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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
オニハ ウチ
徐々に侵蝕するが如く、オニが身の内に溶け込んでいく……
徐々に浮上するが如く、オニは心の水面から顔を覗かせる……
最初は誰にも気づかれること無く、ひっそり、ひっそりと。
◆
―― おい、またこのパターンか。
ヴァイオリンのケースを背負った自分の姿を、たまたま通りがかったショーウィンドウに映ったのを視界に捉えた神嶋 征一郎は、全く動じる事無くいっそ呆れの息をつく。
自身の髪に一際浮くような赤い角。
しばし考察していれば、どうやら周囲から認識されていない上、宙を舞う事が可能という所まで判断された。
……までは良かったのだが。
興味本位でとりあえず空から島を見下ろしていたらば、新たな事実に気付いてしまったのだ。
半透明なモヤのようなモノ、人の姿を取っているものもある。それらが、次第に自分の周囲へ集まってきていることに。
途端、滅多に表情を崩さない征一郎の表情から血の気が消える。
「は？ 自分に霊感はねぇ筈だが……、っ……やめろ近づくな」
逃げるように、がむしゃらに宙をかいた。
しかし一体だけ、あまりに根気強く、あまりに必死に、自分の後を追いかけ言葉を伝えようと口をぱくぱく動かしているとどのつまり幽霊に気付けば、思わず征一郎の浮遊スピードがダウンする。
その瞬間、霊は征一郎の正面まで一気に回り込んできたのである。
「……成仏、なんぞ自分にはさせられねぇ。願いとかいうもんがあるなら他の奴に頼め！」
征一郎らしいようで征一郎らしからぬ言の葉が、その口からついて出る。
それ程に、こういった物体を征一郎は苦手としているのだ。
しかし決してそれを相手に悟らせまいと、震えそうな拳を抑え虚勢を張って睨み付ける。
アア、やっぱり見えてイル …… 聞いてくれる ――
征一郎を追ってきた霊は『碧（アオイ）』と名乗った。
そしてとてもとてもか細い声で、縋るように征一郎へと事情を語り出す。
曰く、大切な友人が成仏せず彷徨っているらしい。彼を見つけたい、手伝ってほしい、と。
消え入りそうな声なのに、その透けた身体は征一郎を逃すまいと迫ってくるのを、ひたすらに一定の距離を保って。
―― くそ、本当に嫌だ……『僕』が何をしたというんだ……
冷えた指先がヴァイオリンケースの手持ち部分を強く握りしめる。
日頃強固な殻に守られている、征一郎本来の声が漏れ出し頭の中で鳴り響いた。
しまいには全く視線を合わせなくなった、この角の生えた不思議な人へ、しかし『碧』も食い下がる。
「……それは脅しか？」
囁き程度の声色だからこそ諦める気配など微塵もみせない様子は、とりわけ霊相手では、征一郎がむしろ危機感を察知しても仕方ないといえよう。
―― 憑かれるのは御免被る。
最終的に折れるしかない己に歯噛みしながら、渋々『碧』の望みを叶えるべく身を翻す征一郎がいた。
◇◆◇◆
こちら、同じく赤い角を生やしプカプカ浮遊中の結城 日和。
―― なんだが不思議な感じ……。
ヴァイオリンのレッスン帰りに突如見舞われた自身への奇怪現象に、首を傾げつつもケースを大事そうに抱えながらフヨフヨ飛んで思案していた蜂蜜色の瞳に、ふと同じように宙を浮いている男の子が捉えられた。
宙に浮かぶ以外微動だにせず、ひたすらに俯いたままなその姿があまりに放っておけなくて。
……よし、声かけちゃえ！ と握し拳で気合を入れた後、日和は怖がらせないようにそぉっと正面から近づいていった。
「そんな哀しい顔してると幸せが逃げちゃうよ？」
弾かれたように男の子が顔を上げた。
優しい声色と穏やかな笑顔を浮かべた日和へ、暫し両目を見開いた後、突然その目から大粒の雫が流れ落ちる。
「……え！？ あのあの驚かせちゃって、ごめんなさい！？」
慌てた日和が宥める言葉を紡ぐと、男の子は首をぶんぶんと振って途切れ途切れに声を発した。
日和は、彼が落ち着くまで黙って頷きながら耳を傾ける。
「そっかー『明（めい)』くんは幽霊なのかー、会って謝りたい人が居るんだね」
自分より年若そうな彼からの語りに、感じた哀しみを極力表情に出さないようにしながら、日和は努めて優しく話し掛ける。
「よし！ じゃあ一緒に探してあげる。不思議な事が起こってる間は一緒に、ね」
いつもの私は飛べないしきっと明くんのことも見えないから、善は急げとふわり宙を舞う日和へ、幽霊な彼はどこかきょとんと視線を向けた。
ニコリと、その視線を受け止めては、共に暫くの時間島内を舞い泳ぐのだった。
徐々に浮上するが如く、オニは心の水面から顔を覗かせる……
