オニハ　ウチ｜リアクション

オニハ　ウチ

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　デッキを組む為大抵常に整理整頓され、綺麗に片されている白真白の愛用テーブル。
　それが今は、いくつもの箱やカードが散らばっている状態となっていた。

「あれぇ、あのカードどこやったかなぁ」

　現在進行形で新たな箱がまた一つ、テーブルに置かれる。
　毎週１回開かれるＴＣＧの小さな大会。
　それに向け定期的に新しいカードを買い足しては、新デッキを組んで研究するのが真白の常なのだが、どうやらその買ったばかりのカードが見当たらず探している最中のようである。
　しかも、今日がその大会の日であったり。
　持って行く気満々だったカードの姿が見当たらず、現在あわあわ中。

「うーん、ここに保管してたと思ったんだけどなぁ」

　保管用、買ったばかりでまだ仕舞っていない新弾用など、きっちりと分けた箱で管理している様子から、カードゲームとはいえ如何に真白が真剣に取り組んでいるかが窺える。
　しかしどんなに箱を漁っても、一向にカードは見当たらなかった。
　刻一刻と、大会開始時間が迫ってくる。

「うーん、こっちにもないなぁ……ほんと、どこやったっけ？」

　部屋内の思いつく場所全てを探してみたものの、見つかる気配が一向にし無ければ思わず『持ってると思ってたのは記憶違いだったかな』という錯覚すら起こり始める。
　――　うーん、夢でもないはずなんだけど。現物を確かに前に見たような気がするんだけどなぁ。
　とはいえ時間も限られている。無い物は仕方がない。
　手元にあるデッキも十分愛着のある物たちだけれど、大会出場者、とりわけ優勝経験者のデッキは研究されやすい。
　真白も前に優勝している。ならば、その時使ったデッキはあまり使用しない方がいいだろうかと。
　また大会は、新しい物を試すにうってつけでもあるわけで。

「しょうがない、大会の前に買いに行くかなぁ」

　悲観に暮れることなどせず、潔くポジティブに次の行動を決められるのも、真白の強さであろう。
　いそいそと買いに行く準備をし家を出る直前、ポケットの中の財布をパカッと開いて中を確認する。
　――　えーと、今いくら入ってたかなぁ……ってあれ？
　小銭やどこかのお店のポイントカードなどを捉えた色違いの両瞳の中に、まさに探していた新カードがあまりに自然に映り込んだのである。

「あ、あれ？　なんでこんなところに？」

　恐る恐る取り出してみる。
　何度見直してみても間違いなく目的のカードだった。
　お財布とそのカードを交互に見つめていれば、次第に真白の脳内に記憶がカムバックされる。
　――　そういえば買ってすぐ組もうと思って持って行ってたんだっけ？
　……で、買ったはいいけどショップの人が多くて帰ってから組もうと思ったと。
　必死に熱望して探している時ほど、身近にあっても風景と化し気付かないものである。
　思考を切り替えた事で見つかった、真白らしさゆえの紛失と発見の流れ。
　自身に苦笑いしつつ、見つかったからいいかと玄関に向おうとしていた体をクルリと反転させ、再び部屋へ。
　パパっと組んじゃおっと。
　とりあえず散らかした箱たちは床に下ろし。
　新カードを含めたカードたちを並べては、楽しそうにデッキ組に没頭する真白がいるのであった。