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【星幽塔】第三階層 竜の肚には精霊の仔と竜の仔と
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亮が作り上げた土の盾の向こう、繭からの攻撃の音が止む。
「うん、大丈夫! 動いてないよ!」
盾の上部から繭の様子を窺っていたアリスの報告を受け、盾の端に立つ亮は頷いた。
ちらりと振り返り、盾の内に幾つも運び込まれた水入りの大樽を見遣る。任せてください、と元気いっぱい笑う美咲紀にも頷き、亮は正面に向き直った。支えとした小屋ごと地中にほぼ全体を沈みこませた繭を見据え、腕に嵌めた雷神の腕輪を構える。
「それじゃあ、もう一回ねー」
のんびりとした言葉とは裏腹、由貴奈が素早い動作で弓を引く。パアン! 号砲にも似た音を響かせ、幾つもの矢が盾を飛び越え空を走った。炎翅の妖精がその鏃に炎を纏わせる。
「行くぜ!」
頭上を過る火矢を合図に、亮は雷神の腕輪に星の力をこめた。紫電が青空を切り裂く。紅い炎と紫の雷がほぼ同時、繭のほぼ同地点へ着弾する。
「私も!」
美咲紀が片手杖を舞うように翻す。先端に広がる白翼に緑の光が奔れば、大量の風が繭の上空に渦を巻いた。絡まり捩れ、魔風の錐となる。火矢と雷電に撃たれた一点を狙い、穿とうとする。
「だめです、まだ硬い!」
美咲紀の言葉に応じるかの如く、繭が地中から糸の矢を吐き出した。繭本体から糸を伸ばして絡め合い、見えぬ魔風を絡め取ろうとする。細い剣か鞭のようにうねらせる。
「はいはーい」
「まだ行けるぜ!」
由貴奈が続けざまに火矢を射る。星の滴を噛み砕き、亮がありったけの星の力を腕輪に通し雷電へ変換し放つ。
「私も行くよ!」
土の盾の先からアリスが飛び立つ。美咲紀が操る魔風の錐より高い上空に立ち、銃口を下に向ける。水色の瞳を細め、引鉄を落とす。狙い過たず撃つは、皆と同じ一点。
撃つと同時、アリスは凄まじい速度で更に上空へと逃げる。繭から触手じみて生えた糸の群がアリスを捕えるべく空へ空へと高く伸びる。
鋼鉄よりも硬い繭の装甲が薄くなる。
「デイジーカッター!」
「ああ!」
修の合図を受け、サキリがろっこんで空間を渡る。移動した先は繭の上部、火矢と雷電、風の錐と銃弾に撃たれた箇所。竜殺しを頭上高く掲げ、渾身の力で以て振り下ろす。
赤光が青空に鋭い線を引く。高く澄んだ音が響き渡る。
「空いた」
冷たく呟くと共、サキリは竜殺しを繭から引き抜いた。僅かに開いたその隙間に素早く油壷と枯草の塊を投げ込み、炎翅の妖精を呼ぶ。ひらりと現れた妖精は、暗い闇がうずくまるように見える繭の内側に向けてひとひらの炎を放った。
ボッ、と繭の闇に炎が灯る。
途端、巨大な繭を形成する糸が一斉に全方向へ矢を放った。
「ッ?!」
咄嗟に巨剣を盾にして繭糸の矢を防御しつつ、サキリは瞬間移動する。穴の縁に立った次には、繭から放たれる矢は絶えていた。
「何だ、今のは」
深紅の瞳を瞬かせるサキリの傍、駆け寄って来た亮が立ち喚く。
「驚いた、のかな」
小さく応え、サキリは繭へと目を凝らす。
繭の外がどれだけ火に強くても、内部から焼かれてしまえば、
(生物である以上耐えられないだろう)
アリスを追いかけていた糸の束が混乱したように空に暴れる。糸の矢を撃ち出す余裕もなく悶えるばかりの繭の穴に向け、亮は鞄から取り出した大量の火炎瓶を正確なフォームで投げ込んだ。ついでにテルミツ唐辛子も放る。
――けれど。
あるだけの火元を繭に投げ込んでも、巨大な繭に対してあまりにも小さな穴から炎を噴き出す状態となっても、繭糸は動きを止めなかった。それどころか、繭の内側にナニカが蠢く気配を感じ取り、亮は黒い瞳を剣呑に歪める。
「埋めるか」
低く呟く亮の頭上、大量の風によって吹き上げられ、水龍のかたちとなった水が飛び越した。
「なんだー?!」
思わず目を瞠る亮の視界、炎翅の妖精がふわりと舞う。かと思えば顔を真っ赤にして宙に踏ん張る。頑張って大量の水に熱を通す。熱湯となった噴水は、
「アチチになーれー!」
美咲紀の呪文じみた言葉に操られるように、繭に開いた穴に吸い込まれた。炎が消え、真っ白な湯気が代わりに吐き出される。
「よし!」
そこを狙い、修が『特製の長槍』を内部へと撃ちこむ。内側に潜む本体に直接刺されば重畳、そうでなくても、注射針に仕込んだ細工で薬液は注入されやすくなっている。美咲紀が繭内に満たした湯に薬液が広がれば問題はない。
