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【星幽塔】第三階層 竜の肚には精霊の仔と竜の仔と
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トト家の屋敷前の庭を空色の仔竜が転がるようにして駆けてくる。頑丈そうな肢の爪で芝生を蹴り、被膜の翼を羽ばたかせて宙に浮きあがるも、焦るあまり風を掴み損ねて地面に転がる。ころころと柔らかな草の上を二度三度と前転し、どしん、とぶつかったのは、黒銀の鱗持つ飛竜。
背丈も身幅も己の何倍と大きな竜を見上げ、竜の仔はきゃう、と嬉し気に鳴いた。
「久しぶりやな、仔竜! おつかいご苦労さん」
黒銀竜の影から、その頑強な背に荷を積んでいた
服部 剛
が顔を出す。精悍な笑み浮かべる剛に、竜の仔は同じ調子で声を上げた。黒銀竜の足元でぺたりと座り込んだままの竜の仔の前、剛はしゃがみこむ。主に倣い、黒銀竜はその鼻先を竜の仔に近づけた。
「はは、アルスも嬉しそうや。仲良うなれるとええな!」
騎士の光が変化した相棒の黒銀竜アルスの頸を叩き、豪は竜の仔を抱き上げる。初めて会ったとき、竜の仔は小さな兎ほどの大きさだった。
「しかしでかくなって……!」
竜という生き物はあっという間に大きくなるものなのだろうか。ほとんど重さを感じられなかった以前と違い、今はもう下手をすれば細身の女性ほどはあるかもしれない。
「お前も他の竜さんみたいに喋れるようになるんかな?」
アルスと同じように竜の仔の鼻先に自分の鼻先を近づけ、その蒼い瞳を覗き込む。
「なあ、俺らの名前呼んでみて!」
剛の言葉を理解したのか、仔竜はぱかりと顎を開いた。開いて閉じて、何事かを発声しようとする。お、と目を丸くする剛の鼻先を結局はぺろりと舐めて終わる。思わず笑ってから、剛は仔竜を一度きつく抱きしめた。鱗の額に額を寄せ、仔竜を空へ放つ。
被膜の翼を広げ、仔竜は今度は上手く空へと飛び上がった。
「さ、道案内頼むで!」
翼持つ妖精たちや黒銀竜アルスにすれば、農場地帯を越えたその先に広がる金色の砂漠を飛ぶことは然程苦ではないらしい。
人の足だけでは何日とかかる上、決して楽ではないはずの果てなき砂漠も、彼らに頼れば数時間の空の旅で終わる。
黄金色の砂に埋められた『最果ての砂漠』の央、砦とも見紛うばかりの巨大な顎を開いて体内への入り口とする『土の竜』の前で妖精たちとは別れる。トト家に仕える彼らは、翌日にまた同じ場所に迎えに来てくれるらしい。
「土の竜さんの肚ん中は別世界やな……」
巨大な鍾乳石じみて土色の顎から垂れ下がる竜の牙を見仰ぎ、剛は呟く。とは言え、以前訪れたときには入り口であるここには毒々しい色した『竜の尖兵』たちがうろついていた。死闘を繰り広げた場も、今は静かな風が流れるばかり。
きゃうきゅうとご機嫌に鳴く竜の仔を案内に、剛とアルスを先頭とした一行は竜の肚の内へと踏み入る。
「こっちでいいの?」
以前土の都を探す折、目印にと挿したアンテナアスパラとは別の道を案内しようとする竜の仔に、白猫フード姿の
遠野 まほろ
はそっと尋ねる。竜の仔は楽し気に翼をばたつかせるばかり。
「水の気配がするな」
旅鴉 月詠
が緋色の瞳を細める。
「本当だ……」
恵御納 夏朝
が大人し気な栗色の瞳を瞬かせ、照らしたカンテラを差し伸ばす。見えてきたのは、林立する多角形の柱。柱の間には、人工的にすら見える水路が不可思議な紋様を地面に描いて走っている。淡く光を帯びてさえ見える澄んだ水の中には、水と同じに穏やかに流れて踊る純白の花。
「……ふむ」
緋色の瞳を好まし気に細め、月詠は目前の光景を素描する。
(これもまた幻想風景、といったところか)
あとできちんとした絵に仕上げたら、星幽塔に開いた己の喫茶店『迷い猫』に飾ろう。以前土の都で手に入れた腕輪の傍らに並べてみるのもいいかもしれない。
「花だな」
「花、ですね」
狼耳を持つ星幽塔の住人
レイリー・マクティーラ
と、旅人のような衣装を纏った
鴻上 彰尋
が顔を見合わせる。
