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- 00月00日生 00歳
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R&R Agency：file2-01：落神伝説レポート
● 図書館の調査結果
土曜の午前が、じくじくと過ぎてゆく。
調査済みの山はまだ小さく、未読の山は堆（うずたか）い。
さゆると綾花は会話もなくそれぞれにページを捲っていた。
無論、闇雲に当たっても必要な情報を得られるわけではないと考えたさゆるは「落神」「怪談」「事件」「伝承」「怪異」「神話」などのキーワードで範囲を絞って調べ、綾花も「伝記」「民俗学」「神道」の棚と行ったり来たりしながら調べた。
昼時になり、ふたりは昼食を兼ねて休憩をとることにした。近くのワゴンでカフェラテと軽食を買い、ベンチに掛けて食べる。その間も、ほとんど会話はなかったが、奇妙な信頼感のようなものは生まれつつあった。
腹がくちてほっとしたところで、綾花がここまでの調査の結果について話し始める。
「私は落神神社について調べました。落神というだけあって、起源は寝子暦一桁のころ。ちなみに、寝子暦元年というのは、前落神が寝子島に落ちてきた年のことです。落神はその後何年か寝子島にいて、天に戻ったようですね。落神が天に帰ったのちに、今後とも島が安寧でありますように、と当時の島民が建てたようです」
綾花が調べたところによると、古来日本人は、八百万（やおよろず）の神といわれるように、山や滝、岩のような自然のもの、人物、動物、外来の神など様々なものを敬い、カミとして祀ってきた。明治時代には、神社は国家の管理下に入り、入っていなければ神社と名乗れない時代もあったそうだ。第二次大戦後はＧＨＱによって国家神道は解体され、今では神社本庁に属する神社が多いものの、属さない小神社も数万にのぼり、落神神社は後者であるらしい。
「はじめの頃は島の守り神として管理していたものが、時代が下るにつれて忘れられ、廃神社のようになっていったのだろう……って郷土史の本には書いてありました」
ご神体についても調べてみた。
『落神様』――すなわち、ののこの前に落ちてきて伝説となった神様の像のようだ。
写真かせめてスケッチでも残っていればと思ったが、それは見つけることができなかった。
綾花は分かった情報を、落神神社に向かっているはずの刀に送った。
一方さゆるは。
「こんな本を見つけたわ。落神伝説と直接の関係があるかはわからないけれど」
寝子島書房の安っぽいペーパーバックである。
「眉唾な部分もあるけれど砂掛谷埋蔵金伝説の話や、人知れず暗躍していたらしい怪人の話とか」
さゆるは気になる個所に付箋を付け、年齢不相応な綺麗な字でノートに抜き書きをしていた。
「そういえば、気になっているマイクロフィルムがあるの。古文書みたいなのだけれど、読めないから関係あるのかないのかもわからない」
すると綾花は、はっと顔を上げて、美しいまつ毛に縁どられたさゆるのハシバミ色の瞳を見た。
「読めるかもしれません。私のろっこんなら」
綾花はかつてこびとになったとき、そのろっこん＜読破＞で昔のらっかみについて巻物を読んだこともある。
ふたりは図書館に戻ると、閲覧コーナーの投影機でマイクロフィルムを確認した。何の資料か分からないまま保存されていたのだけれど、落神という字が読めるようなので、と司書さんが出してくれたものだ。
ミミズののたくったような古い墨文字は、そのままでは読めなかったが、綾花が古文書が映し出された画面に手を翳し＜読破＞を試みると、おぼろげながらその意味合いが分かってきた。
「神々の戦い……って書いてあるようです。大昔、善き神と悪しき神の戦いがあったようですね。前の落神は、その戦いの末に落ちてきた……とこの文献にはありますが……」
「現代のらっかみ、ののことクローネの戦いのように？」
「ののことクローネの……」
綾花は回想する。あれは、ののことクローネの戦いというより、クローネと私たちの戦いだった。
「私たちの戦いは……後世に伝わると、神々の戦いってことになるんでしょうか」
「そうなるのかもしれない」
さゆるの答えに綾花は苦笑し、それから、ミルのことを思い出した。
鈴島に封印されていたというミル。けれどミルが再度封印されたかは不明なのであった。
「神々の戦いについて、他には？」
「すみません、この文献ではそのくらいしか」
「では、そういう文献が見つかったという報告にしておこうかしら」
「はい」
二人は大机に戻ると、またそれぞれに本を捲り、レポートを纏めはじめる。
綾花はノートに、「寝子島に起こる不思議な現象は神魂の影響がほとんど。人だけじゃなく動物や植物などに宿って暴走させたり周りを巻き込むような影響を及ぼしている」と書いた。
土曜の午前が、じくじくと過ぎてゆく。
