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【星幽塔】第三階層 竜の肚には精霊の仔と竜の仔と
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暗い隧道のその先、光が見えた。
「お、あそこか」
身に宿る魔火の光を操り松明代わりとして使いながら、レイリーが琥珀金の瞳を細めて低く呟く。
「『晩鐘岩の森』……」
レイリーが掲げる炎の輪からなるべく外れぬように歩きつつ、彰尋は隧道の出口に視線を伸ばす。一族の弔いという務めをテレノがきちんと終えられるよう、その妨げとなっている怪異が起こる『晩鐘岩の森』の様子を見てこようと請け負ったはいいものの、初手からこんな真っ暗闇の隧道が待ち受けているとは思わなかった。
幼い頃の思い出もあって暗闇を苦手とする彰尋は、けれどそう悟られぬように背筋を伸ばす。傍にはレイリーが居る。夏朝も居る。
(にしても、すごい気さくな方だね)
先ほどレイリーにわしゃわしゃと撫でられた頭の髪をちょっと撫でつける。全く慣れていない行動に慌ててしまいはしたけれど、何があるかも分からない竜の肚の中、行動力のありそうなふたりの連れは、
(とても心強いな)
「そういやアルに聞いたが、治ったのか?」
不意に話しかけられ、応じようと顔を上げた途端、
「胸だか腹だかの傷」
無遠慮に服をめくられた。
「っ、えぁ、うわっ」
「ん、まあ大丈夫か」
慌てる彰尋にも構わず、レイリーは何でもないように頷く。
「傷跡残んねえように、治るまでちゃんと薬使えよ」
友人である薬屋が使えそうな素材を探しに来たつもりだったと、先ほど言っていた。彼にとって、薬屋の主は真実大切な人物らしい。
「……ハイ」
(やっぱり、慣れない……)
暗闇に分からないまでもうっすらと赤くなる頬を抑え、彰尋は息を吐いた。ともかくも、と視線を隧道の先へと伸ばす。
土の竜の首より下は砂漠の砂の中。加えて竜の肚ともなれば、本来ならば何処にも光源はないはずであるのに、そこには黄昏じみた光が満ちていた。足元には柔らかな草が静かにざわめいていた。
見渡す限りの黄昏の草原のあちこち、茜の色に染め上げられた白い大岩が聳え立っている。
「この大岩が『晩鐘岩』なのかな?」
恐れげもなく草原に踏み入り進み、夏朝は近くに立つ大岩に触れる。最初、どこからかの光の色に染め上げられているものとばかりに思っていた岩は、間近に見ればそれ自体が淡い緋色に発光していた。指先で触れても光は強くも弱くもならず、熱のようなものも感じられない。
晩鐘岩に触れつつ、夏朝は周囲に視線を巡らせる。ここのどこかに、精霊の仔を悩ませる声の主が居るのだろうか。
夏朝の視線を捕えたのは、けれど蒼白い光を放つ虫のようなナニカ。ふわふわと黄昏の空を漂う虫のようなナニカに、夏朝は思わず声をあげる。
「わぁ……」
「おー」
夏朝につられて空を仰いだレイリーも知らず目を瞠る。
「綺麗だね……!」
「ああ」
誘うように、誘われるように、ふたりは光に手を伸ばす。ひとの熱に誘われるように空から降りてきた蒼白い光がそれぞれの指先に触れた、その刹那。
小さな光は集い、かたちを成す。
夏朝は幻を見た。
光るナニカが集まったはずの草原の上、小さな男の子が立っている。
――ねえね
お姉ちゃん、とあどけなく呼びかけてきたのは、夢のようなあの日、幻のような遊園地で一緒に過ごした少年。生まれる前に喪った、弟。
「冬夜……」
伸ばした夏朝の手を、小さな弟は小さな指で掴んだ。小さな小さな指の持つ確かな体温に、夏朝は泣きそうになる。
「冬夜」
「ねえね」
ふわり、弟は笑った。
「またあそぼ、ねえね。きっと。ぜったい」
「うん、……うん! きっと! 約束だよ……!」
土の都の空に舞う『光蟲』と同じ類のナニカなのだろうと、心の端で冷静な己が判断を下していた。人の姿をとれるのだと静かに理解してもいた。それでも、弟の姿したナニカの指先を振り払うことはできなかった。
「ねぇね」
地面に転がる小さな石を拾い、弟は振り返った。大切なもののように夏朝の手に握らせたそれは、晩鐘岩の欠片。淡く茜に光る岩の欠片の内に弟の姿を見て、ありがとうと顔を上げて、夏朝は瞼を閉ざす。
弟の幻は、もうそこにはなかった。
弟の幻影を写し取った晩鐘岩の欠片を大切に仕舞い、夏朝は再び周囲に視線を巡らせる。今は、
(泣いてる誰かを、探そう……)
(……っと)
黄昏の光の中にナニカの気配を感じ、レイリーは狼耳をそばだて瞳に力をこめる。尻尾の先まで神経を張り巡らせる。
(言ってた泣き声の元か……?)