「……せや、お供えの花にこれ、持っていこ」
土の竜の肚内には土の都がある。
土の都には、土の竜と命運を共にした土の精霊たちが居た。
彼らを思い、彼らの鎮魂のためにここに留まり続けている土の精霊のただ一人の生き残りの仔を思い、剛は透明な水に指をひたす。流れ続ける純白の花を数輪、手に取る。しとりと指先を濡らす細い茎は、けれど恐ろしく生命力に満ちて、まるでいつまでも枯れぬ力を帯びているようにも見えた。
水路を抜けた先には、幾千幾万の硬質な水珠が虹を宿して輝く洞窟があった。地面を無造作に埋める、まるで金剛石のような煌き帯びる大小の珠は、誰かに踏まれるたびにチリチリとシャラシャラと涼やかな音を立てる。
「ねこよろずの方で、何か役に立つかな」
「……そうだね」
ダイヤモンドのような珠を掌にすくってまほろが首を傾げ、夏朝がそっと微笑む。まほろと夏朝、今は農場にいるはずの
八神 修
と
椿 美咲紀
は、星幽塔のあちこちで二十四時間のよろず屋『ねこよろず』を営んでいる。ここで手に入れたものを、何かの加工に使ってみよう。
(ぬいぐるみの瞳にしてみようかな、ブレスレットやネックレスにも出来るかなあ……)
掌にすくった金剛珠を布に包み鞄にしまう。良いものが出来たなら、また機会を見つけてここに来よう。
星のような光が壁にも天井にも乱反射する洞窟を抜けたその先に、黒い柱に挟まれた巨大な扉があった。以前訪れたときに前にした扉とはまた別の無骨な門扉を仰ぎ、案内の竜の仔は高く高く、まるで笛の音のような声を響かせる。
「はーい!」
竜の仔の声の反響が高い天井に消えぬ間に、扉の向こうから元気な声と足音が聞こえた。かと思えば、音もなく扉が開く。
薄く開き始める扉の向こう、ふわり、淡く白く光る雪のようなものが大量に溢れ出た。
「『光蟲』……こんなに……」
以前精霊の仔から聞いた雪のような蛍のようなナニカの乱舞の最中に突如として放り込まれ、夏朝は言葉を失う。咄嗟に伸ばした指先にも掌にもなんの感触も感じさせず、光蟲の群れはしばらくの後に消えた。
消えゆく光蟲の中、廃墟となった土の都を背にしてただひとり、土の精霊の生き残りである子供が立っている。
「やあ、精霊の仔」
目元が隠れるほどに深く獣皮のマントを被った幼子に向け、月詠が軽やかに手を振る。
「息災か」
「よう、精霊くん! ……いや、ちゃんか? 元気しとったか?」
黒銀竜を連れた剛からも賑やかに笑いかけられ、精霊の仔は陽の光を知らぬ蒼白い頬を緩ませた。
「来てくれてありがとう」
足元に駆け寄る竜の仔を抱き上げようとして失敗し、尻餅をついて精霊の仔は声を弾ませる。
「……くん、かな」
「そうかそうか、精霊くんか! 仔竜も案内お疲れさん! 偉いで~、剛さん撫でたる! 勿論、一人で頑張って来た精霊くんもや!」
ふたりの傍に大股に歩み寄り、剛はふたりを一緒くたに抱きしめる。頭をごしごしと撫でる。そうしながら、ふと首を傾げた。
「そういや……お前らの名前は?」
ふたりの眼をまっすぐに覗き込む。
「精霊の仔に竜の仔って何かよそよそしいやんか~。教えてくれへん?」
「あ、それは俺も」
白い衣の裾を翻し、彰尋もふたりの横に膝をつく。竜の仔が剛に撫でられながらひょいと首を伸ばした。彰尋が伸ばした指にじゃれつきぱくりと甘噛みする。
「すごく大きくなったんだね」
彰尋は黒い目を瞠り、そうしてから思わず吹き出した。覚えていてくれているかなと思いもしたけれど、竜の仔も精霊の仔も、しっかりと自分のことを覚えていてくれた。己の住む世界とはまた別の世界に住まう仔らから親し気な笑みを向けられ、彰尋は破顔する。
「なまえ」
ぽつりと呟き、精霊の仔は首を横に振る。精霊の仔を真似てか、竜の仔も頭を横に振り回した。
竜の仔に元より名はなく、
「土の都が滅んでよりぼくの名も失せた」
あっけらかんと話す精霊の仔の頭を剛はまたごしごしと撫でる。小さな頭から被った獣皮のマントの下、黄金色した大きな瞳がぱちぱちと瞬いた。
「そうなん?」
「そうか……」
剛と彰尋は顔を見合わせる。しばらく考え、
「ユラン」