調査済みの山はまだ小さく、未読の山は堆（うずたか）い。
さゆると綾花は会話もなくそれぞれにページを捲っていた。
無論、闇雲に当たっても必要な情報を得られるわけではないと考えたさゆるは「落神」「怪談」「事件」「伝承」「怪異」「神話」などのキーワードで範囲を絞って調べ、綾花も「伝記」「民俗学」「神道」の棚と行ったり来たりしながら調べた。
昼時になり、ふたりは昼食を兼ねて休憩をとることにした。近くのワゴンでカフェラテと軽食を買い、ベンチに掛けて食べる。その間も、ほとんど会話はなかったが、奇妙な信頼感のようなものは生まれつつあった。
腹がくちてほっとしたところで、綾花がここまでの調査の結果について話し始める。
「私は落神神社について調べました。落神というだけあって、起源は寝子暦一桁のころ。ちなみに、寝子暦元年というのは、前落神が寝子島に落ちてきた年のことです。落神はその後何年か寝子島にいて、天に戻ったようですね。落神が天に帰ったのちに、今後とも島が安寧でありますように、と当時の島民が建てたようです」
綾花が調べたところによると、古来日本人は、八百万（やおよろず）の神といわれるように、山や滝、岩のような自然のもの、人物、動物、外来の神など様々なものを敬い、カミとして祀ってきた。明治時代には、神社は国家の管理下に入り、入っていなければ神社と名乗れない時代もあったそうだ。第二次大戦後はＧＨＱによって国家神道は解体され、今では神社本庁に属する神社が多いものの、属さない小神社も数万にのぼり、落神神社は後者であるらしい。
「はじめの頃は島の守り神として管理していたものが、時代が下るにつれて忘れられ、廃神社のようになっていったのだろう……って郷土史の本には書いてありました」
ご神体についても調べてみた。
『落神様』――すなわち、ののこの前に落ちてきて伝説となった神様の像のようだ。
写真かせめてスケッチでも残っていればと思ったが、それは見つけることができなかった。
綾花は分かった情報を、落神神社に向かっているはずの刀に送った。
一方さゆるは。
「こんな本を見つけたわ。落神伝説と直接の関係があるかはわからないけれど」
寝子島書房の安っぽいペーパーバックである。
「眉唾な部分もあるけれど砂掛谷埋蔵金伝説の話や、人知れず暗躍していたらしい怪人の話とか」
さゆるは気になる個所に付箋を付け、年齢不相応な綺麗な字でノートに抜き書きをしていた。
「そういえば、気になっているマイクロフィルムがあるの。古文書みたいなのだけれど、読めないから関係あるのかないのかもわからない」
すると綾花は、はっと顔を上げて、美しいまつ毛に縁どられたさゆるのハシバミ色の瞳を見た。
「読めるかもしれません。私のろっこんなら」
綾花はかつてこびとになったとき、そのろっこん＜読破＞で昔のらっかみについて巻物を読んだこともある。
ふたりは図書館に戻ると、閲覧コーナーの投影機でマイクロフィルムを確認した。何の資料か分からないまま保存されていたのだけれど、落神という字が読めるようなので、と司書さんが出してくれたものだ。
ミミズののたくったような古い墨文字は、そのままでは読めなかったが、綾花が古文書が映し出された画面に手を翳し＜読破＞を試みると、おぼろげながらその意味合いが分かってきた。
「神々の戦い……って書いてあるようです。大昔、善き神と悪しき神の戦いがあったようですね。前の落神は、その戦いの末に落ちてきた……とこの文献にはありますが……」
「現代のらっかみ、ののことクローネの戦いのように？」
「ののことクローネの……」
綾花は回想する。あれは、ののことクローネの戦いというより、クローネと私たちの戦いだった。
「私たちの戦いは……後世に伝わると、神々の戦いってことになるんでしょうか」
「そうなるのかもしれない」
さゆるの答えに綾花は苦笑し、それから、ミルのことを思い出した。
鈴島に封印されていたというミル。けれどミルが再度封印されたかは不明なのであった。
「神々の戦いについて、他には？」
「すみません、この文献ではそのくらいしか」
「では、そういう文献が見つかったという報告にしておこうかしら」
「はい」
二人は大机に戻ると、またそれぞれに本を捲り、レポートを纏めはじめる。
綾花はノートに、「寝子島に起こる不思議な現象は神魂の影響がほとんど。人だけじゃなく動物や植物などに宿って暴走させたり周りを巻き込むような影響を及ぼしている」と書いた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年03月19日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年03月26日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年03月26日 11時00分
