ジャガイモ畑でつかまえて（精神）｜リアクション

ジャガイモ畑でつかまえて（精神）

●星

「あ、そうだ。とうふちゃん、せっかくきてくれたんだし、約束の部屋を見せるよ」
「わぁ、やったあ！　楽しみにしてたんよ♪」
　荒太郎と、かなえは連れ立って、荒太郎の部屋へ。
「ようこそ～……狭いけどね」
「植木も置いてるんやね～、なんや癒されるわぁ」
　以前、屋根に大穴が開いた部屋は、修繕され透明な波板が貼ってある。
　昼間なら柔らかな光が差し込んでくるそこを、スライドして開けると、満天の星空。
　都会の喧騒から離れたこの場所は、ある意味ぜいたくな空間になっていた。

　明かりを落として、肩を並べ、座り込む。
「キレイやね……」
　ほぅと、ため息混じりに呟くかなえ。それをあまりに身近に感じて、荒太郎の鼓動は落ち着かない。
（なんだろドキドキする……）
　耳が熱いし、吐息も聞こえる。
　動揺してしまい、居心地がいいような、悪いような……。

　ふいに四角く切り取られた窓を、一筋の光が走った。
「あれ？　流れ星かな」
「ほんまや！」
　かなえが目を輝かせる。僅かに身を起こすと、荒太郎は願いを繰り返した。
「こーたろーくん……何お願いしたん？」
「内緒っ！」
「えー？　ええやん、教えてくれても」

　ぷーとむくれた素振りを見せて。
　かなえはそのまま、こつんと荒太郎の肩に頭を預ける。
　みるみる赤く染まった頬は、暗さで互いにわからない。
　闇の中で密かに荒太郎が動く気配がし。
　かなえの華奢な指にそっと、遠慮勝ちに暖かな指が絡められた。