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『somnium』へようこそ!
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運ばれてきたお菓子を1口食べて、わ、と日菜は驚きに目を丸くした。思わず口元を押さえて、ぱちくり瞬きしてしまう。
(とっても甘くて美味しい……ッ)
夏みかんを始め、様々なフルーツがバランス良く、そうしてたっぷり載せられた季節のタルトは、口に入れた瞬間お砂糖ではない上品な甘味が一杯に広がった。多くのフルーツは甘味だけではなく酸味も持っているものだが、それがまったく感じられない。
思わず頬を緩ませて、幸せそうに日菜は2口、3口とタルトを口に運んだ。その度に違う美味しさが口の中に広がって、どれだけ食べても飽きるという事がない。
そんな日菜を嬉しそうに目を細めて見つめながら、璃人が言った。
「ここのお店は結構通ってたつもりだったのですけれど、日菜さんが食べてるのは見たの、初めてなのです」
「ぇ、そうなの?」
「ええ」
驚いた顔の日菜に、璃人はこっくりと頷く。
その日に並ぶのは僅かな定番と、後はその日に作ったケーキだけ。訪れるたびにケーキケースの中身が入れ替わるのは知っていたけれども、実際に目の当たりにするとちょっと、面白い。
「日替わりでいろいろあるの、面白いし素敵ですよねぇ。その時にしか巡り会えないかもしれない……ッていう」
「ふふ、確かに……。奇跡の出会い、みたいな感じかもだね」
璃人の言葉に、日菜がタルトを口に運びかけていた手を止め、そうくすぐったく笑った。使うフルーツなんかによっても味は変わってしまうものだから、まさに『somnium』のスイーツは訪れたその時、その時の一瞬の出会いと言えるのだろう。
そう思うと何だか妙に感慨深くて、止めた手に持つフォークの先にある、タルトの欠片をつい、見つめてしまった。このタルトを食べられるのも、今日だけかもしれないのだ。
そう、見つめる日菜の視界に不意に、璃人が大きく迫ってきた。そうして、わ!? と慌ててちょっと身を引いた日菜の手を、その中にしっかりと握っていたフォークを日菜の手ごと握ったかと思うと、ぱくり! とフォークの先に刺さっていたタルトに齧りつく。
その不意打ちに、日菜は思わず赤面して、口をぱくぱくさせた。
(私のフォークを、りぃちゃんが……? ……え? ええ!?)
「り、りぃちゃ……ッ!?」
「ふふ、隙あり! 日菜さんのケーキ、一口も~らいッ……なのです!」
そうして真っ赤な顔のまま、あわあわしている日菜を覗き込んで、にっこり笑顔を顔に浮かべて見せた璃人である。きっと日菜には、イタズラ大成功! と子供のように誇らしげな笑顔に見えたはずだ。
現に日菜は璃人の顔を見て、その悪戯っぽい笑みに笑って良いものやら怒って良いものやら恥ずかしがって良いものやら、どうしたら良いか解らなくなっていて。……そういう顔も好きだなぁ、なんて思ってつい、見惚れてしまったりして、いて――
「も、もー……! びっくりしたぁ」
そんな自分と璃人を全力で誤魔化すように、日菜は元気良くそう言って「あはは」と笑った。多少空々しく聞こえたかもしれないと、内心ひやりとしたけれども、やだなぁ、りぃちゃんってば、と必死に『何でもない』アピールをする。
大丈夫だった、だろうか。璃人に、自分の気持ちがばれてしまっては、居ないだろうか。
そんな日菜の思いに気付かないまま、おっと、と璃人はにっこり笑顔で自分のケーキの乗った皿を差し出した。
「もちろんりぃのも味見どーぞなのですよー!」
「……じゃ、じゃあ、私も1口貰うね。ありがと」
そうして日菜が、まだ赤い顔のまま自分のフォークで璃人のケーキを食べるのを、笑顔の下でほっとしながら、見つめる。――気付かないのは何の事はない、悪戯に紛れさせた自分の本心を、彼女に気付かれていないか心配で、それどころじゃなかったからだ。
悪戯を装わなければ、動けないほどに。この場所は、この関係は居心地が良くて、容易に失う勇気など持てはしない。
(だから……もう少し、もう少しだけ。この関係を壊すのが、まだ怖いから)
(ヘタレぎみな自分が、ちょっぴり情けなかったり、ですけど。……まだこの関係を壊してしまいたくないのです)
だから互いに『親友』の関係を必死に、縋るように守りながら、璃人と日菜は美味しいね、美味しいのです、と頷き合う。本当は緊張で、味なんて殆ど解らないけど。
――そんな2人が醸し出す微妙で、甘酸っぱく危うい空気も、テラス席に座る刀達の所までは届かなかった。否、こちらはこちらで目の前の光景に、周りを気にする余裕がなかったというか。
刀と天野の視線の先居るのは、スケッチブックを見せ合う小淋と海。互いに声が出せず、代わりにスケッチブックなどでコミュニケーションする少女達は、似たような部分を持つ相手の事がちょっと、気になっていて。