固唾をのんで皆が見守る中、まずしつこく空にうねりアリスを狙っていた糸の束がぼとりと地面に落ちた。畑の泥に塗れて悶え、ついには動かなくなる。
穴から噴き出す湯気の量も徐々に細くなる。繭の内側に蠢くナニカの気配も感じられなくなっていく。
「……それで、あの薬液は何なのです?」
穴の縁に立ち、動かなくなった繭を覗き込む美咲紀に改めて問われ、修は僅かに瞳を細めた。
「俺の血だ」
「血……?」
自身の星座と同じアステリズムの『星の力』を使うことの出来る、魔星の力を宿してみたのだと修は笑う。
「シュー君はさそり座ですね」
占いを好む美咲紀は、もちろん修の星座も知っている。
さそり座の星の力は、自身の体の一部の血が毒を持つというもの。対象の体内で効果を現わすその血は、体調やその時々で効果が違ったりはするものの、今回は、
「致死性の毒がたっぷり含まれているんだ」
修は目を伏せる。
「羽化させてやれなくて御免な」
反応を失くした繭の前、小さく詫びる。こちらからしてみれば畑を荒らし果てには壊滅させる害虫とはいえ、彼らは彼らで懸命に生きているだけ。殺処分してしまうことに躊躇はせずとも、命に対する祈りがないわけではない。
繭の中、身体を作り替えながら微睡んでいただろう命を想う。
(夢見たまま逝っただろうか……)
マスクゴーグルを外し、息を吐いた、その時。
絡まった糸が解けるように固く閉ざされていた繭が開いた。花弁が開くように綻んでゆく繭に、修は息を呑む。
「シュー君!」
マスクを、と悲鳴じみた声をあげる美咲紀に、けれど修は首をそっと横に振った。焼かれ、熱湯を流し込まれ、終には毒の血を注入され、ほとんどかたちを失くした蛹の本体は繭の中に残っている。
虹色の鱗粉を撒き散らしながら繭から這い出し、青空へと白い翅を広げる大毒蛾は、だからおそらく、
「……幻だ」
「幻でも――」
マスクゴーグルを外して傍らの由貴奈に預け、アリスは背の白翼を羽ばたかせた。青空に飛びあがる。
「ねえ、ついてきて!」
風を操り、幻であるがゆえに何の毒も持たぬ鱗粉を巻き上げようとする。幻であっても風を感じるのか、それとも意志すら持つのか、大毒蛾は薄紫の毛に覆われた触覚と身をもたげた。アリスが操る優しい風に従うように、虹色の鱗粉がまず空へと舞い上がる。
翅を震わせる蛾は風を纏い、透明な風の渦とともにその巨大な体を空へと持ち上げた。
アリスの誘導を受け、儚い幻の身となった蛾は青空に舞う。真昼の箒星の如く虹色の鱗粉の尾を引き、農場の空を過り、幾つもの山脈を越える。
枯らすもののひとつとしてない砂漠の空に至って、幻蛾は満足した様子で風に解けて消えた。後には何も残さず消えた蛾をひとり見送り、アリスは祈る。
数日生きるどころか、実際には羽化することも出来なかった。
(悲しいね)
農場に帰ったら、小屋の傍に小さなお墓を作ろう。お花を供えてお水をあげよう。
小さな小さな息を零し、乾いた空を見上げる。いつの間にか、黄昏を過ぎて濃紺色に空が染まってきている。陽が落ちてしまえば、砂漠は恐ろしく寒くなる。
帰ろう、と身を翻したところで、
「どないしたん、こんなとこで」
暮れなずむ空を風より速く飛んできた黒銀竜から声を掛けられた。よくよく見れば、その背にひとが騎乗している。
「どうしたの? 何かあったの?」
黒銀竜に追いついてきた白い翼持つ老馬の背には、栗色の髪の少女。
翼持つ獅子の背にもふたり、夜色の翼を持つ巨鳥の背にもふたり。どうやら彼らは、この砂漠の央にあるという土の竜の肚内の都に向かったその帰りらしい。
ううん、とアリスは元気よく首を横に振る。
「皆もお疲れさま! 帰ったらビールと蜂蜜酒で乾杯しようよ!」
帰るころにはきっと、ステラも目を覚ましているかもしれない。そうしたら、おはよう、と挨拶しながらビールを渡そう。みんなと一緒にご飯を食べてお酒を飲もう。リア家自慢の蜂蜜酒もいっぱいお代わりして、ついでにお土産にも分けてもらおう。
みんなといっぱい食べて飲んで元気になったら、明日の朝からは枯れた畑を元に戻すお手伝いをしよう。種を撒いて水を上げよう。
枯れてしまった葉も、土に還せば良い養分になる。
(枯れちゃった葉の分もきっと元気に育つよ)
「農場で何かあったの? 大丈夫だった?」
