●落ちてたから拾いました
猫鳴館の玄関先に座り込む、見慣れぬ少年を見つけた、
美崎 岬。
「あらー、アナタ。こんなとこで何してるの?」
気さくに声を掛けられ、少年の方も岬に気づいて慌てて顔を上げる。
大きなダンボール箱とリュックに預けていた背中を離すと、いきなり三つ指突いて、深々と頭を下げた。
「先輩! 俺をここに置いて下さいっ!!」
「きゃー! 何それ、楽しそう。でもぉ、とりあえず訳を聞かせてもらえるかしら?」
ラブテロリストの岬からすれば、こんな面白い案件はそうそうないのだが、なにせ相手は小中学生のようだ。
ともすれば、厄介な問題になりかねない。
聞けば、どうやら少年は九夜山のふもとで農家を営む、畑 耕作(はた こうさく)の孫で、祖父と喧嘩して家を飛び出してきたらしい。
テストも近いと言うのに、祖父は勉強なんてしてないで、ジャガイモの収穫を手伝えとうるさい。
今日も勝手に、学校に欠席の電話を入れられたとか。
「あんな家、もう絶対帰らない!」
息巻く少年は自分の食い扶持に、ダンボール一杯のじゃがいもと、下処理した鶏2羽分の肉を持参していた。
「廊下とかでも、いいですからっ! お願いします!!」
「わかったわ! 一緒に暮らしましょう」
なんて、勝手に言えるわけないよね? ね?
そんなわけで。
岬の連絡を受け、猫鳴館に悩みの種がまた一つ、転がり込んで来たのであった。
メシータです。
家出少年が現れました、適当に構ってあげてください。
腐ると勿体無い、ダンボール一杯のじゃがいもと、2羽分の鶏肉の処理もお願いします。鶏肉は血抜きをして、羽根もむしってあります。
猫鳴館の冷蔵庫、ぬるいそうですので、お早めに。
畑家の爺&その孫は、拙作『キャベツ畑でつかまえて(物理)』にも登場していますが、知らなくても問題はありません。
●場所
・猫鳴館
寝子島高校の裏山(F-8あたり)に建つ、かつての学生寮。
現在も猫鳴館寮生による自治会が、運営・管理しています。
●NPC
・畑 耕作
九夜山のふもとで、農家を営む爺さんです。
現在ジャガイモの収穫で、大忙し。
孫のそふとに農家を継がせようと、常日頃から何かと圧力を掛けています。
・畑 そふと
今回の家出少年、13歳の男子中学生です。
祖父につけられた、変な名前とチビなのを気にしています。
家族には強気に出ますが、基本ヘタレで低姿勢です。
触手キャベツの一件があったため、ろっこんについて多少は知っています。
怖がって、隠れたりはするかもしれませんが。
では、お気が向かれましたら。よろしくお願いします。