せっかくの機会だから色々と尋ねてみたいと、日常生活の事や日頃苦労してる事、お奨めのスケッチブック、書きやすいペンの話など、話は多岐に盛り上がる。それを示すように、2人が文字を書きつけるスケッチブックは物凄い速さでめくられて、刀と天野はケーキを突く手を思わず止め、ついつい見入ってしまったのだった。
そんな同行者に気がついて、小淋と海が同時に手を止めて、おや、と振り返る。
『みつるぎくん どうかした?』
『逆巻さん やっぱりお口に合いませんでした?』
「いや、そんな事ないよ。小山内にオススメしてもらったケーキ、甘い物は久しぶりに食べたけど、思ってたより美味しくて驚いてる。――筆談ってもっとゆっくりかと思ってたから、びっくりして」
「うん。ちょっと圧倒された」
天野の言葉に、こくこくと刀が頷く。ちょっと興味はあったけれども、こんな感じなんだな、としみじみ噛み締めて、やっと食べかけのケーキの存在を思い出し、口に運んだ。
そんな2人に、少女達はぱちくり目を瞬かせ、顔を見合わせてから笑う。笑って、ようやく人心地ついたのか、それともお菓子も食べずに話していた事に気付いたのか、それぞれが注文したスイーツに手を伸ばす。
並んでいるのはフェア限定の夏みかんを使ったケーキやシュークリーム、みんなで摘める焼き菓子を何種類か、それからチョコ掛けのドライフルーツやオランジェット、パウンドケーキ。ちなみにこのオランジェットは、先ほど真央が賑やかにやって来て、『天野ちゃーん! この前は水族館でジュース奢ってくれてありがとうなのだ! 頭脳派は脳みそに砂糖が要るのだ、だからきっとオランジェットがピッタリなのだ! この前のお返しなのだ!』と進呈してくれたものだったりする。
やれやれと、苦笑して天野はそのオランジェットを摘んで口に運んだ。夏みかんをスライスして砂糖漬けにしたという、説明だけ聞けばとても甘そうなお菓子だが、食べてみると上品な甘さが、爽やかな夏みかんの香りと共にふぅわり広がって、それほど甘みは気にならない。
ふむ、と興味深く天野はオランジェットを咀嚼した。実の所、甘い物は苦手だからコーヒーだけで済ませるつもりだった天野だけれども、せっかく来たのに――という無言の圧力(があったような気がした)に負けて、小淋や海に甘さ控えめのケーキを……と所望したのである。
結果から言えば、それは正解だったと言えた。買い求めるお菓子は亡き友へのお土産だけのつもりだったけれども、天野自身も美味しく頂けるとは、意外な発見だ。
そんな天野の手元を見ながら、なぁ、と刀が声をかけた。
「それ1つ、トレードしないか? 夏みかんのシュークリームと」
「………おい御剣、女子より目が輝いてるぞ」
「いや……ほら、沢山の味を試したいじゃないか! メニューのためにも!」
『……御剣さん、もしかして一番楽しんでます?』
『たのしそう』
「いや、だからな? 俺がどうしても食べたいわけじゃ……ないんだよ?」
天野のみならず、小淋や海からもそう言われて、真剣な面持ちでそう訴えた刀である。だがその眼差しはちらちらと、自身が頼んだ夏みかんシュークリームのみならず、みんなが食べている夏みかんのケーキや他のスイーツに向けられていて。
説得力がないと、小淋と海がくすくす笑う。それにちょっと居心地の悪い思いをしながらも、2人にもトレードを持ちかけると、彼女達も他のスイーツの味が気になっていたのだろう、快く頷いてくれた。
みかんの酸味と、甘いクリームの組み合わせ。或いはチョコレートの少しビターな甘みに香る、爽やかな夏みかんの風味。
コーヒーと、それからアイスやホットのストレートティーは、そんな美味しいスイーツを引き立てる名脇役だった。もしかしたら茶葉のブレンドも、その日のスイーツに合わせて変えているのかもしれない。
『やっぱり どれもおいしそう』
『フェア限定品ももちろんですけれど、それ以外もおいしそうですね。次の楽しみが広がりそうです』
「うんうん、だよな。じゃあ、次は制覇を狙おうか。……色々試さないと、新メニューのアイデアが被ったらいけないし、だな」
「御剣、言い訳っぽいよ」
テラス席のテーブルを囲みながら、そんな風にわいわいと、4人はお喋りに花を咲かせる。汗をかいたアイスティーのグラスが、そんな4人の楽しげな顔を映して、初夏の光にキラキラと輝いていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年06月10日
参加申し込みの期限
2013年06月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年06月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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