翼持つ老馬の背にしがみつきながら、夏朝は蒼い髪の少女に問う。農場にいる『ねこよろず』のみんなは怪我をしたりしていないだろうか。
「ちょっと大変だったけど、大丈夫!」
どこまでも明朗に、アリスと名乗った少女は笑う。白い翼をはためかせ、身に巻いた風を操る。空の帰路を辿り始める。
「何があったのか、帰り道に話すね」
鋼糸の硬さ持つ繭糸を苦労して集める修と美咲紀、それを手伝うサキリと由貴奈の傍で、亮は地中を通ってやってきたモグラ妖精たちと明日からの畑仕事について話し合う。
大変だー大変だー、とそれほど大変そうでもなくむしろどこか楽しそうに畑をうろうろするモグラ妖精たちに、亮は笑いかける。
「手伝うぜ」
「農業って、今回の害虫被害もそうだけど、人と自然との戦いなんだね」
繭糸の回収をある程度終わらせたサキリが、戦うよりも疲れた体を土の上に座らせる。修たちはこれから第三階層にある『ねこよろず』に戻り、繭糸の精製作業に入るらしい。鋼の硬さもつ繭糸を絹の柔らかさにするのは簡単ではなさそうだが、精製できた暁にはきっととても良い素材となるだろう。
「後でリアの屋敷にも行くよ。紅茶とクッキーをお供にみんなで今日の出来事を話そう」
「ありがとう、それは楽しみだね」
疲れも見せずに次の仕事に取り掛かる修と美咲紀を見送り、サキリは食い荒らされた畑を見渡す。普段当たり前のように口にしている作物も、農家の人々の様々な苦労があって作られている。今回の害虫退治で、それを思い知った。
(これからはもっと食べ物に感謝して食べるとしよう)
「うちも先にリアくんちに行ってるねぇ、ご飯作って待ってるー」
由貴奈がひらひらと手を振った。ふと空を見仰ぎ、そちらにも向けておーいと手を振る。少し離れた道の先、修と美咲紀も手を振る。
「ただいまー!」
「素材になりそうなもの色々貰って来たよ、あとでみんなでチェックしようねー」
土の竜の肚内から帰還した夏朝とまほろの元気な声を受け、修と美咲紀も手に入れたばかりの繭糸を掲げて笑った。
「おかえりー! おつかれー!」
「ごはんにしようー!」
農場のあちこち、妖精たちの声も夕空いっぱいに響き始めている。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
第三階層でのみなさまのご活躍、お届けにあがりました。
のんびりまったりハードワーク(?)な農場生活だったり、星幽塔ならではな害虫駆除だったり、土の竜にまつわる冒険だったり。とても楽しく描かせていただきました。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ということで!
今回の星幽塔生活でみなさまが手に入れられました品のご紹介です。
■全員が手に入れられるもの(任意で入手・未入手の選択ができます)
・【蜂蜜酒】 トト農場謹製おいしい蜂蜜酒。
・【新鮮野菜】 トト農場で採れたばかりのおいしい野菜。
■『土の竜の肚内』に向かったみなさまが入手できるもの
・【金剛珠】 土の竜の体液が丸く変化したもの。液体に沈めればそれを吸収し、口に含んだり水につけたりすれば封じた液体を放出する。再利用も可能。キラキラしてきれい。
・【永遠の花】 茎をかじると甘い水が滲む純白の花。枯れず、水も尽きない。
恵御納夏朝さん→【弟の幻を写し取った晩鐘岩の欠片】
旅鴉月詠さん→【土の都の野菜の種】【光蔦】
■『大毒蛾退治』をされたみなさまが入手できるもの
・【大毒蛾の生糸】 そのままでは鋼の硬さ。長時間煮沸することで絹の光沢と柔軟さとなる。編めば刃も通さない強靭な布に。
ご参加、ありがとうございました!
年内のシナリオはこれが最後となります。みなさま、今年もたくさんお世話になりました。ありがとうございました!
どうぞよいお年をー!
来年もまた、たくさんお会いできましたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたしますー!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年11月23日
参加申し込みの期限
2017年11月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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