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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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平穏なれ、曝書の季節
「見違えるようだね。皆、協力してくれて本当にありがとう」
早川 珪先生は生徒たちに心からの賛辞を送る。予想以上にたくさんの本を干すことができたし、修繕に至っては驚くほどの数がきれいに補修された。本好きの生徒がこれほどいたことは、先生のうれしい誤算であったらしい。
「綾辻さん。データの入力お疲れさま。これで第二回も滞りなく行えるね」
「はい、あ、ありがとうございます！」
早川先生からじきじきのねぎらいを受けて綾辻 綾花はうれしそうに笑う。持参のクッキーと麦茶には、作業を終えた生徒たちが群がっていた。ごちそうさまー、おいしいよー、という言葉が届くのもなんだかこそばゆい。
「桜崎さんもありがとう。取り出した本のすべてをチェックするのは大変だったよね」
「ああ、いいんですよ。これは自分のた……いや、きちんと分類されてないと気持ちよく閲覧できないですからね」
ぽろっと本音を漏らしそうになった桜崎 巴。悪ふざけをする生徒が一人もなく、修繕も曝書も首尾よくいった。すべてが思惑通りに進んでくれたせいで、いつもよりちょっと浮ついた調子でいた。
「それと、八神君。大発明だったね。壁やフェンスに傷をつけないであそこまでの装置を作るなんて、びっくりしたよ」
「ごく単純な装置ですよ。もう少しコンパクトなものにしておけば、図書室の備品として使えたかもしれませんね。自動昇降台車ですとか」
「うん、おもしろいね。次の機会があったら、かな。それと……おや？ 伊賀君はもう帰ってしまったのかな。鷺守君、昇降機側の作業をありがとうね」
「どういたしまして。意外な曝書でしたけど、これはこれで楽しかったですから」
これにて曝書は無事終了、と相なったわけだが――リフレッシュした本たちが居並ぶ本棚の向こうを、何かがどたばたと駆け抜けていった。思わず早川先生と、旅鴉 月詠、真辺 伸幸の目が吸い寄せられる。
「何かいた気もするけど、気のせいかな？」
「いや。うん、私が見ておこう。先生が気にすることではない（しまった。捕らえ忘れていたか……）」
早川先生は意外にも動じない。これ幸いと月詠はごまかした。
「あれぇ。かわいらしいねぇ」
伸幸にとっては、本も『かわいいもの』だった。目を細めて眺めている。『ひと』の野々 ののこはクッキーに夢中で、森 蓮は早川先生お勧めの、心理療法について書かれた書籍を熱心に読んでいる。おかげで阻害されることもなく、本はばたばた、ばたばたと隅のほうで暴れ続けていた。そのうち、巴に見つかってまた書棚に押し込められるだろう。
次に飛び出るチャンスを得る、その日まで。
早川 珪先生は生徒たちに心からの賛辞を送る。予想以上にたくさんの本を干すことができたし、修繕に至っては驚くほどの数がきれいに補修された。本好きの生徒がこれほどいたことは、先生のうれしい誤算であったらしい。
「綾辻さん。データの入力お疲れさま。これで第二回も滞りなく行えるね」
「はい、あ、ありがとうございます！」
早川先生からじきじきのねぎらいを受けて綾辻 綾花はうれしそうに笑う。持参のクッキーと麦茶には、作業を終えた生徒たちが群がっていた。ごちそうさまー、おいしいよー、という言葉が届くのもなんだかこそばゆい。
「桜崎さんもありがとう。取り出した本のすべてをチェックするのは大変だったよね」
「ああ、いいんですよ。これは自分のた……いや、きちんと分類されてないと気持ちよく閲覧できないですからね」
ぽろっと本音を漏らしそうになった桜崎 巴。悪ふざけをする生徒が一人もなく、修繕も曝書も首尾よくいった。すべてが思惑通りに進んでくれたせいで、いつもよりちょっと浮ついた調子でいた。
「それと、八神君。大発明だったね。壁やフェンスに傷をつけないであそこまでの装置を作るなんて、びっくりしたよ」
「ごく単純な装置ですよ。もう少しコンパクトなものにしておけば、図書室の備品として使えたかもしれませんね。自動昇降台車ですとか」
「うん、おもしろいね。次の機会があったら、かな。それと……おや？ 伊賀君はもう帰ってしまったのかな。鷺守君、昇降機側の作業をありがとうね」
「どういたしまして。意外な曝書でしたけど、これはこれで楽しかったですから」
これにて曝書は無事終了、と相なったわけだが――リフレッシュした本たちが居並ぶ本棚の向こうを、何かがどたばたと駆け抜けていった。思わず早川先生と、旅鴉 月詠、真辺 伸幸の目が吸い寄せられる。
「何かいた気もするけど、気のせいかな？」
