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ちゃぶ台ファンタジー
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放課後、
水守 流
は中庭にいた。校舎に向き合う形で財布の中身に目を落とす。
――学食はちょいと厳しいな。駄菓子くらいにすっか。
横手のテラス席に陣取る集団を恨めしそうな顔で見遣る。軽く頭を振って足早に離れた。
脇目も振らずに歩いた。正門が見える直線の道を突き進む。前にいた生徒達を次々と抜き去る。
――あれは、いや、そうとは限らないって。
止まりそうな足を心の声で奮い立たせる。
道の中央、背を向けた女子が歩いていた。茶色の髪にはウェーブが掛かり、左側に付けたリボンが気ままに揺れている。
流は勢いに乗って女子を追い抜いた。
「水守君、美味しいお肉が食べたいね!」
「お、本居も帰るのか」
ぎこちない笑みで振り返ると、
本居 陽毬
が即座に距離を詰める。
「美味しいお肉が食べたいね!」
「ちゃんと聞こえてるって。まあ、そうだな」
「お腹が空いてるからね! こんな時はお肉しかないよね! 誰かにたかってでもいいから焼き肉が食べたいよね!」
陽毬の笑顔が近い。流は周囲を気にするような素振りで顔を逸らし、自然を装って歩き出す。
「肉汁が滴るような焼き肉が食べたいな~」
陽気な声が真横から聞こえてくる。流は穏やかな顔で対抗した。
――駄菓子も無理だ。絶対にたかられる。俺の財布が昇天する。どうすりゃ、いいんだ。
二人は正門を抜けた。同じように左手に曲がる。
「特上ロースはと~ろとろ~。お口の中で溶けちゃうよ~。
ミスジもいいよ、最高ね~。いろんなお肉のカーニバル~。
きっと叶うよ。叶うはず~。男気溢れる誰かさんが~、叶えてくれる~。
不思議な財布で叶えて、く~れ~る~」
胸やけを起こしそうな歌に流は横目でそっと窺う。陽毬は見開いた双眸をこちらに向けていた。瞬きをしていないせいで少し目が血走っている。
流は瞬時に前を向く。何事もなかったかのように軽口を叩いた。
「いや~、ホントに腹減ったな。ビーフ味のポテチが欲しくなるぜ」
「お菓子はお肉じゃない! お肉がいい! 上質な焼き肉が絶対の正義!」
「うん、その通りだ。お菓子はお肉じゃないよな」
流は暗い顔で笑った。
――ダメだ。逃げ切れない。帰る先も同じ桜花寮だし。半額クーポンの使える焼肉牛猫に行くのも厳しいな。
思い悩んだ末に、おお、と声を上げた。
「あんなところにちゃぶ台が。しかも、あの皿に盛ってあるのは肉なんじゃ、なあ、本居にも、っていねぇ!?」
陽毬はロケットスタートを決めた。髪を振り乱しながら叫ぶ。
「私の焼き肉セットおおおぉぉ!」
「俺の分もあるだろ!」
相手の勢いに引っ張られ、流も駆け出す。
二人は歩道の隅に置かれたちゃぶ台に目を爛々とさせた。
大皿が肉で埋もれていた。一面に霜降り肉が敷き詰められ、収まり切らなかった部位が折り重なり、圧倒的な量の牛肉が威容を誇る。負けじと新鮮な野菜が側に控えていた。
焼き肉の舞台となるホットプレートは既に焼ける状態にあった。掌を差し出した陽毬が一言、あったかいね、と緩む口で零した。
「ここまでされたら、取る行動は一つだよね、うん」
言い訳めいたことを口にして陽毬は敷かれた座布団に座る。流は回り込んで対面に落ち着いた。
二人を無視するように生徒達が横を通り過ぎていく。その様子を流は目で追った。
「不思議系の現象に巻き込まれたみたいだな。ま、ただで焼き肉が食えるんだ、遠慮なく頂かせ、ってもう焼いてるのか!?」
「こんなに上質なお肉を待たせたら悪いよ。鮮度が落ちる前に焼いて、美味しく食べてあげるのが礼儀だよね」
陽毬は諭すように言った。手は休まず、ホットプレートに次々と肉を並べていく。焼けるところが急激に狭まる。
「そうはさせるか!」
流は何枚もの肉を箸で掴み、空いたところにドサリと置いた。凄まじい速さで陣地を拡げていく。
二人の視線が中空でぶつかり合う。どちらもにやりと笑った。
肉汁の弾ける音がする。漂う匂いが食べ頃をそっと伝える。両者は肉を見たまま、タレの入った器を引き寄せる。合わせ鏡の人物のようにご飯が盛られた丼を手にした。
「そろそろだな。まずは俺が育てたタンを」
ゆっくりと箸を伸ばす。直後、驚愕の表情となる。
――俺のタンが消えた!?