「シエロ」
彰尋は異国の言葉で竜を意味する名を、剛は空を意味する名を竜の仔に向けた。どうかな、とふたりから意見を求められ、精霊の仔は目を輝かせる。
「ユラン・シエロ。いい名前」
「普段呼ぶときはユランのが呼び易いやろか。お前はテレノでどうやろ」
竜の仔の新しい名を繰り返し呟いては嬉しそうに笑う精霊の仔に、剛は微笑みかける。大地の意味持つその名に、精霊の仔は大きく頷いた。
「ユラン・シエロ。ユランとテレノ。剛と彰尋がつけてくれた、いい名前。とてもとてもいい名前」
上気した頬でユランを抱きしめるテレノのもと、月詠とまほろが歩み寄る。
「これ、土産のモグラダイヤとシュガーメロン」
大好物を土産にもらい、ユランは歓声をあげた。テレノの腕からもがき出て、月詠が差し出すモグラダイヤに手を伸ばす。きゃうきゃうと鳴くユランにモグラダイヤを早速ひとつ進呈し、月詠は淡く笑んだ。緋色の瞳をもたげ、光蟲たちが乱舞するラピスラズリの色の天井を映す。前回は駆け足でしか都を探索できなかった。
手紙の内容からして、今回は特別切羽詰まった事情もなさそうだ。
(ゆっくりと散策する事ができるね)
「色々と案内を頼めるか?」
任せて、と薄い胸を叩くテレノの手をまほろは取る。
「私もお菓子をいろいろ持って来たよ。ゆっくりお話をしよう、遊べるだけ遊ぼう、……ね?」
精霊の仔が寂しがっていると聞いたときから、会いに行こうと決めていた。
少女ふたりから優しい言葉をもらって、けれどテレノは少し不安げに目を伏せる。
「どうかした?」
彰尋に肩を叩かれ、テレノはすがるような眼差しを彰尋に向けた。
「『晩鐘岩の森』から変な声がするの。とても悲しい、泣き声みたいな声。ここにはもうぼくとユランの他には誰も居ないはずなのに」
森に行くには都を通らねばならないのだとテレノは言う。都を誰かが通れば、すぐさま己は気づくはずなのだと。
「森から変な声だ?」
泣き出しそうな顔をするテレノの頭を、脇からひょいと伸びてきた手がわしゃわしゃと乱暴に撫でた。わ、と声をあげるテレノの傍にしゃがみこみ、
レイリー・マクティーラ
は金の瞳で精霊の仔の顔を覗き込む。黒狼の耳と尻尾をぱたぱたと揺らして身軽に立ち上がり、ついでのように彰尋の頭も同じように撫でる。
「わ、わわ……」
普段あまりされたことのない扱いに戸惑い慌てる彰尋に、レイリーは悪戯っぽく笑った。芯のある瞳をしたこの少年を、いつも世話を焼いている友人の店で見かけたことがある。
(これもなんかの縁だ)
「わかったわかった、こいつと一緒に何とかしてきてやっから」
親し気な黒髪金眼の青年の言葉を受け、彰尋は眼を瞬かせる。そう言えば、この強気な顔に見覚えがある。
(『Uisge beatha』で時々店番してる……)
第一階層にある薬屋が頭に浮かぶと同時、そこの店主と仲の良い青年の顔が目前の彼と重なった。薬屋の店主が頼りにしている彼と共に行けるのであれば、心強い。
「テレノが安心出来るよう、声の正体を確認して来るよ」
砂漠の真ん中に眠る土の竜の肚から、この仔が外に出られるといいと心底から願う。一族と暮らした場所とは言え、幼子と仔竜がふたりきりで生きるには、ここは寂しすぎる。
「僕も、行くよ」
テレノとユランの様子を静かに見守っていた夏朝が進み出た。ありがとう、と頭を下げるテレノに、夏朝はそっと首を横に振る。都に眠る土の精霊の一族の弔いが終われば、精霊の仔は竜の仔と共に土の竜の肚内から出ると言っていたけれど、それまでの間も、安心して過ごしてほしかった。そのために、自分が出来ることは手伝いたい。
「行ってくるね。森への道を教えてくれるかな?」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年11月23日
参加申し込みの期限
2017年11月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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