深夜激走！　寝子島仮装マラソン大会｜リアクション

深夜激走！　寝子島仮装マラソン大会

　寝子サンマさんは静まり返ったスタジアムを盛りたてるように、さらに続ける。

「あきらめるのは早ぇぞ、審査員特別賞の発表だ！　チーム部門特別賞は、スタート地点から注目度特大、立っているだけでドラマを感じさせてくれたロマンあふれる海賊の仮装をキメてくれた『7海』の連中だ！　
秋ノ宮こまち、神嶋征一郎、神無月文貴、シグレ・ナイトウォーカー、十文字若菜、龍目豪、鴇波羽衣、長門瑞鶴、服部剛、日暮ねむる、鳳翔皐月、最上るるか！　
スタジアムを野望とガッツ渦巻く大海原に変えた、十二人のイイ男とイイ女に心からの拍手を送ってくれ！」

　海賊軍団にスポットライトが当たる。会場は割れんばかりの拍手と声援に満たされた。サンマさんからマイクを受け取り、中沢リッカルド町長が後を継ぐ。
「それと、個人部門の審査員特別賞を三名の方に。受賞者の方々には、仮装をレリーフとしたミニ盾を贈呈いたします。トロフィーにはちょっとサイズ的に負けますが、いい記念になることでしょう。後で取材班がお好みのポーズを記録しに行きますから、最高のポーズを考えておいてくださいね。では、まずお一人目。オーソドックスなモチーフを大胆にアレンジした後木真央選手の金太郎です！」

「やったー！　真央ちゃん大感謝なのだー！」
ふんどし女子、真央にスポットライトが当たる。走れば相当のスタミナとスピードを誇るはずの真央だったが、知り合いに出会えばしっかりコミュニケーションを取り、すべてのクエストに本気で取り組み、ぐずるがおーをなだめながら走った結果、残念ながら本日はあまりスピードを出すことができず、マラソンでの上位入賞はかなわなかった。真央はがおーと一緒にぴょんと高く飛び跳ねる。

「真央さんの金太郎には、特にご年配の方、お子様方からの支持が高かったようです。おめでとうございます。続いて二人目の発表をいたします。日本の歴史とモダンが出会った、アレンジ武将の仮装が輝きました、笹森清真選手！」

「えっ俺!?」
驚く清真の声を、女性たちの歓声、嬌声、叫び声が塗りつぶした。きょとんとした顔のまま、清真はスポットライトの中に立つ。
「和風の仮装をなさった選手には、私も惜しみなく高ポイントをつけさせていただいていましたが……いやはや、さすがです。美少年のスタイリッシュな武将コスプレには、若い女性からマダムまでの人気が集中しました。おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
レース中のきりっとした姿と、今の年相応に照れる姿にはギャップがある。それがまたいいと、『女子』（あるいは乙女心の名の下に、実年齢を超越したもの）たちは身をよじって叫ぶのだった。

「レディのみなさん、ご静粛に、どうかお静かに。最後の受賞者を発表いたします。同じランナー、観客、関係者すべてに驚きをもたらしたサプライズ女神……寝子高教諭の津止孝道先生です！」