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【星幽塔】第三階層 竜の肚には精霊の仔と竜の仔と
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晩鐘岩の森へと続く隧道の入り口に立ち気遣わし気に三人の背を見送り続けるテレノの背を、ぽふぽふと柔らかな手が叩いた。振り向く蒼白い頬に、白い猫のぬいぐるみの手がぽふり、触れる。
「コンニチワ」
高めの声音で言ってから、まほろは両手に持った白猫のぬいぐるみをテレノの胸に抱きつかせた。
「こ、こんにちは……?」
「えっと、お店の商品なんだけど」
ねこよろずの店名を聞き、テレノは聞いたことがあると眼を輝かせる。
「『こんびに』」
「うん、コンビニ。そこでね、私の作ったぬいぐるみも売ってるの」
この子もそう、と真っ白な猫のぬいぐるみを示す。店で売っているものは、お裁縫が初めてなひとでも装飾品を自作できるためにと用意した、何の飾りもついていない『プレーン』のぬいぐるみだけれど、今回精霊の仔のために持って来たのは空色のチョッキと帽子にフェルトの長靴を身に着けたもの。
「お洋服は急ごしらえでごめんね。君が持つと映える色を選んだつもりだけど……」
「まほろがつくったの?」
眼を丸くするテレノに、まほろはふわり、頬を薄紅に染める。
(気に入ってくれるといいなぁ)
「この子はお話できないけど……君の傍にいることはできるから」
ぬいぐるみの頭を撫で、壊れ物を扱うようにふわふわのぬいぐるみを抱くテレノの頭を撫でる。
「気にいったら、傍に置いてあげてほしいな」
「……でも、汚しちゃうよ」
「そうしたら、ねこよろずにおいで」
まほろの言葉を受け、テレノは大きく頷いた。獣皮のマントのどこかから紐を出し、慣れた手つきで猫のぬいぐるみを自分の背におんぶする。これでずっと一緒、とちょっぴり得意げに笑う。傍らで、少し前まではテレノの背に負われて過ごしていたらしいユランが不満げに鳴いた。
もうあなたは重たいもの、とユランを叱ってから、テレノは己の傍に残ってくれた三人と向き合う。
「まほろ、月詠、剛。死した都であれど、我らが都にはそれでも未だ美しいものが遺っている。どうか、その眼に納めてほしい」
祈るように乞うテレノの傍、気まぐれな蛍が寄り添うように蒼白い光放つ光蟲が近づいた。テレノが手を差し伸ばす。助けを求めるように、光蟲は見る間にその数を増やしテレノの体にまとわりついた。
蒼白い光を纏い、精霊の仔は祈りのかたちに指を組む。
「……ふむ」
短く頷き、月詠がテレノの動作に倣った。この都で命を落とした人々の魂の穏やかならんことを祈る。
(一応墓所だからね)
礼を尽くすのが当然というもの。
テレノの伏せた黄金の瞳が僅かの間ひどく歪む。光蟲たちがその小さな掌に群れ集い、収束する。涙の滴にも似た小さな珠に変化する。
どこか哀し気な顔をするテレノの背を支え、剛も手を合わせる。
「この小さな珠……ここに来る前に通ったとこで見たのと似とるな」
「金剛珠回廊かな」
テレノの言葉にユランが頷く。
「あそこの珠、……やないよな?」
「あれは、……金剛珠は土の竜の体液が変化したもの。毒でも薬でも、その珠の内に吸い込み封じる。口に含んで唾液に触れれば、珠は溶ける。封じたものを溢れださせる。これとはまた違うもの」
話しながら、テレノは素手で足元の土を掻く。涙の珠を土に埋める。
「これは、ここで死んだみんなの魂の欠片」
「これ、お供えの花にしたって」
土の下に眠らせた涙の珠を愛し気に撫でるテレノに、剛は道中に水路からすくいあげた純白の花を手渡した。ひとりきりで都中の人々の魂を涙の珠に換え弔い続ける精霊の仔の細い背を掌で支える。
「お前一人やないと出来んの?」
手伝いを申し出てくれる優しい竜騎士に、テレノは眼を細めた。弔いの儀は己にしか出来ぬと呟きながらも、竜騎士の大きな掌から背中に伝わる熱に泣き出しそうに笑う。
「でも、お願い。いっしょに祈って」
「任しとき。ユランの相手はアルスがしたるし!」
ことさらに明るく言い放ち、剛は廃墟の都のそこここにゆらゆらと舞う光蟲を見遣る。
(……蛍みたいやな)
蛍は死者の魂なのだと聞いたことがある。