顔を上げると陽毬が得意顔でタンを口の中に運んだ。蕩けるような笑みで味を噛み締める。
「ま、まあ、いいさ。俺にはカルビが、ない!」
「このカルビの弾力と甘さに癖になりそう~」
「なんで俺の肉を取るんだ!」
打ち震える流に陽毬は食べながら胸を張る。
「決まってるよね? 私のお肉は私の物! 水守君のお肉も私の物だから!」
「へ、へへ、そうか。大した理論だぜ。受けてやるよ、その焼き肉バトルを! そのサンカク、貰った!」
陽毬の肉を狙った。声に反応して目が右に寄る。それとは逆の位置にあるハラミを流は掻っ攫った。
「ああ、私の大切なお肉が~」
「へへ、中々の味だぜ」
そこからの攻防が凄まじい。相手の肉を奪い合い、白熱して空中戦にも突入した。両者の唇が上質な脂に染まる。春キャベツを口に押し込む。貪り食いながらも相手から目を離さない。
「このランプは絶対に渡さないぜ!」
「水守君のお肉は私の物!」
白熱した戦いは続く。
陽毬は躍動した。
流はズボンのベルトを緩めた。
どちらも額に薄っすらと汗を掻いている。焼き肉バトルというスポーツに興じているようだった。
流は最後の焼き肉を躊躇いながらも口に詰め込んだ。放心したような顔で口を動かす。
「ふぅ~、なんか産まれそうなくらいに腹がパンパンだ」
「私もお腹が満たされて幸せな気分になったよ」
陽毬は朗らかに笑う。
流は近くにある自動販売機に目を向けた。
「さっぱりした物が飲みたいな」
腹が重いのか。のろのろと片膝を立てた。その上に両手を乗せて押し上げる。
軽く息を吐き出し、軽く仰け反った姿で歩き出す。立ち上がった陽毬が側に駆け寄った。
二人は共に缶ジュースを飲んだ。
「最後の二枚が効いたな」
流は前髪を掻き上げてポーズを決める。
「え、ちゃぶ台が消えてる!?」
陽毬の驚きに流が反応した。見ると歩道の隅には何もなかった。座布団まで消えていた。
「食べ放題と同じで時間制限があるのかもな。ま、俺は十分に満足したけど」
「もう少し粘れば良かったのかも」
「いやいや、もう入らないだろ」
流は不安な空気を掻き消すように手を振った。
「でも、お腹が満たされたら、なんかこう、心も満たして欲しいっていうのかな」
「腹が満たされたら心もいっぱいだよな?」
「甘い物が欲しくなる感じが膨らんで……水守君の奢りでカフェに行こう!」
「無理だろ。肉のあとだぞ」
泣きそうな表情で押し止めようとした。
「甘い物は別腹だよね!」
陽毬は笑顔で言い切った。
流は軽くよろめいた。
――本居の胃袋は牛と同じなのか!?
そんな妄想が真実味を増してくる。陽毬はにこやかな顔で流の腕を掴んだ。
「水守君、甘い物が呼んでいるよ!」
力強い声で流を引っ張ってゆく。
――カモン、ちゃぶ台!
心の中の切実な願いは残念ながら叶わなかった。青い空に、勘弁してくれ、と流の悲痛な声が響き渡った。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年11月27日
参加申し込みの期限
2017年12月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年12月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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