正体を見極めるべく一歩を踏み出して、
「っ、」
息を飲んだ。黄昏の草原の只中に立っていたのは、決して此処にいるはずのない人物。直接見えることは少なかったが、
(間違う筈がねえ)
星幽塔に迷い込むよりも前、元の世界に居た頃、護衛として仕えていた神殿の神殿の長が、幻のような光を背にして佇んでいた。
以前と変わらぬ、何もかもを鋭く射貫く眼差しに身じろぎも出来なくなる。
どうしてこの人がここに居る?
同じように此処に流れ着いたのか?
(違う)
ここには自分たち以外には誰も居ないと、精霊の仔は言っていた。生きているものは誰も居ないと。自分たちはこの地に死した人々の魂を弔っているのだと。
(だとすれば)
神殿長もまた、この地に流れ着いた果てに死んだのだろうか。
混乱のあまり言葉を失うレイリーに、ここに居ぬはずの神殿長が告げる。
「何故守りを離れた」
厳かに断罪する。
「あの子だけ助け、あの子を独りにした」
静かな声に、刺された。それはずっと思い続けてきた言葉だった。
「答えよ、
レイリー・マクティーラ
」
『あの子』を、――白い髪の彼だけを護り、今も護り続けているけれど、己は彼の護り手というわけではない。
(俺は正しくは『神殿の』守り人だ)
それなのに、一神官である彼だけを護った。彼一人しか守り抜けなかった。挙句に敬虔な神官である彼を神殿から引き離し、帰ること叶わぬ地に迷い込ませた。
己が彼を独りにした。
「ああ」
応じられず呻く。ああそうだ、これは、この言葉は――
(責められても仕方がねえ)
痛む胸に唇を歪めて、気づいた。これは目前に立つ神官長から発せられた言葉ではない。これは、己を痛烈に責めるこの言葉は、
(俺の言葉だ)
いっそのこと、助けた彼から責められたらと思ったことは確かにあった。けれど、彼は一度として己を責めなかった。
「……はは」
乾いてひび割れた、悲鳴じみた笑い声が零れて落ちる。実際に刃を差し込まれたが如く痛む胸を片手に掴む。
(正面からぶっ刺されると流石に痛えな)
膝から力が抜ける。身体から全ての息が尽きる。
(ああ、くそ)
柔らかな草の上に座り込んでしまいたかった。目前に立ち鋭い眼差しを向けてくる神官長の足元に跪いてしまいたかった。けれど。
「っ……」
奥歯を食いしばる。背筋を伸ばす。閉ざしてしまいそうな瞼を上げる。
(お前の居ないとこで倒れてたまるかよ、……なあ)
祈るように想うのは、己のせいで独りにしてしまった『彼』の名。
痛みを突き付けてくる幻を振り払うように頭を振ったところで、
「レイリー、さん……?」
傍らに、彰尋の声を聞いた。
「ん、……ああ、どうした」
何でもないような声で応じつつ、レイリーは周囲を見回す。神官長の姿はない。その代わり、恐ろしいほどの数の光蟲が黄昏の光の中に群れ飛んでいる。
(ふうん……)
ともすれば乱れてしまいそうな息を静かに整える。己の内の幻を見せる蒼白い光を見遣る。
「レイリーさん、鴻上君!」
少し離れた場所に立つ夏朝に呼ばれ、ふたりは揃ってそちらへ顔を向ける。夏朝の示す指の先へと視線を投げる。
長い髪をショールに覆った細身の女性が、そこに居た。どこへ向けるでもないぼんやりとした黄金の瞳から滂沱と涙を流し、殺し切れない悲鳴にも似た泣き声を結んだ唇から零し続けている。
「あの人が……」
精霊の仔が言っていた泣き声の主なのだろうか。ほとんど無意識に駆けだしながら夏朝は優しい瞳を歪める。母と同じ年頃の女性が泣く姿は、見ていられなかった。
(テレノさんに似てる……?)