ふわふわとゆらゆらと、揺らめき彷徨う蒼白い光は、確かに蛍に似ている。テレノがしたように手を差し伸ばせば、風に流されるようにふらり、光のひとつが指先に止まった。
テレノが剛の指先を掴む。熱もなく僅かな感触もなく、光蟲たちが次々と群れ集い始める。
(一緒にいたいから寄ってくるんやろか)
体温を求めるような蒼白い光に剛は白と黒の瞳を伏せる。祈る。
「……おやすみ、どうか安らかに」
祈りに応じ、精霊の仔の手の中にまたひとつ涙の珠が生まれる。種を撒くようにそれを土に埋め、テレノは背筋を伸ばして立ち上がった。アルスの強靭な前肢にじゃれついていたユランを抱き上げ、明るい笑顔を見せる。
「どこへ案内しよう? 宝物庫のあったあたりに行ってみる?」
歩きだそうとしてユランの重さによろけ、一緒くたに倒れる。顔を見合わせて笑い合う精霊の仔と竜の仔を、月詠は素早くスケッチブックに描きとめた。枯れぬ花の水路と金剛珠の回廊、それから空と大地の名を与えられた仔ら。ここは描きたくなるものがたくさんある。
(ふたりの絵は彫刻画にしようか)
その方が紙よりも保存が効く。
彫刻画が出来上がったら、それを届けにまたここを訪れよう。再度訪れる約束をしておけば、テレノの寂しさも少しは和らぐだろう。
「月詠、何か欲しいものある?」
素描をする月詠の手元を物珍し気に覗き込み、テレノが問う。もふもふの毛皮のマントに思わず手を伸ばすまほろにされるがままなテレノを見、月詠はちらりと首を傾げた。
「今一番欲しいのは料理や薬に使えそうなものかな。農場で育てられる植物が特にね」
そうだ、とスケッチブックに描きこんだ『枯れぬ花の水路』を示す。
「ここで流れ続けていた純白の花の特性は知ってる?」
「永遠の花」
テレノはぱちりと黄金の瞳を瞬かせた。
「ぼくらは喉乾いたときに茎をかじるよ。どれだけかじっても萎れない。かじってもかじっても甘い水が出続けるの。砂漠渡るときのおやつにユランに渡したけど、持ってなかった? ……まるごと食べちゃったのかな」
「ふむ、……ありがとう」
ならば、と月詠は考える。金剛珠も永遠の花も、帰路に少しずつ拾おう。スケッチブックに『小さなモグラ』を描き、この身に宿るろっこんの力でそれらを紙に封じ込めよう。もちろん、これから手に入るだろう土の都の宝物も。荷物になるものはそうして収納してしまう用途にも、己のろっこんはとても便利だ。
「料理や薬、……植物の種、」
口の中で呟き、テレノは歩き始めた。精霊の仔と竜の仔の案内を受け、一行はラピスラズリの空に光蟲が蛍のように群舞する廃墟の都を辿る。
土を捏ねて造られた都は、どこもかしこもが曲線でできている。見慣れぬ花の透かし彫りが施された窓、竜と精霊が色彩豊かに描きこまれた壁。崩れ果てて瓦礫の山となったその場所にも、注意深く目を向ければかたちや色を残したものが多く見て取れた。
「テレノ」
強大な力によって吹き飛ばされたような瓦礫の山の半ば、盗人の光を宿す月詠が声を放つ。振り返るテレノに、瓦礫の隙間、柱や壁が偶然に折り重なり出来た空洞を指し示す。
底に至るまで二階分ほどの高さはあるものの、手がかりになりそうなものはたくさんある。身軽な者であれば底に辿りつくのは容易そうではあったが、空洞を塞ぐ格好で格子状の壁が横たわっている。格子は細かく、小柄な月詠であっても潜り抜けて行くのは難しかった。
「如何にも宝探しな感じやな」
くすり、剛が笑う。
月詠はスケッチブックを捲る。炸裂イモを封じた頁を破こうとして、少し考えた。止める。パラリと新しい頁を出し、小さな猫の絵を描きこむ。背後から覗き込んでくるテレノに見ていて、と目配せし、ろっこんを発動させる。
地下への道を塞いでいた石造りの格子が猫の絵の中に吸い込まれるように封じられる様に、テレノは大きな歓声をあげた。すごい、ふしぎ、と繰り返すテレノに得意げな笑みひとつ向け、月詠は横倒しになった柱を伝い地下に降りる。
見つけたのは、光も届かぬ暗闇で淡く翠に光る蔦植物と、植物がどこからか絡め取って来たらしい小さな麻袋。中には種類も様々な何かの種子がたくさん入っていた。
強靭な性質らしい蔦植物の先端を幾許かと種子の入った袋を戦利品に地下から戻る。テレノに聞けば、暗闇に育つ光蔦は地面に挿せば容易く育ち、その葉を集めて硝子瓶に詰めれば角灯代わりに、種子は、
