、
図書館の中に足を踏み入れたのだった。
図書館の床に厚く降り積もった埃。
そのうえには最近探索した先人たちの足跡が残っていた。
足跡は東館の廊下と右側の部屋を中心にくまなく調べてあり、
その二か所は既に調べつくされているようだ。
エントランスには、先人たちが調べ発見したのであろう物品の数々と、
ここまでの経緯が簡易なメモにまとめられ、古びたワインの木箱に入れてあった。
……誰かが書き残したものか、それとも人ならざる何者かの仕業かはわからない。
出自も不明で得体は知れないが、今はこれを信じるしか手立てはないようだ。
■まとめ
見つけて入手した物
・西館の鍵(使用済)
・古い写真
・誰かの日記
・図書館一階(東館と西館)の見取り図
・猫の足跡が彫刻された印章
今回見つけたけど未入手の物
・学術書の棚に一冊だけ混じった図鑑
・時計の振り子に挟まったなにか
今回わかったこと
・図書館内ではカメラが使えない
・受付カウンターに電話はない
・花瓶に生けられた花の静物画
・静物画と印章に書かれたA.Rという文字列
・資産家の私設図書館である
・書類系は汚損で全滅に等しい
さて、このメモによると、
●東館では左の部屋が未探索のようだ。
絵本・図鑑・童話・植物や天体、動物などの写真集など、
比較的子供が読むことを想定された本の数々と、知育玩具が数種類、
長い年月にその身を晒していた。
そして、誰も立ち入った痕跡がないのが西館。
見取り図によれば、西館にもふたつ部屋がある。
●片方は赤い絨毯の敷かれた部屋。
どうやら図書館利用者のために
食べ物をふるまうサロン、と言ったところだろうか。
部屋の隅には栓の開いていないワインが数本残ったワインラック。
調理台の上にはブレッドケースやシュガーポット、
カトラリーやカッティングボード、
ピクルスが入っていたと思われる瓶などが並んでいる。
一応シンクもあるにはあるが、ひどく簡素なことを鑑みるに
本格的な調理はせず、切って皿に盛るだけのツマミか、
調理が簡単なサンドイッチなどの軽食を提供するに留まっていたようだ。
食器棚の抽斗にも、銀のカトラリーが数点残っていたが、
皿や調理器具のたぐいは見つからなかった。
そんな簡易キッチンを囲むように設えられているのは
埃の積もったカウンターとカウンターチェア。こちらは一人客用だろう。
その背後には複数人での飲食用か、
大量の丸テーブルと椅子が、部屋の隅にひと固まりに重ねてあった。
ここを離れる際に誰かが片付けたものか、侵入者が悪戯したものかはわからない。
大きな窓からは図書館の庭が見えるが、こちらからは出ることができないようだ。
おそらく往時は移り変わる四季を楽しみながら読書に勤しみ、
また読んだ本の感想を語り合った利用者が多くいたことだろう。
●さて、もう片方は青い絨毯の敷かれた部屋。
こちらには東館の二部屋と同じく本棚が並べられ、
いかにも図書館然としていた。
……中央に置かれたグランドピアノを除いては。
苔と蔦と黴に覆われ、黒鍵も白鍵も緑鍵と化したピアノは、
真っ黒だったはずのボディの艶さえ見る影もない。
ピアノの前に置かれた椅子は湿気を含んで膨れ上がっており、
座る気には到底なれない。
周囲の本棚には大量の楽譜、
音楽史や作曲家、戯曲に関する本がずらりと収められている。
どうやら、この部屋は音楽に関する本を集めた部屋らしい。
ピアノは誰でも弾けて、ここで奏でられた音楽は
隣のサロンで憩う人々の耳を楽しませたことだろう。
壁には偉大な音楽家たちの肖像画が飾られており、
その視線になんとなく居心地の悪い思いを感じる。
●最後は西館の廊下だ。
とはいえ、貸出カウンターがあった東館と違って、
こちらの廊下には色褪せた絨毯のほかには何もない。
窓は割れ、木枠は朽ちてボロボロになっている。
ざっくりと調べた内容を見取り図に書き込んでいるうちに、
仲間の何人かは冒険心を擽られたようだ。
なんとなく雰囲気に流されて、そこにいたメンバーで
廃図書館の探索を行うことにした。
はい、二度目の図書館探索です。
今回は、前回未探索の東館左側の部屋と
西館の赤い部屋&青い部屋&廊下が探索可能です。
この四か所の中から探索する場所を二か所と
どういう風に探索をするかを詳細にお書き下さい。
ただし、今回は前回と違い、
ある日突然唐突に連れて来られた、ということになっております。
つまり、日常持ち歩かないような
ヘビィめな探索装備や隠し装備等々は持ち込めていない、
ということを念頭に置いて探索してみてください。
あれこれ荷物でアクション文字数消費するのはもったいないかな…と思いまして。
あと、シリーズものではありますが、今回からご参加の方も大歓迎です!
前回探索した内容は全部、まとめメモに書いてあったので知っている、
という前提でスタートさせていただきます。
ではでは、探索者の皆様行ってらっしゃいませ!