「こんにちは……?」
女性の前に立ち、夏朝はそっと話しかける。旅人である己の名を告げ、この地に立った事情を話す。
「あの、……どうして、泣いて……?」
ともかくも、事情を知りたかった。願いがあるのなら叶えてあげたかった。この女性の涙を止めてあげたい。
夏朝の真摯な言葉に、女は黄金の瞳を瞬かせる。蒼白い頬に新たな涙が伝って落ちる。ごめんなさい、と女は繰り返した。
「あの子を、置いていってしまった。謝りたいの、そうして共にゆきたいの」
「共に行きたい……なら……」
夏朝は弟の幻と繋いだ指先を見下ろす。
「一緒に行こう、土の都へ……大切な人に、会いに行こうよ」
僕も、と夏朝は微笑んでみせる。
「出来る限り、一緒に行くから……ね?」
他にも一緒に都に行きたい者が居まいか、夏朝は黄昏の光に眼を凝らす。未練を残している者が居るのなら、その未練を晴らしてやりたかった。せめて泣かずに休んで欲しかった。
夏朝の差し出した手に、女が手を伸ばす。ふたりの手が重なりそうになったその時、
「待って、……待ってくれ」
彰尋が夏朝の肩を掴んだ。戸惑う夏朝を自分の傍に引き寄せ、伸ばした手をそのままに呆然とする女を真直ぐに見据える。精霊の仔とよく似た女の瞳を見つめて、すぐさま逸らしたくなる。泣く女性は苦手だった。泣きやんでくれるのなら、本当はすぐにでも土の都に連れて行ってやりたかった。精霊の仔に会わせてやりたかった。
「鴻上君?」
「ただの杞憂なら、いいのだけど」
彰尋は低く囁く。
「共にゆきたい、と言いましたね」
その意をきちんと確認してからでないといけない。そんな気がする。
「共に『逝きたい』なら、それはもう本人じゃねえ」
レイリーが彰尋の前に立つ。女の視線から彰尋を庇うように片手を広げる。
「本人だったとしても別のナニカになりかけてるんじゃねえか?」
光蟲が象った神官長は、己が底の底に隠した言葉を引きずり出した。己を突き刺すに相応しい人物の姿で以てあの言葉を叩きつけて来た。だとすれば、光蟲に精霊の仔の母の姿を象らせ、逝きたいと、死にたいと言わしめたのは――
「それは、駄目だ」
悲し気に泣き続ける女の瞳を見据え、彰尋は断ずる。否定の言葉を受けて泣き崩れる女の傍に近づき、跪く。
「共に逝くのではなくて、共に居てくれませんか」
女は首を横に振る。土の都で精霊の仔が行い続けている『弔いの儀』は、どれほど寄り添い続けたいと願おうとも、死者を送るものなのだと嘆く。嘆きながら姿を崩す。光蟲の姿となり、黄昏の空へと舞い散る。
「……作法がなってないのは勘弁な」
息を吐き、レイリーは祈る。
(この祈りが誰の為の祈りかは正確には分からねえが)
「安らかに」
見慣れぬ仕草で祈りを捧げるレイリーに倣い、夏朝は両手を合わせる。悲しい瞳を伏せる。
「これ……」
草の上、膝をついていなければ見落としてしまうほどに小さな銀の指輪を見つけ、彰尋は黒い眼を細めた。幻視の光が変化した腕輪を揺らし、両手にその指輪を包み込む。
持ち主の記憶や想いを垣間見ることを可能とする星の力が彰尋に見せたのは、狂おしいまでに我が子の孤独を嘆き未来の幸福を祈る、テレノの母の真実の心。
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コメントページ
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年11月23日
参加申し込みの期限
2017年11月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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