嘘＜ユメ＞が現実＜ホント＞になるセカイ。それが、らっかみ！｜リアクション

嘘＜ユメ＞が現実＜ホント＞になるセカイ。それが、らっかみ！

【クローネ神社・今年版】

「ウホッ☆」
　はい！　もうこの鳴き声（？）で、誰だかお分かりですね？
　もちろん、ミッシェル・ナイスゲイさんであります。今日も青ヒゲ、すゲイっすね。
　さてここはその名も、クローネ神社。かのカラスのらっかみ、クローネを祀るという目的でミッシェルがブチ上げた、やたらめったらピンクい神社です。
　そんな目に痛いショッキング・ピンクのど真ん中で、ミッシェルさんは野太く叫びました。
「アタシもウソつくわぁ～ん♪　『四十九院鸞先生の正体は、クローネちゃんなのよぉ～ん』！」
　どどん！
「……ちょっとォ～、どうなってるのよゥ？　気がついたら寝子島にいるし」
「ああっ、クローネちゃん！　待ってたわぁ～ん☆」
　かつかつブーツの底を鳴らしつつ、やってきた四十九院先生にはいつものちょっと気だるい感じとか、面倒見の良い穏やかな感じとかはありません。なぜなら本日、謎めいた四十九院先生の正体は、カラスのクローネであるからです。ホントのところはどーだか分かりませんけれど、今日に限ってはそーいうことなのです。
「なァにィ、またアンタなの？　懲りないわねぇ。で、アタシを呼んだからには、もてなしの準備はできてるんでしょうねェ？」
「もちろん、いつもの『ピンククローネ』を用意してるわよぉ～ん！　あと乾きものとかイロイロ」
「あっそ。仕方ないから、今年も付き合ってあげるワ」
　つれないようで付き合いのいい四十九院先生＝クローネを伴って、ピンクの空間の真ん中へ。
「クローネちゃん、先生のお仕事はど～お？　楽しんでる？」
「それがさァ、ちょいと聞きなさいってば。ケツの青いガキどものお守りなんてやってらんないわよォ～」
　あくまでクローネさんの感想ですよ？
　ともかく、やがて再び、酒盛りが始まりました。ぞろぞろやってきたミッシェル繋がりのナイスゲイさんたち（注・深い意味はないです）も加わって、あっという間に新宿二丁目界隈っぽい雰囲気ですウホッ。

　程よく酔いが回ってきたところで、ミッシェルさんはピーナツをつまんでいるクローネへと切り出しました。
「ねぇねぇクローネちゃん。ブブ・ベルゼのこと、覚えてる？」
「はァ～？　ブブ……なに？」
「ブブ・ベルゼ！　イケメン悪魔のカレのことよぉ～」
　ガッツリ系で胸毛の濃いおネエさんにお酌をさせながら、クローネはぐにゃりと渋面を浮かべます。四十九院先生の美貌がダイナシです。
「ああー。アイツ、まだ生きてたのォ」
「そんなこと言って、クローネちゃんも気になってたんじゃないのぉ～ん？　カレ、今でもアナタのこと好きみたいよん」
「はん、ガキみたいなこと言っちゃって。こっちはそれどころじゃなかったっての」
「そうなのん？　じゃあじゃあ、カレとの間になにがあったのかしら？　こっそり教えてぇ～ん♪」
「ヤーよ。なァんでそんなこと、アンタに……」
　と言いつつ、昔のことを思い出したのでしょうか？　一瞬、懐かしそうに彼女がふわりと微笑んだのを、ミッシェルは見逃しませんでした。
　ミッシェルは不思議ならっかみである彼女のことを知りたいと思いながら、彼女を友人と思ってはばかりません。だからこそ詰問調にはならず、親しみを感じさせるのでしょう。単なる無神経ではないのです……たぶん。
「じゃあじゃあ！　アタシがもらっちゃってもいいのぉ～？　カレ、イケメンな紳士だしぃ～、すっごく好みなのよねぇ～ん♪」
「好きにすればァ～？　というか、相変わらずよねアンタって。変わんないんだから……くくっ」
　ミッシェルが望むような情報は、得られなかったかもしれません。
　それでも、このひと時はミッシェルにとって、かけがえのない時間となったことでしょう。