夢見る少女｜リアクション

夢見る少女

●島に広がる不信

　山に現れる不思議な存在が、子供たちを連れて行く。
　こんな噂話も都市伝説の一つになり得るのだろうか？
　オカルト好きな晴海飛鳥は今回の事件にその片鱗を感じ、好奇心を隠せないでいた。

「『ののの』か、かわいい名前だね。
　神魂かなにかの残滓か、あるいはもれいび化した幽霊か……まぁ調べれば分かるよね」
　
　まずは連続失踪事件について調査をしてみようと、被害にあったという子供たちに聞き込みをする事にして、八神修や千鳥雅人、桜庭円らと共に小学校付近を探してみる。

「のののちゃんに会うために、子供達からお話を聞くんだよー！」

　雅人は純粋にその不思議な女の子『ののの』や子供たちとの触れ合いを求めて、情報集めを手伝っていた。

「最近噂になってる『不思議な女の子と遊んだ』人って、この中にいるかな？」

　ニコニコ笑顔でフレンドリーを心がけて話しかける。

「僕たちは遊んでないけど、九夜山の奥に行けば会えるらしいよ？」

「そうそう。空を飛んでいろんな所へ連れてってくれるらしいぜ。外国とか宇宙とか……」

　『ののの』の事は子供たちの間では結構な噂話になっているらしい。
　噂が広がる過程で尾ひれも付いているようで、何がどこまで本当なのかはよく分からないが、子供たちだけで九夜山で遊んでいるとその『ののの』が現れ、仲間に入れてくれと頼んで来るらしい。
　それを受け入れてやると魔法のような不思議な力を見せ、フツウではありえないような体験をさせてくれるというのが大体の共通点のようだ……

　しかし、聞き込みが順調だったのもそれまでだった。最近の失踪事件で神経過敏になっている教師や父兄たちに不審がられ、追い払われてしまったのだ。

　修は、のののに残された時間は多くなく、事件解決には急がなければならないと感じていたが、善意から出た行動とはいっても、子供たちを事件や事故から守りたいという教師や父兄たちの心を動かすのは難しかった。強引な事や軽はずみな事をして騒ぎになってしまうのは本意ではない。

　円もまた舞の話を聞いて、『ののの』と遊んだ子供たちをもう一度『ののの』に会わせて、きちんと最後のお別れをさせるのが筋だと思ったのだが、父兄や教師たちの警戒の前にこれ以上無理をするのは得策ではないと諦めるしかなかった。

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