最初は誰にも気づかれること無く、ひっそり、ひっそりと。
◆
―― おい、またこのパターンか。
ヴァイオリンのケースを背負った自分の姿を、たまたま通りがかったショーウィンドウに映ったのを視界に捉えた神嶋 征一郎は、全く動じる事無くいっそ呆れの息をつく。
自身の髪に一際浮くような赤い角。
しばし考察していれば、どうやら周囲から認識されていない上、宙を舞う事が可能という所まで判断された。
……までは良かったのだが。
興味本位でとりあえず空から島を見下ろしていたらば、新たな事実に気付いてしまったのだ。
半透明なモヤのようなモノ、人の姿を取っているものもある。それらが、次第に自分の周囲へ集まってきていることに。
途端、滅多に表情を崩さない征一郎の表情から血の気が消える。
「は？ 自分に霊感はねぇ筈だが……、っ……やめろ近づくな」
逃げるように、がむしゃらに宙をかいた。
しかし一体だけ、あまりに根気強く、あまりに必死に、自分の後を追いかけ言葉を伝えようと口をぱくぱく動かしているとどのつまり幽霊に気付けば、思わず征一郎の浮遊スピードがダウンする。
その瞬間、霊は征一郎の正面まで一気に回り込んできたのである。
「……成仏、なんぞ自分にはさせられねぇ。願いとかいうもんがあるなら他の奴に頼め！」
征一郎らしいようで征一郎らしからぬ言の葉が、その口からついて出る。
それ程に、こういった物体を征一郎は苦手としているのだ。
しかし決してそれを相手に悟らせまいと、震えそうな拳を抑え虚勢を張って睨み付ける。
アア、やっぱり見えてイル …… 聞いてくれる ――
征一郎を追ってきた霊は『碧（アオイ）』と名乗った。
そしてとてもとてもか細い声で、縋るように征一郎へと事情を語り出す。
曰く、大切な友人が成仏せず彷徨っているらしい。彼を見つけたい、手伝ってほしい、と。
消え入りそうな声なのに、その透けた身体は征一郎を逃すまいと迫ってくるのを、ひたすらに一定の距離を保って。
―― くそ、本当に嫌だ……『僕』が何をしたというんだ……
冷えた指先がヴァイオリンケースの手持ち部分を強く握りしめる。
日頃強固な殻に守られている、征一郎本来の声が漏れ出し頭の中で鳴り響いた。
しまいには全く視線を合わせなくなった、この角の生えた不思議な人へ、しかし『碧』も食い下がる。
「……それは脅しか？」
囁き程度の声色だからこそ諦める気配など微塵もみせない様子は、とりわけ霊相手では、征一郎がむしろ危機感を察知しても仕方ないといえよう。
―― 憑かれるのは御免被る。
最終的に折れるしかない己に歯噛みしながら、渋々『碧』の望みを叶えるべく身を翻す征一郎がいた。
◇◆◇◆
こちら、同じく赤い角を生やしプカプカ浮遊中の結城 日和。
―― なんだが不思議な感じ……。
ヴァイオリンのレッスン帰りに突如見舞われた自身への奇怪現象に、首を傾げつつもケースを大事そうに抱えながらフヨフヨ飛んで思案していた蜂蜜色の瞳に、ふと同じように宙を浮いている男の子が捉えられた。
宙に浮かぶ以外微動だにせず、ひたすらに俯いたままなその姿があまりに放っておけなくて。
……よし、声かけちゃえ！ と握し拳で気合を入れた後、日和は怖がらせないようにそぉっと正面から近づいていった。
「そんな哀しい顔してると幸せが逃げちゃうよ？」
弾かれたように男の子が顔を上げた。
優しい声色と穏やかな笑顔を浮かべた日和へ、暫し両目を見開いた後、突然その目から大粒の雫が流れ落ちる。
「……え！？ あのあの驚かせちゃって、ごめんなさい！？」
慌てた日和が宥める言葉を紡ぐと、男の子は首をぶんぶんと振って途切れ途切れに声を発した。
日和は、彼が落ち着くまで黙って頷きながら耳を傾ける。
「そっかー『明（めい)』くんは幽霊なのかー、会って謝りたい人が居るんだね」
自分より年若そうな彼からの語りに、感じた哀しみを極力表情に出さないようにしながら、日和は努めて優しく話し掛ける。
「よし！ じゃあ一緒に探してあげる。不思議な事が起こってる間は一緒に、ね」
いつもの私は飛べないしきっと明くんのことも見えないから、善は急げとふわり宙を舞う日和へ、幽霊な彼はどこかきょとんと視線を向けた。
ニコリと、その視線を受け止めては、共に暫くの時間島内を舞い泳ぐのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年03月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年03月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年03月08日 11時00分
