夢見る少女｜リアクション

夢見る少女

●島に広がる不信・２

「こうなるとは思っていたが、散々だな……」

　草薙龍八は聞き込みをする寝子高生達の姿が、連続失踪事件でナーバスになっている子供たちの親や教師たちを刺激してしまうのではないかと懸念していたが、その心配はまさに現実のものとなってしまっていた。

　ただでさえ、子供たちをこれ以上の危険にさらさない為にと神経質になり、集団下校やボランティアの大人による登下校の同行などを行っているところに、寝子高生達が直接子供たちに接触を行うのは、親や教師たちの不審の目を引くものだった。

　ましてや、道案内や捜索の手伝いの為に連れ歩くなどというのは言語道断と思われてしまっても仕方がない。
　いくら事件の真相を探るためとはいえ、ただの高校生であって、警察などの捜査機関ではないのだ。
　また、同じ島民であり、多少なりとも顔馴染みがいる事をアピールしたところで、事件に対して警戒心を持ち、子供を守ることを何よりも優先する大人たちは、子供たちを寝子高生達に預けて山へ行かせるような事には否定的な答えや態度しかもっていなかったのだ。

　辛うじて分かったのは、子供たちと遊んでいた『ののの』は、寝子高生の野々ののこと非常によく似た外見をしていたらしいという事だった。
　しかし、『ののの』はののこが学校にいる時間帯にも現れたりしていたようで、単純に『ののの＝ののこ』と決めてしまうのには難しい状況でもあった。

　一行はそれでも辛うじて得られた情報を携帯電話でやりとりし、九夜山へ向かったメンバーと合流を目指す者もいた。