「たぶん、野菜の種かな。まだ生きてるだろうから、土に撒けば芽を出すよ。野菜も食べなさい、って昔よく叱られた」
とのこと。
「育ててみよう。実った野菜で料理もしてみようか。いつか食べにおいで」
「……うん」
瓦礫の都を探索し、宙に漂う光蟲を涙の珠に変化させ、いつもは静かな土の都に明るい声を響かせ過ごしているうち、
「――テレノ」
『晩鐘岩の森』に出ていた三人が帰って来た。
「お帰りなさい、彰尋、夏朝、……レイリー?」
一番に駆け寄りそれぞれの顔を仰ぎ、テレノはレイリーの琥珀金の瞳の色に僅かに眉を寄せる。
「ん、」
精霊の仔の視線を受け、レイリーは瞬いた。その瞬きひとつのうちに、瞳の奥に揺らぐ感情を更に奥へと押し隠す。
「おう、ただいま、ちび共」
勝気に微笑み、テレノの前に膝を折る。ごしごしと頭を撫でられ、精霊の仔は少し困ったような嬉しいような笑みを浮かべた。
「声、何だったの?」
テレノに問われ、森に向かった三人は顔を見合わせる。進み出たのは彰尋だった。
「これ、」
ずっと握りしめてきた銀の指輪をテレノに手渡す。
「これ……」
目にした途端、指輪の持ち主に思い至ったのか、テレノは黄金の瞳を瞠った。彰尋は哀しく目を伏せる。
(……やっぱり、似てる)
黄昏の光に満ちた草原で行き会った、嘆くばかりの女性に。嘆きながら消えて行った彼女に。
「テレノ」
『晩鐘岩の森』の光蟲たちが象る死者たちは、縁深い生者の望む言葉を告げるだけなのだとレイリーは言っていた。であるならば、
――共に逝きたかった
彼女が口にした言葉は、つまりはテレノが望んでいる言葉。
ひとりきりで遺された精霊の仔は、心のどこかで遺されたことを恨んでいる。共に死にたかったと願っている。
「テレノ」
精霊の仔が新しく得た名を繰り返し、祈るように口にする。そうして気づいた。新しい名を得て喜んだということは、死にたいと願うと同時、生きたいとも願っているのではないのかと。
(きっとそうだ)
彰尋は、そう信じた。
「テレノ。テレノを悩ませる声はもう、聞こえないから」
「お前が心配したり怖がったりする必要は何にもねえよ」
彰尋に言い聞かせられ、レイリーにもう一度頭を撫でられ、
「大丈夫、……大丈夫だよ」
夏朝に抱きしめられ、テレノは順繰りに周囲の人々の顔を見上げる。手紙ひとつだけで砂漠を渡ってまで会いに来てくれた、優しいひとたち。背中を支え、手を取って頭を撫でて、抱きしめてさえくれるひとたち。
己が育った都は滅び、育ててくれた一族も己を残して死に絶えた。寂しくないと言えば嘘になる。共に逝きたかったと思う夜がないわけではない。けれど、それでも、
「うん、もう大丈夫、……だいじょうぶだよね」
精霊の仔は笑う。
「あのな、ちび」
テレノと目の高さを合わせ、レイリーは第一階層にある己の家とよく店番をしている薬屋の住所を書いた紙切れをその手に握らせる。
「寂しくなったらいつでも遊びに来い。そのうち外に出るんだろ」
きっとだぞ、と念を押され、テレノはこくりと頷く。
ここにずっとは居られぬ旅人たちから別れの気配を感じ取り、それでも笑みを崩さぬ精霊の仔と、別れを理解できずアレスの頸に抱き着いてうつらうつらする竜の仔を交互に見遣り、まほろは小さな息を吐く。
道すがらに見てきた『枯れぬ花の水路』は綺麗だった。『金剛珠の回廊』は悲しくも美しかった。でも、どれだけ美しいものに囲まれていようとも、
(やっぱり、寂しいよね……)
テレノの背におぶい紐で結びつけられた猫のぬいぐるみに祈る。
(お願い)
どうか、せめて少しでも精霊の仔の寂しさを慰めてあげて。
「そしたら、俺らはもう行くけど」
しんみりしがちな別れの場面にあって、剛はカラリと笑う。これはほんの少しの間だけの別れなのだと。
「二人が外に出る時は呼んでや。またアルスに乗って会いに行くで!」
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年11月23日
参加申し込みの期限
2017年11月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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