「いや。うん、私が見ておこう。先生が気にすることではない（しまった。捕らえ忘れていたか……）」
早川先生は意外にも動じない。これ幸いと月詠はごまかした。
「あれぇ。かわいらしいねぇ」
伸幸にとっては、本も『かわいいもの』だった。目を細めて眺めている。『ひと』の野々 ののこはクッキーに夢中で、森 蓮は早川先生お勧めの、心理療法について書かれた書籍を熱心に読んでいる。おかげで阻害されることもなく、本はばたばた、ばたばたと隅のほうで暴れ続けていた。そのうち、巴に見つかってまた書棚に押し込められるだろう。
次に飛び出るチャンスを得る、その日まで。
あとがき
担当マスター：
清水るね
ファンレターはマスターページから！
力仕事を引き受けてくださった方も、修繕に協力してくださった方も。そして偶然、または必然にて図書室や屋上にいあわせた生徒さん方も。たいへん、お疲れさまでした。これにてシナリオ完結です。まだまだ新米マスターのわたしにとって、初めての30人満員シナリオ、これは絶対に苦戦すると思ったのですが、みなさんのアクションがあまりに楽しくて、気がつくと書きあがってしまっていたのです。グループアクションも素敵でしたし、ばらばらの行動のはずなのに、不思議な一致を見せている方もいらして、ロールプレイングって不思議だなぁ……と感心しきりでした。
リアクション中に取り上げたある著作と、その翻訳について説明をさせていただきます。
作品の名前は『The Sign of Four』（またはThe Sign of the Four）、本来の著作者はサー・アーサー・コナン・ドイル(1859-1930）です。リアクションでは世界こまごま設定トピックを生かし、『ニャーロック・ホームズ』シリーズの一編ということにしていますが、本来はいわずもがな、『シャーロック・ホームズ』シリーズの作品です。著作者の死後50年がすでに経過していることから、原書である英語版の著作権は切れているものと考えられます。ただし、邦訳版に限っては翻訳者の著作権保護期間下にあるものがまだ多い状態になっています。この現状を鑑み、著作権に充分な配慮をしたリアクションを執筆するために、文中の翻訳についてはマスター清水るねが独自に行ったものであることを明記させていただきます。よほど専門的なものでない限り、英語の読み書きは普通に行うことができますので、当該箇所につきましては安心してお読みいただきたく存じます。今回の処理は特殊なケースで、このような書き方が他のシナリオでなされることは、基本的にはないものとお考えください。
では、ご参加ありがとうございました！
よろしければ、次のシナリオにて、またお目にかかりましょう～(´ー｀～)
どんなご意見でもありがたく承りますので、お時間が許されましたらコメントページにご記入いただけるとわたしがﾋｬｯﾎｰｲいたします。
リアクション中に取り上げたある著作と、その翻訳について説明をさせていただきます。
作品の名前は『The Sign of Four』（またはThe Sign of the Four）、本来の著作者はサー・アーサー・コナン・ドイル(1859-1930）です。リアクションでは世界こまごま設定トピックを生かし、『ニャーロック・ホームズ』シリーズの一編ということにしていますが、本来はいわずもがな、『シャーロック・ホームズ』シリーズの作品です。著作者の死後50年がすでに経過していることから、原書である英語版の著作権は切れているものと考えられます。ただし、邦訳版に限っては翻訳者の著作権保護期間下にあるものがまだ多い状態になっています。この現状を鑑み、著作権に充分な配慮をしたリアクションを執筆するために、文中の翻訳についてはマスター清水るねが独自に行ったものであることを明記させていただきます。よほど専門的なものでない限り、英語の読み書きは普通に行うことができますので、当該箇所につきましては安心してお読みいただきたく存じます。今回の処理は特殊なケースで、このような書き方が他のシナリオでなされることは、基本的にはないものとお考えください。
では、ご参加ありがとうございました！
よろしければ、次のシナリオにて、またお目にかかりましょう～(´ー｀～)
どんなご意見でもありがたく承りますので、お時間が許されましたらコメントページにご記入いただけるとわたしがﾋｬｯﾎｰｲいたします。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年06月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年07月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年07月07日 11時00分
